原発プラントメーカーの沈黙
事故を起こした福島第一原発のうち、運転中だった1-3号機はいずれもメルトダウンだったようだ。
私たちシロウトでさえ予測できていたのに、なぜ政府はあそこまで頑強に否定してきたのか。
原発が絶対に安全だという「神話」が壊れるのを恐れたものか、あるいは何か守らねばならぬ相手でもいたのか、その真意が計りかねる。
今までは千年に一度だなどと、事故の原因を全て津波のせいにしてきたが、どうやらそれも違ったようだ。
電源が失われ冷却水が送れずメルトダウンしたとも報じられていたが、実は電源がなくとも作動するような冷却装置が存在していた。
それは「高圧注水系」と呼ばれる冷却システムで、これだけは核燃料の余熱による水蒸気が主な動力源なので、電源がなくても動くようになっている。
東電による解析結果によれば、その水蒸気を送る配管が破損していた疑いがあることが分かったという。
この水蒸気というのは原子炉圧力容器内から発生したもので、仮に「漏れ」があったとしたら、これだけでも大変な安全上の危機になる。
設計ミスなのか、部材や部品に欠陥があったのか、あるいは工事の手抜きなのか、いずれにしろ原子炉プラントメーカーは責任を免れまい。
今回の原発事故に関連して、以前から不思議に思っていたのは、当事者の一人である原発プラントメーカーが沈黙していることだ。
自分たちが設計し作り上げた装置が大事故を引き起こしたのだから、少なくとも国民に対してなんらかのメッセージを発するのが当たり前ではないか。
ちなみに事故の起きた1-4号機の、各プラントメーカーと建設工事費は以下の通り。
1号機 GE 約390億円
2号機 GE、東芝 約560億円
3号機 東芝 約620億円
4号機 日立製作所 約800億円
全ての原子炉は、米国のゼネラル・エレクトリック社(GE)によって設計されたものを基本としている。
プラント施工工事は鹿島建設によって行われている。
関係するプラントメーカーは事故の原因を調査し、どこに問題があったのか、結果を積極的に公表すべきだ。
他の原発事故を未然に防ぐためにも、その義務がある。
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