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2011/06/30

このサッカー少年には罪がない

小さな事件ではあるが、これは見逃すことができない。
新聞記事によれば、2004年2月、愛媛県内の公立小学校の校庭でサッカーゴールに向けてフリーキックの練習中、当時小学校5年生だった少年が蹴ったボールが門扉を越えて道路へ転がり出た。
そこへバイクに乗った87才の男性が通りかかり、ボールを避けようとして転倒し足を骨折。その後に認知症の症状が出るようになり、翌年7月に食べ物が誤って気管に入ることなどで起きる誤嚥(ごえん)性肺炎で死亡した。

このバイク事故をめぐり、ボールを蹴った少年に過失責任があるかが問われた訴訟の判決が6月27日大阪地裁であった。
田中敦裁判長は「ボールが道路に出て事故が起こる危険性を予想できた」として過失を認定。少年の両親に対し、男性の遺族ら5人へ計約1500万円を支払うよう命じた。
少年側は「ボールをゴールに向けて普通に蹴っただけで、違法性はない」と主張したが、判決は「蹴り方によっては道路に出ることを予測できた」と指摘。「少年は未成年で法的な責任への認識はなく、両親に賠償責任がある」と判断した。そのうえでバイクの転倒と死亡との因果関係について「入院などで生活が一変した」と認定。一方で、脳の持病の影響もあったとして、請求額の約5千万円に対して賠償額は約1500万円と算出したものだ。

老人が骨折し寝たきりになったり認知症を発症するケースは多く、それが原因で肺炎を引き起こし死亡することもあるので、バイク事故との因果関係は認められるだろう。
しかし、果たしてこの少年に過失責任が問えるのだろうか。
少年は小学校の校庭でサッカーのフリーキックの練習をしていたのだ。
判決で言っている「蹴り方によっては道路に出ることを予測できた」というのは、大人の目線だ。
もしそうした危険性があったのなら、先ず学校側がゴールの周辺をネットで囲うなどの安全対策を講ずるべきだったのだ。
そうした施策がなかったとしたら、学校側でさえ予測できなかったことが子どもに予測できる筈はない。
法的責任ウンヌンをいうなら、むしろ学校側の管理責任を問うべきだった。

家族が支払うとはいえ1500万円の賠償金は、少年に一生の十字架を課すこととなろう。
場合によっては少年の将来を左右しかねない厳しい判決となったが、蹴ったボールが道路に転がった位で、これほどの罰を与える必要があったのだろうか。そんな大きな罪だったのだろうか。
こんな判決が罷り通るようであれば、全国の親御さんたちはいつもビクビクしていなければならぬ。
新聞報道で読む限りでは、私は少年に違法性はないと思う。
不当判決だと思われるので、少年側の控訴を期待したい。

【追記】(7/3)
この事件に関して2ちゃんねるなど一部のサイトで、事故が原因で亡くなられた方やその遺族を揶揄する書き込みが見られる。
いつもの事ながら、自らの精神の荒廃と頽廃を披瀝する行為であることに気付かないのであろうか。


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2011/06/28

この噺にはこの噺家(た)

大工調べ

古今亭志ん朝

幇間腹

(3)春風亭柳好

代書屋

(2)桂小南

大仏餅

(8)桂文楽

代脈

古今亭志ん朝

高砂や

柳亭市馬

高田馬場

(3)三遊亭金馬

たがや

(3)桂三木助

たけのこ

柳家喜多八

だくだく

立川志の輔

竹の水仙

柳家喬太郎

たちきり

柳家さん喬

辰巳の辻占

(10)金原亭馬生

狸賽

(5)柳家小さん

田能久

(6)三遊亭圓生

煙草の火

(8)林家正蔵

試し酒

(5)柳家小さん

垂乳根

(5)三遊亭圓楽

短命

(5)柳家小さん


歌人の吉井勇や文楽から絶賛されたという向島の柳好「幇間腹」、現在私たちが聴くこの噺とはかなり違います。横暴な客と逆らえないタイコモチとのリアルな関係が表現されているのは、その世界に長く身をおいていた柳好なればこそ。
客の要求をかわしつつ座をもたせようと必死の一八の姿に、幇間の哀れさがにじみ出ている一席。

