立川流落語会・楽日(2011/5/29)
5月29日国立演芸場で行われた「立川流落語会」、3日間公演の楽日。
恒例となっていて、毎年1日は見に行くようにしている。
談志一門は現在四天王と呼ばれる人気者4人を抱えていて、チケットは毎回完売。
ただ志の輔、志らく、談春、談笑に加えて生志の5人と、それ以外のメンバーとの落差が大きくガッカリすることが多いのだが、さて今年はどうか。
結論は例年通りで、仲入り前迄で面白かったのは高田文夫の漫談だけ。
後半の志らく、談笑以外はあまり見るべきものが無かった。
それだったら各々の独演会に行った方が良い、というのが私の感想。
< 番組 >
前座・立川らく兵「まぬけ泥」
立川幸之進「真田小僧」
立川談修「身投げ屋」
立川雲水「胴斬り」
高田文夫「漫談」
立川談幸「質屋庫」
―仲入り―
立川談笑「居酒屋・改(イラサリマケー)」
立川志らく「長短」
立川文志「字漫噺」
立川龍志「三軒長屋」
先に苦言をいくつか。
らく兵「まぬけ泥」、小さく舌打ちする癖は耳障りで、やめた方がいい。
幸之進「真田小僧」、二ツ目に成り立てとのことだが、噺家の喋りになっていない。
雲水「胴斬り」、バレ噺風のつけたしは”具足”だった。ウルサイと思わず”張形”い忠告と受け止めてください。
さて談笑は十八番の「イラサリマケー」。
独演会では気が付かなかったが、この日のような寄席形式だと、談笑の登場で高座がパッと明るくなる。
やはり華があり、スター性を持っているということだ。
オリジナルの「居酒屋」は、「ずっこけ」の前半部を三代目三遊亭金馬が独立させた、いわば改作。
だから改作の改作というところ。
今や時代も変わり、居酒屋の店員は殆んど外国人。
彼らの微妙な言い回しやイントネーションの違いに着目し、戯画化したものと思える。
ビルマ人の店員が(「いい人だよミズシマー!」のギャグが秀逸)「いらっしゃいませ」を「イラサリマケー」、ビールの「大生と中生と」を「ダイナマイト、チュウナマイト」、「大徳利」を「オオドクイリ」、持ってくるときは「オマタケ、デマシタ!」、好きだなぁ、こう云うのって。
「今日のオスメス、エロエロあるよ」と言われて客が「何ができるの?」と訊くと、「ネコミに、イマダメ、ユビクライ、テサバキ、チンコナメアゲ、オメコナメオロシ、イカナイトシロートタイカイ」と、放送禁止用語のオンパレード。
それぞれが何であるかは、聴いてのお楽しみ。
オリジナルの骨格はキチンと残しており、改作の成功例だ。
私たちが海外で使う英語も、相手にはこんな風に聞こえるのかもと、ふと思った。
米国で私の英語がスペイン語に間違えられたのも、そのせいか!
談笑さん、次は英語版「居酒屋」ってぇのはどうでしょうか。
志らく「長短」、マクラで語っていたように、師匠の芸風に最も良く似ていて、師匠の芸に近づこうと苦闘している。
このネタ、気長な長さんと短気な短七さんとの対比をいかに上手く見せるかが、演者の腕の揮いどころ。
志らくの演出は、短七を気風のいい江戸っ子、長さんはまるでスローモーションのような動きで対比させていた。
この長さんは、UFOから月面着陸まで薀蓄をたれる男であるのが、いかにも志らくらしい。
短めだったが、客席を沸かせていたのはさすがだ。
この2席は大雨の中を行った甲斐があった。
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