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2011/05/14

浜岡原発の「耐震偽装」

“やっぱりそうか”というべきか、“そうだろうな”というべきか、中部電力・浜岡原発は設計段階から耐震偽装があったらしい。
女性セブン5月26日号が伝えているところによれば、設計に加わっていた技師が、原発プラントの耐震偽装の実態を告白している。

その方の名は、千葉県在住の谷口雅春さん(69)。
今から30年以上前、東芝の子会社である「日本原子力事業」の技術者として、浜岡原子力発電所2号機の設計に携わった。
1970年ごろから神奈川県横浜市にある東芝の工場に出向し、原子炉の炉内構造物の設計を担当した。
問題が発生したのは1972年5月で、設計者の代表者会議の中で、「いろいろ計算したがダメだった。この数値では地震が来ると2号機はもたない」という見解が出された。
その理由は、次の通り。
①浜岡周辺では、ほぼ200年周期でマグニチュード8クラスの大地震が起きているため、岩盤が極めて脆い。
そのため浜岡の地盤は岩どころか、握りつぶすことのできる砂利の集まったシャーベットのような状態だった。
②原子炉建屋と核燃料集合体の「固有振動数」が、想定される地震の振動の周期に近いことがわかった。
固有振動数と同じだと揺れが何倍にも大きくなる「共振現象」を引き起こし、地震のリスクが激増してしまう。
この結果から谷口さんは、建設中止もやむをえないかと思ったが、そうはならなかった。

結論は、データを偽装して地震に耐えられることにする、だった。
その対策として、
①岩盤の強度を測定し直したら、福島原発並みに岩盤は強かったことにする。
②固有振動数はアメリカのGE社が推奨する値を採用し、共振しないことにする。
が講ぜられた。
明らかな「耐震偽装」である。
技術者として、そんな危険な原発を造るわけにはいかない、そう思い悩んだ末、谷口さんは会社を去ることになる。
そして浜岡原発は予定通り建設された。

告発の内容から、谷口さんは真実を語っていると思う。
プラントメーカーとしては、何としても仕事が欲しい。
特に会社として力を入れている原発プラントであれば、喉から手が出るほど欲しいのだ。
ところが、通産省(当時)に設置許可申請を出す直前になって、建設を中止せざるを得ないほどの重大な事実が明らかになった。
事実を公けにすればプラント建設は中止となるか、あるいは他社に発注されるかで、いずれにしろ東芝は失注してしまう。
担当者は、企業の幹部から大目玉を食うことになる。
それならいっそ、データを偽装してしまおう。
近いうちに大地震がくることは先ず無いだろうし、もし震災でプラントが壊れても、別の原因にすればいい。
どうせ国策だもん、最後は国が面倒をみてくれるさ。
まあ、だいたいそんな事情だったのだろう。

プラントメーカーの設計者なら、多かれ少なかれ、そうした経験は持っていると思う。
仕事は営業が取ってくるのだが、受注競争の結果、予算も工期も非常に厳しくなり、まともにやっていると無理だと分かる。
だから、悪いのは承知で「抜かざるを得ない」ケースが生じる。
谷口さんのように潔く会社を辞める人は、ごく少数だ。
ここまでは設計の話で、ここから先の実際の工事でも、同様のことが起きる。
どうしても予算が合わないと、やはり分からない程度に「抜く」ことになる。
そんなことが積み重なって、プラントの完成時から問題を抱えることになる。
これは浜岡原発に限ったことではあるまい。
全国の原発どこでも程度の差こそあれ、同様の問題があると考えた方がよい。
「安全な筈」ではダメで、本当に安全かどうかを点検せねばならないだろう。

一説では、米国の強い要請で浜岡原発を止めることになったと言われているが、もしそうなら、既にアメリカ政府側はなんらかの事実をつかんでいるのかも知れない。

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