・江戸時代の両国の川開きの風景が眼の前に見えてくるような三木助「たがや」、
・大店の主人の泰然とした風格を漂わせる彦六「煙草の火」、
・数ある酒飲みのネタの中でもスケールの大きさで屈指の「試し酒」は久造の豪快な呑みっぷりが見事な小さん(「今の」じゃないですよ)、
・そして棟梁の胸のすくような啖呵が痛快な志ん朝「大工調べ」、
いずれもオンリー・ワン。

小さんは「狸賽」の他に、「狸の札」「狸の鯉」などの狸シリーズがあります。

初登場のさん喬「たちきり」は、情緒纏綿でたっぷり泣かせてくれます。
弟子の喬太郎「竹の水仙」は、もうこの人の十八番といって良いでしょう。

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2011/06/27

花形演芸会スペシャル「受賞者の会」82011/6/26)

6月26日国立演芸場で行われた『花形演芸会スペシャル「受賞者の会」』へ。
「花形演芸大賞」表彰式も行われるとあって、毎年チケットの入手に苦労する。
受賞者のファンの方も多いのだろう、会場が華やいだ雰囲気だ。

先ず、「平成22年度花形演芸大賞」の顔ぶれは次の通り。
〔大 賞〕桃月庵白酒
〔金 賞〕三遊亭兼好
     古今亭菊之丞(休演)
     林家二楽
〔銀 賞〕柳亭左龍
     菊地まどか(休演)
     三遊亭遊馬
白酒を始め各賞の人選は順当(浪曲の菊地まどかは未見だが)な所だろう。
出演する芸人にとってはやはり大賞が目標のようで、欠席だった菊之丞がメッセージで「金賞3個(彼は金賞が3回目)と大賞を交換して貰えないか云々・・」と言ったのは、半分は本気だと思う。白酒に抜かれたのは、面白かろう筈はない。
しかし二人どちらかとなれば、やはり白酒となるのは致し方あるまい。
来年は兼好か、ひょっとしたら一之輔が・、その辺りになりそうだ。

<  番組  >
前座・入船亭辰じん「金明竹」
三遊亭遊馬「佐野山」
柳亭左龍「お菊の皿」
三遊亭兼好「壷算」
―仲入り―
「平成22年度花形演芸大賞」表彰式
(司会進行役:入船亭扇辰)

入船亭扇辰「麻のれん」
林家二楽「紙切り」
桃月庵白酒「お化け長屋」

遊馬「佐野山」、先ず声がいい。様子もいい。これは落語家にとって大事な素質だ。
素直で落ち着いた高座は、スケールの大きさを感じさせる。
佐野山の心の動きが伝わらず内容はまだまだだが、将来性十分とみた。

左龍「お菊の皿」、兄弟子の喬太郎が左龍は顔で得してると言っていた事があったが、その通り。このネタなど目だけで笑いが取れる。
地味だが着実に力をつけている左龍、これからの飛躍のためにはあと何か足りない。そこが見いだせれば、お菊さん同様に化けられる。

兼好「壷算」、ここの所私にはやや低迷気味に映っていた兼好だったが、この日は良かった。
瀬戸物屋の店員に「今回は負けたけど、次はサシで勝負しましょう」「あんたは買い物上手じゃなくて詐欺です」と言わせているが、兼好の演出は店員が詐欺に引っかかったと気が付いているのだが反論できないという解釈で、そのもどかしさを表情で見せていた。
兄ぃが50銭まけさせるのに生い立ちから語るクスグリも秀逸。

扇辰「麻のれん」、自分は金賞止まりだったと一言嫌味をいって本題へ。
師匠の十八番だが、もし初めてこのネタを聴くとしたら、扇辰の方が分かり易いと思う。
扇辰の良さは折り目正しい本寸法であるのと、分かり易さだ。つまり丁寧な高座ということ。
按摩が湯呑に指を入れて酒の量を測りながら呑むシーンや、枝豆をきちんと三つずつ口に入れるシーンなど、師匠譲りながら見事で客席は感心の態。
兄貴分の貫録をみせつけた一席。

