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2011/06/26

#14三田落語会「白酒・扇遊」(2011/6/25昼)

6月25日、曇り後雨の予報にかかわらず朝から快晴、夕方まで雨はなかった。
扇遊じゃないが、どうも半井小絵さんがいなくなってから天気予報が当たらなくなった。早く戻ってきて欲しい。
そんな事はどうでもいい。仏教伝道センタービルで開かれた第14回三田落語会の昼席、毎回続けて足を運んでいるのは、この会がそれだけ充実しているからだ。
この日の昼の部は「白酒・扇遊二人会」で、これまた願ってもない組み合わせ。

<  番組  >
前座・春風亭朝呂久「芝居の喧嘩」
桃月庵白酒「千両みかん」
入船亭扇遊「木乃伊取り」
~仲入り~
入船亭扇遊「ちりとてちん」
桃月庵白酒「佐々木政談」

前座の朝呂久が上手くなってきた。この日は師匠の十八番だったが、もう二ツ目で通用するレベルになりつつある。ただもう少し身体を絞った方がいい。芸人は見てくれも大事。あれでは鈍そうに見えていけない。

扇遊が白酒との共通点としては、決して期待を裏切らないことだ。演目による得手不得手、出来不出来があまり無い。いつでも安心て聴ける。
扇遊の1席目「木乃伊取り」、良かった。
このネタには8人の登場人物がいるが、その全ての演じ分けが鮮やかだった。
特に四角四面だった清蔵が呑むほどに酔うほどに崩れてゆき、最後は娼妓の手練手管にはまってゆくまでの描写が見事だ。
このネタ、現役では白酒が一番かと思っていたが、扇遊のは勝るとも劣らない。

2席目は軽く「ちりとてちん」、扇遊はこういうネタも上手だ。やはり、人物の造形がしっかりしているせいだ。
この人は大師匠の先代小さんにも似ていない、師匠の扇橋とも異なる、独特の芸風をもっている。中堅の真打として、最も注目すべき人だ。
余談だが、鼻の穴が志ん朝に似ている。

当日のチラシに「人気実力ともにナンバー・ワン」と書かれた白酒、確かに今一番面白い噺家は?と訊かれたら、やはり白酒と答える。
白酒の1席目「千両みかん」、早くも夏バテとかで5㎏痩せたと言っていたが、そのせいかマクラではいつもよりテンションが低かった。
ネタに入ってからはテンポ良く、快調に飛ばす。
この演目は近ごろ時間をかけて演る人がいるが、この日の白酒のようにたたみ込むように演じるのが正解。
始めの若旦那と番頭との会話の際に、「ミカンは一つでいい」という部分を抜かすポカはあったが、それ以外はクスグリも適度で、全体に過不足なし。
良い出来だったと思う。

2席目「佐々木政談」、白酒は若手では珍しく「子ども」が上手い。
前半の子ども達の模擬裁判のシーンが良く出来ているから、後半のお裁きの場面が生きてくるのだ。
四郎吉と佐々木信濃守との問答のリズムも心地よく、満足の一席。
こういうネタだと、ふと志ん朝の高座を彷彿とさせる。但し「粋じゃない志ん朝」だが。

両者とも見応えがあったが、扇遊の貫録が勝ったか。

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コメント

はじめまして。
ほめくさんのブログいつも更新を楽しみにしている落語中年女子です。
白酒さんの「佐々木政談」聞かれたのですね。昨年この噺をとあるお寺で聞きました。おっしゃる通り白酒はホント!「子どもが上手い」ですね。小憎らしいさ全開ですもんね。
それと、ほめくさんの「粋じゃない志ん朝」という表現に思わずニヤリとしてしまいました。

おさき様より、おさきさんの方がピッタリ来ますか。
ここ2日間で、白酒の高座を3席聴きましたが、いずれも良い出来でした。
白酒ワールドともいうべき自分の世界を持っていて、持ち前のフラもある。
ネタを良く研究しており、意外と繊細な人ではなかろうかと思ったりしています。
「粋じゃない」「アクが強い」「太目の」志ん朝といった所ではないでしょうか。

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