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2011/05/02

権太楼噺爆笑十夜・初日in鈴本(2011/5/1)

鈴本演芸場に柳家権太楼が帰ってきた。
昨秋からの入退院やその後の通院のために、しばらく定席を空けていた柳家権太楼。
先日の朝日名人会では、抗がん剤の治療を受けていることをcoming outしていた。
その権太楼が5月1日からの鈴本演芸場上席夜の部・特別興行「権太楼噺爆笑十夜」で高座に復帰、その初日に出向く。トリで、日替わりのネタ出しという趣向。

<  番組 >
伊藤夢葉 「奇術」
柳家我太楼 「子ほめ」
柳家小菊 「粋曲」
三遊亭 歌之介 「竜馬伝」
林家正楽 「紙切り」
柳亭市馬 「かぼちゃ屋」
柳家小三治 「出来心」
-仲入り-
昭和のいる・こいる「漫才」
入船亭扇辰「千早ふる」
鏡味仙三郎社中 「太神楽曲芸」
柳家権太楼「らくだ」

権太楼以外にいくつか。
夢葉 「奇術」、寄席の手品の典型で、手品でなく奇術。
我太楼 「子ほめ」、前座噺で3カ所も言い間違えをするようでは、真打の名が泣く。勉強し直し。
小菊 「粋曲」、今の寄席で数少ない本格的音曲師。いつも同じ曲ばかり弾く芸人も少なくないが、この人は抽斗が多く、しかも何をやらせても上手い。貴重な存在だ。
歌之介 「竜馬伝」、JALの機内で放送したら、森元首相サイドからクレームがあり、中止させられたとのエピソードを紹介。やはり宰相の器にあらず。
市馬 「かぼちゃ屋」、こういう軽いネタを演らせると、やはり上手い。市馬という人は寄席向きの噺家だと思う。持ちネタは多いし、なにを演っても水準をいく。
小三治がマクラで、今ほど日本人の心が優しいときはないと言っていたが、その通りだと思う。この優しさをこれからも保ち続けることができるなら、きっといい世の中になるだろう。

「金毘羅」が鳴り出すと、場内割れんばかりの拍手に迎えられて権太楼が登場。
痩せた印象はぬぐえないが元気で、声の調子は休養前より良くなっている。
「今日は長いよ」に会場からは「タップリ」の掛け声で、いい雰囲気だ。
2日目は、当初の「大山詣り」が「くしゃみ講釈」に変更になったのだそうで、時節柄いたし方なかろう。
この日の「らくだ」だが、珍しく火葬場のオチまでの長講を演じ切る。

かつて立川談志が権太楼を評して、「あんなんじゃ、これからは保(も)たんぞ」と予言していたが、予想に反して多数の落語ファンは彼を支持してきた。
権太楼の芸風は、どちらかというと泥臭く、立川流とは対照的であるといえよう。
志らくや談春を好む落語ファンもいれば、さん喬や権太楼を好むファンもいる。なかには、私のようにどっちも好きだという人も多いだろう。
それぞれ好みの問題であって、どちらが本物の落語ファンだとか、こちらだけが落語を分かっているとか、そういう色分けをする思考にはどうも付いていけない。

「らくだ」に話を戻して、権太楼の主な演出は、
①「かんかんのう」を屑屋にスローテンポで唄わせ、兄ィがらくだの死骸を抱えて大家の頭に触る。
②屑屋が酒を呑むうちに、次第に生前のらくだから受けた仕打ちを思い出し、怒りを爆発させながら威張りだす。
③普通の「らくだ」では、後半は兄ィのセリフや動きは割愛されるが、権太楼の演出では後半も兄ィのセリフやリアクションがある。
④間違えて樽に詰め込まれた願人坊主が途中で目をさまして喋りだし、屑屋が頭をこずく場面を加える。
全体としてややコッテリとした「らくだ」になっていたが、そのぶん笑いが取れていた。

それより何より、元気な権太楼が戻ってきたという喜びが会場を包んでいたのが印象的だった。

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コメント

はじめまして。
幅広い分野での鋭い指摘のこのブログを楽しみに読ませていただいておりました。
昨晩の鈴本で初めて一緒の「空気」を共有したようで嬉しくコメントさせていただきます。
日々の更新を楽しみに今後も読ませていただきます。

投稿: わかめ | 2011/05/02 21:39

わかめ様
コメント有難うございます。
昨晩の鈴本は客席に気合を感じる、そんな初日でした。
小三冶が落語を聴いたって役に立つことはないと語っていましたが、このブログも為にならないことを目標にしています。
それで宜しければ、これからもお立ち寄りください。

投稿: home-9(ほめ・く) | 2011/05/02 22:27

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