白酒「お化け長屋」、兼好から「大賞の芸が楽しみ」とプレッシャーをかけられていた白酒。授賞式では小さなガッツポーズも見せていたが、やはり緊張が隠せず、いつもより大人し目の滑り出し。
このネタに対する白酒の解釈は、古狸の杢兵衛から聞かされた怪談話を職人が「作り話だろう」と言う。つまりこれが全てフィクションだと見抜いていたという設定だ。
だから杢兵衛の一言一言にその矛盾をついて楽しんでいる。
これが例えば圓生の場合だと、職人は幽霊が出るかも知れないが怖がらないという人間として設定されている。
解釈が異なれば、演出も違ってくる。
杢兵衛が慌てふためく様も良く出来ていて、大賞に相応しい高座だった。

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2011/06/26

#14三田落語会「白酒・扇遊」(2011/6/25昼)

6月25日、曇り後雨の予報にかかわらず朝から快晴、夕方まで雨はなかった。
扇遊じゃないが、どうも半井小絵さんがいなくなってから天気予報が当たらなくなった。早く戻ってきて欲しい。
そんな事はどうでもいい。仏教伝道センタービルで開かれた第14回三田落語会の昼席、毎回続けて足を運んでいるのは、この会がそれだけ充実しているからだ。
この日の昼の部は「白酒・扇遊二人会」で、これまた願ってもない組み合わせ。

<  番組  >
前座・春風亭朝呂久「芝居の喧嘩」
桃月庵白酒「千両みかん」
入船亭扇遊「木乃伊取り」
~仲入り~
入船亭扇遊「ちりとてちん」
桃月庵白酒「佐々木政談」

前座の朝呂久が上手くなってきた。この日は師匠の十八番だったが、もう二ツ目で通用するレベルになりつつある。ただもう少し身体を絞った方がいい。芸人は見てくれも大事。あれでは鈍そうに見えていけない。

扇遊が白酒との共通点としては、決して期待を裏切らないことだ。演目による得手不得手、出来不出来があまり無い。いつでも安心て聴ける。
扇遊の1席目「木乃伊取り」、良かった。
このネタには8人の登場人物がいるが、その全ての演じ分けが鮮やかだった。
特に四角四面だった清蔵が呑むほどに酔うほどに崩れてゆき、最後は娼妓の手練手管にはまってゆくまでの描写が見事だ。
このネタ、現役では白酒が一番かと思っていたが、扇遊のは勝るとも劣らない。

2席目は軽く「ちりとてちん」、扇遊はこういうネタも上手だ。やはり、人物の造形がしっかりしているせいだ。
この人は大師匠の先代小さんにも似ていない、師匠の扇橋とも異なる、独特の芸風をもっている。中堅の真打として、最も注目すべき人だ。
余談だが、鼻の穴が志ん朝に似ている。

当日のチラシに「人気実力ともにナンバー・ワン」と書かれた白酒、確かに今一番面白い噺家は?と訊かれたら、やはり白酒と答える。
白酒の1席目「千両みかん」、早くも夏バテとかで5㎏痩せたと言っていたが、そのせいかマクラではいつもよりテンションが低かった。
ネタに入ってからはテンポ良く、快調に飛ばす。
この演目は近ごろ時間をかけて演る人がいるが、この日の白酒のようにたたみ込むように演じるのが正解。
始めの若旦那と番頭との会話の際に、「ミカンは一つでいい」という部分を抜かすポカはあったが、それ以外はクスグリも適度で、全体に過不足なし。
良い出来だったと思う。

2席目「佐々木政談」、白酒は若手では珍しく「子ども」が上手い。
前半の子ども達の模擬裁判のシーンが良く出来ているから、後半のお裁きの場面が生きてくるのだ。
四郎吉と佐々木信濃守との問答のリズムも心地よく、満足の一席。
こういうネタだと、ふと志ん朝の高座を彷彿とさせる。但し「粋じゃない志ん朝」だが。

両者とも見応えがあったが、扇遊の貫録が勝ったか。

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2011/06/24

【西山審議官】「原発」も「一発」も隠蔽ですか

Photo福島第1原発事故を受け、原子力安全・保安院のスポークスマンとして、連日会見を行っているあの西山英彦経済産業省大臣官房審議官(54)に、経産省の若い女性職員との不倫スキャンダルが表沙汰になった。
6月23日発売の週刊新潮が報じたもので、記事によれば西山氏は17日の夜、都内の高級ホテルのバーで、20代後半とみられる和風美人の経産省職員とデート。
帰りに一緒に散歩をする間に、女性の腰に手をかけるなどして、節電で暗がりとなった路上では3度もキスをしたという。
つまり原発事故→節電→暗がり→路チューという構図。
西山氏には妻子があるが、部下だった女性の悩みの相談を受けるうちに、約1年前から親密になった由。
週に数回、都内のバーで飲食したり、カラオケボックスのVIPルームで愛を確かめ合う間柄になっていたとか。

