傑作ミュージカル「スウィーニー・トッド」(2011/5/28)
5月28日、青山劇場でブロードウェイミュージカル「スウィーニー・トッド」を観劇。
大竹しのぶが出る芝居ならハズレは無いだろうという軽い気持ちで出向く。
演出・振付 宮本亜門
翻訳・訳詞 橋本邦彦
音楽監督 山下康介
< 主なキャスト >
市村正親/スウィーニー・トッド(冤罪に陥れた人々に復讐する床屋 )
大竹しのぶ/ ミセス・ラヴェット(トッドの大家でパイ屋)
キムラ緑子/乞食女(実は・・)
ソニン/ジョアンナ(トッドの娘でターピンの養女)
田代万里生/アンソニー(脱獄したトッドの命を救った船乗り)
安崎求/ターピン(トッドを無実の罪に陥れた判事)
斉藤暁/ビードル(ターピンの片腕の小役人)
武田真治/トバイアス(ピレッリの助手)
オリジナルはスティーブン・ソンドの作詞作曲で、1979年ブロードウェイで上演され大ヒット、ロンドンなどでも上演を繰り返し、その後も舞台や映画でもリメイクされている。
日本では4年前に続く再演。
ストーリーは。
18世紀末というから産業革命前のロンドン。
床屋を営んでいたベンジャミン・バーカーは、好色な判事ターピンに妻を奪われ、無実の罪をきせられて流刑となる。
脱獄し若い船乗りアンソニーに救われて、15年ぶりにロンドンに戻るが、容貌はすっかり変わってしまう。
妻は死亡と聞かされ、当時幼かった娘ジョアンナは、今はターピンの養女となっていた。
復讐に燃えるベンジャミンは「スウィーニー・トッド」と名前を変え、元の大家でパイ屋であるラヴェットの2階で、床屋を再開する。
商売は繁盛するが、元の正体を知るピレッリから脅迫を受け、殺害してしまう。
死体の処理に思案していると、ミートパイ用の安い肉が手に入らず困っていたラヴェットが妙案を思いつく。
さてそれからというものは、上の階では復讐のために殺人を繰り返す床屋と、その下の階では美味しいパイを売る店、その両方が繁盛する。
アンンソニーとジョアンナ、スウィーニー・トッドとラヴェットとの恋物語を絡めながら復讐劇が進み、やがて悲劇的な結末に・・・。
物語でいえばサイコ・スリラーに区分されるであろうストーリーをミュージカル仕立てにするという難しいテーマだが、非常に良く出来ていた。
全体にスリリングな緊張感を保ちながら、コミカルな歌と踊りを散りばめ、楽しい舞台を作り上げていた。
傑作ミュージカルといって良い。
ただ終演後の食事で、挽き肉を使った料理が食えなかったけど。
この芝居、元々が主演である市村正親が、大竹しのぶと舞台を共にしたくて持ち込んだ企画だそうだ。
そのせいか、市村と大竹の圧倒的存在感が溢れていて、この二人以外のキャスティングが考えられないと思われるほどの適役である。
市村正親はさすがミュージカル俳優だけあって声が良いし、音程もしっかりとしている。
あの年でこれほどの若々しい声が出るのは、やはり若い女を嫁さんにしたせいかと(チクショー!)、ついついやっかみたくなる。
大竹しのぶは歌には多少難があるが、相変わらず演技力は抜群だ。そして色っぽい。
陰惨なのに可愛らしいという女性を見事に演じきった。
今や、代表的なミュージカル女優の仲間入りを果たした感がある。
他に、ピレッリを演じた中西勝之が好演。
ソニン(ソプラノが美しい)が可憐、武田真治が軽妙、キムラ緑子が狂気の演技で、それぞれ舞台を盛り上げていた。
オケの音も良かった。
公演は7月3日まで、全国の各都市で。
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