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2011/05/13

産経と原発ペンタゴン

俗に政官財のトライアングルという言葉があるが、原発安全神話の形成ではこれに御用学者と御用マスコミを加えた「原発ペンタゴン(五角形)」がその威力を発揮してきた。
原子核分裂を原理とする原子力発電は、それ自身の中に常に危険性を内包している。
通常の火力発電であれば、燃料の供給を遮断してやれば停止ができるが、原発はそうはいかない。
原子炉の臨界停止後も核燃料からは発熱が長期にわたって続くため、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却を続けなければならないからだ。
今回の福島第一の事故に見られるように、すでに停止していた原発でさえ重大事故を引き起こす。
いったん事故が起きれば、放射線の発生や大量の放射性物質の拡散が生じ、周辺地域はもちろんのこと、狭い日本の国土のような場合は、国全体に汚染が拡がる可能性がある。
運転により生じる放射性廃棄物の処理も厄介である。
安全対策に万全を期しリスクを最小限に抑えることが肝要だが、それでも危険性はゼロにはならないのであって、原発の建設にあたってはその点を特に周辺住民に対し正確に理解して貰う必要がある。

そうした丁寧な説明を全て省力し、ただ原発は安全だ、人体には影響しないと吹聴する、これが「原発安全神話」である。
「政」の中心は、むろん自民党だ。神話のストーリーテーラーとして永年にわたり原発推進政策をリードしてきた。
最近になって党内の一部から、過去の政策を検証しようという動きがでてきた。遅きに失したとはいえ、口をつぐんで知らん顔をしている周辺の政党に比べれば、まだ良心的といえる。
「官」と「財」は注釈の必要もないだろう。
「学」は、このブログでも再三とり上げてきた御用学者たちだ。
彼ら科学者こそ、原子力の危険性を最も熟知している筈なのに、安全神話のお先棒をかついできたのだから、特に悪質だといえる。
こういう手合いが集まって原子力安全委員会を運営してきたのだから、堪ったものではない。
彼らを刑事告発できないものだろうか。

最後の、御用マスコミといえば、やはり産経新聞を中心としたフジサンケイグループだ。
その象徴的なできごとが、同グループが国内屈指の環境に関する顕彰制度と自認する「地球環境大賞」で、今春その記念すべき第20回大賞にあの東京電力を選んでいたことだ。
もちろん授賞式は延期となり、東電は受賞を辞退したのだが、仮に事故が起きなかったとしても、環境大賞と東電とは結びつかない。
いかにフジサンケイが原発推進の旗振りをしてきたかを示すものだ。
一説には、受賞企業は主催新聞社にお礼広告を出すしきたりがあり、その広告目当ての授賞だったとの観測がなされているようだが、そうであれば何をかいわんや。
事故が起きる前の産経に、こんな記事が載っていた。
「中国では、現在10基800万キロワットの原子力発電を2080年までに15倍から20倍に拡大する計画が進む。100万キロワット級の原発が今後20年間で百数十基もできる計算だ。インドも電力を原発に求めようとしている。」
だから日本も負けずにどんどん原発をつくれというわけだ。
中国政府のやることはナンデモ反対の産経が、どういう風の吹きまわしだろう。
第一、中国で200基もの原発が建設されるとしたら、我が国の環境保護はもちろん、安全保障上の危惧を指摘すべきであり、そこに思い至らぬとすればマスコミ失格である。
フジサンケイは、現在は原発事故処理について政府批判の急先鋒に立っている感があるが、それ以前に自らの報道姿勢を検証するのが先ではあるまいか。

先ずは「原発安全神話ペンタゴン」を解体した上で、冷静で科学的な議論をすすめる必要があるだろう。

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コメント

「原発ペンタゴン」というネーミング、いいですね。
まさしく、「政官財学マスコミ」が一体となった「悪の軍団」だと思います。
こんな連中のために日本が滅びるわけにはいきません。

小言幸兵衛様
その通りで、本質的に原子力というものは危険なものであり、安全な原子力などというのは有り得ないことです。
そこが全ての出発点でなければいけないんです。
安全神話というのは、いわば国民の思考を停止させるのが狙いで、洗脳です。
それに加担してきた人たちの罪は重い。

フジサンケイグループに加えて、いや、それ以上に讀賣グループの責任は重大だと思います。
原子力委員会の初代委員長はあの正力松太郎、与党の大物議員兼、大マスコミのワンマン経営者、あのナベツネも彼に比べれば小物です。
大正力がいなかったら現在の日本の原子力政策は大きく変わっていたのではないでしょうか。
そういった経緯は讀賣新聞や日本テレビで触れられることは無いようですね。

さだきち様
ご指摘の点は正にその通りです。
正力松太郎及び讀賣グループと原発との関係は、ある意味、産経の比ではありません。
この点は機会があったら、別の記事で触れたいと思います。

私の5月20日のブログからリンクさせていただきましたので、よろしくご了解いただきますよう、お願いします。

小言幸兵衛様
どうぞどうぞ、拙稿がお役に立てるなら幸甚であります。

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