福島原発事故処理が重大な段階に差し掛かっているこの時期に、ようやるなぁ。
一体どういう神経をしているんだろう。
週刊新潮の取材に、西山氏は「肉体関係はない」と話しているそうだが、誰も信用しないだろう。
隠蔽は原発事故で日頃から馴れているので、お手のものだ。
西山氏がスポークスマンとして起用されたのは、当初の担当者の原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官が、3月13日の記者会見で「(1号機の)炉心の中の燃料が溶けているとみてよい」との発言内容を官邸側が問題視したためだ。
事実を正直にいう人間では政府は困るのだ。
そこで、ウソで塗り固めた情報を平然と語れる西山氏の才能に、白羽の矢が立ったというわけ。
23日昼の会見でも西山氏は、「こうした報道が出ること自体、私の至らなさで、深く反省している。今朝、海江田大臣にも厳重注意を受けた。この記事によって、私が仕事に身が入っていないという誤解や懸念を与えたとしたら誠に申し訳ない」と、心にもない謝罪をして見せた。

西山審議官、趣味はクラリネットを吹くことだそうだが、「ホラ」の間違いでは。
まったく、この男ときたら頭から下半身まで「隠蔽」だらけ。
これから、どの「ヅラ」下げて国民の前に現れるつもりだろうか。

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2011/06/23

この噺にはこの噺家(す-そ)

鈴ヶ森

春風亭一之輔

鈴振り

(5)古今亭志ん生

ずっこけ

(5)古今亭志ん生

酢豆腐

(8)桂文楽

崇徳院

(3)桂三木助

相撲風景

立川談志

水道のゴム屋

(6)三升家小勝

疝気の虫

立川志らく

ぜんざい公社

昔昔亭桃太郎

千両みかん

(5)古今亭志ん生

粗忽長屋

(5)柳家小さん

粗忽の釘

柳家小三冶

粗忽の使者

(5)柳家小さん

そば清

古今亭志ん朝

ぞめき

柳家喜多八

ぞろぞろ

(8)林家正蔵


水道のゴム屋6代目三升家小勝は、前名・桂右女助の時代に新作落語で売れて人気落語家の一人でした。ただ名跡の小勝を襲名してからは精彩を欠くようになり、人気も落ちてしまったという印象を受けています。
襲名を機に飛躍する人がいる一方、かえって低迷してしまう人もいるのは今も昔も変わりません。
なかには襲名前はパッとしなかったが、襲名後はやっぱりパッとしないという人もいますね、誰とは言いませんが。

初登場では「鈴ヶ森」の一之輔、本シリーズ唯一の二ツ目です。上手いんだから階級はどうでもいいでしょう。
「疝気の虫」志らく、「ぞめき」柳家喜多八は、共に観ないと面白さが分からない噺で、それぞれの代表作といって良いでしょう。

「鈴振り」は、志ん生には珍しいバレ噺です。

その他の演者については、いずれも余人を以って代えがたい顔ぶれとなりました。

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2011/06/22

「桂文珍・大東京独演会」vol.4(2011/6/21夜)

毎年恒例となった「桂文珍・大東京独演会」の第4回が、6月20-22日の3日間、国立劇場小劇場で行われている。その中日21日の夜の部に出向く。
今回は“大好評リクエスト寄席!ネタのオートクチュール”と題して、観客のリクエストによってその日の演目を決めるという趣向。
開演前にリクエスト用紙が配られ、各自が好きな演目を記して投票したので、てっきりその投票結果でネタを決めると思っていたら、さにあらず。
開演後の冒頭、文珍が出てきて大きな演目一覧表を出して、会場の中で希望を募ってネタを決めていた。
それも前日と当日の昼に高座にかけたネタは除くということで、希望どうりというわけでもない。
それはそれで良いのだが、であれば事前のリクエスト投票は一体なんだったのか、首を傾げてしまう。
どうも主催者の意図がよく分からない。
かくして決まったこの日の番組は、下記の通り。

<  番組  >
桂文珍「代書屋」
内海英華「女道楽」
桂文珍「胴乱の幸助」
~仲入り~
桂文珍「算段の平兵衛」

文珍1席目「代書屋」、最初にリクエストがあったネタだが、これを希望した人の意図が分からない。文珍には不向きだと思う。
はたして出来は良くなかった。代書屋と客のセリフのリズムが同じ様ではダメなのだ。
それに昼席で「地獄八景」(ウラヤマシイ!)を演じて疲れた後、夜席で3席演るのだから、どこかで力を抜かねばならないのだろう。
調子が上がらぬまま終わってしまった。

2席目「胴乱の幸助」、こちらは自家薬篭中のネタといって良い。
特に後半の義太夫の稽古場から後の場面が良く出来ていた。
通りかかった稽古屋から聞こえる浄瑠璃『桂川連理柵』(別名『お半長』)の「帯屋の段」が本物の話と勘違いする幸助、戸惑う師匠。このトンチンカンなやり取りの「間」の取り方が巧みで、京都に行くと言い張る幸助に「面白そうだから行かせましょう」のセリフも利いている。
幸助に押しかけられて質問責めにあい、戸惑う帯屋の番頭の表情も良かった。
文珍は得意の義太夫を一節唸るサービスも入れ込んで、気分良さそうに演じていた。
このネタ、現役ではこの人がベストだろう

3席目「算段の平兵衛」、マクラで二号さんのことを東京で「妾(めかけ)」、大阪では「てかけ」というのは知っていたが、「小半(こなから)」というのは初めてきいた。一升の半分が五合、その半分の意味なので二合半。「二号はん」となるそうだ。勉強になった。
このネタは古典には珍しくミステリー風でもありブラックユーモア風でもある。しかも悪人が主人公であって、その悪が成功するという結末も独特だ。
庄屋が死んだと思い込む人たちの戸惑い、自分が犯人なのに金でその算段を引き受ける平兵衛との会話が見どころ。
お花に色気が欠けるため庄屋と酒を酌み交わすシーンに情緒がない欠点はあるものの、それ以外は周囲の慌てぶりと平兵衛の小悪党ぶりの対比が巧みに描かれ、見応えのある1席となっていた。
結末のオチも上手く工夫されていて、後味の良いものに変えていた。

上方落語界は、今や文珍の時代に入ったのだろうか。
他に日本でただ一人の「女道楽」、内海英華が音曲で華を添える。

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2011/06/21

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この噺にはこの噺家(し)

さんま火事

(3)桂三木助

鹿政談

五街道雲助

持参金

三遊亭小遊三

しじみ売り

(2)桂小南

紫檀楼古木

(8)林家正蔵

七段目

林家たい平

七の字

(3)三遊亭金馬

十徳

(8)春風亭柳枝

品川心中

(5)古今亭志ん生

死神

(6)三遊亭圓生

死ぬなら今

春風亭小朝

しの字嫌い

(3)三遊亭小圓朝

芝浜

(3)桂三木助

しびん

(8)桂文楽

締め込み 

(7)橘家圓蔵

蛇含草

(3)桂三木助

三味線栗毛(錦木検校)

柳家喬太郎

洒落小町

(6)三遊亭圓生

宗論

三遊亭遊雀

宿題

(3)三遊亭金馬

(新)寿限無

三遊亭円丈

樟脳玉

(6)三遊亭圓生

松竹梅

柳家喬太郎

尻餅

(8)三笑亭可楽

城木屋

(6)三遊亭圓生

素人鰻

(8)桂文楽

しわい屋

心眼

(8)桂文楽

真景累ヶ淵(豊志賀の死)

古今亭志ん朝

牡丹燈籠(栗橋宿)

(6)三遊亭圓生

新聞記事

(4)柳亭痴楽

前回の「さ」で、三代目三木助の「さんま火事」を落としていたので、冒頭に付けました。
三木助の「芝浜」か「芝浜」の三木助かと謳われた人で、一番の特長はこの人情噺をメルヘンに仕立てたことだと私は思っています。変に理屈っぽく考えリアリティを持たせようとすると、大概失敗に終わる、そういうネタです。
若い頃大阪に行き、二代目三木助の内弟子になっていた関係で、数々の上方落語のネタを東京に移した功績も大です。ここの「蛇含草」もその内の一つ。

数多ある落語の中でどれか一つ選ぶとしたら、迷うことなく志ん生の「品川心中」を選びます。まさに傑作中の傑作ですね。
お染に心中を持ちかけられた金蔵が「おめぇが死ぬってんなら俺も死のうじゃねぇか」と、いともあっさりと応じてしまいますが、こんな人間の心理など不可解で誰も説明がつかない。でも志ん生の噺を聴いていると、なんの疑問もわかず納得させられてしまう、そこが凄い。

「しじみ売り」の2代目小南ですが、元々は上方落語の人です。
当時の大阪弁は東京の人にとって馴染みにくく聴きづらかったのですが、小南は上方訛をマイルドにして分かり易い噺に仕立て直していました。翻訳ですね。東京と大阪の間ということから「京都落語」「静岡落語」と呼ばれた、独特の芸風を確立した人です。

「宗論」は順当なら柳枝か小三冶でしょうが、倅のクリスチャンを演じる遊雀のあの「目」をみると、ついついこっちを選んでしまう。
「寿限無」は該当ナシにしようかと思ったのですが、抱腹絶倒の円丈「新寿限無」を入れてしまいました。ルール違反ですが大目に見てください。
「豊志賀の死」は志ん朝の手にかかると、明るく怖い怪談噺になります。

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2011/06/20

義捐金は有効に使われているのだろうか

今回の大震災にあたり、殆んどの人がなんらかの形で義捐金を出しておられることと思う。
乏しい家計から拠金するわけだから、とにかく被災者の方に一日も早く届けて欲しいと願っているのだが、実際はどうなのだろうか。
本日の時事通信によれば、東日本大震災の被災地を支援するため、伊勢神宮が宗教法人「神社本庁」に送った御料米の一部が福島県に届かず、本庁職員らに配られていたことが分かったとある。
福島に送る予定だった2tの米を、5月半ばに神社本庁が「配給」を決定したもので、「神宮司庁」と書かれたラベルを剥がして約5キロ入りの袋に小分けした後、職員に10~30キロずつ配ったとされる。
職員らの中には持ち帰った人もいたが、受け取りを拒否したり、福島などに送り直したりした職員もいたという。
神社本庁側は否定しているが、かなり具体的で詳細な内容だから、報道は事実だろう。
タレコミでもあったのか。

これは極端な例だと思うが、多くの人が募金に応じている日本赤十字社と中央共同募金会は、6月17日になってようやく義援金の第2次配分として、約1446億円を被災15都道県に送付した。
これまでに約2800億円の募金が寄せられていたのに、いったい何をしているんだという批判の声が高まっていた。
3ヶ月過ぎてからようやく第2次の送金が行われたのだが、今後は各都道県が被災者への配分割合を決め、市町村を通じて被災者に届ける。
果たして肝心の被災者の手元に渡るのは、いつになるのだろうか。
どうもこうした点が、私たちとしては納得がいきかねるのだ。

私は今回の募金については、日赤にも拠金したが、主に「国境なき医師団」へ寄付を行っている。
先ず急がれるのは被災者への医療活動であり、この団体であれば有効に活用してくれるだろうと思ったからだ。
この程、その「国境なき医師団」から活動報告書が届いた。
中味をみると、大震災の翌日12日には6名の派遣チームが現地入りし、その後海外からの応援を含むメンバーが次々と参加したとある。
最初に南三陸町の20か所の避難所での移動診療を開始し、以後沿岸部を北上しながら気仙沼市、陸前高田市を経て、宮古市で移動診療を行っていること。
震災後の40日間で、2075件の診療、1万セットの医薬品や衛生キットの配布、4000人分の生活物資の配布を行っている。
また患者の通院のために、バス2台を寄贈したことが報告されている。
複数チームで交通が遮断され援助が届かない地域や、小規模な孤立地域での医療活動を行っている様子が、写真と共に紹介されている。
こういうのを見ると、僅かな金額だが寄付をして良かったなと思うのだ。

私たちも拠金や寄付をした以上、それが有効に使われているかどうかを監視する義務があるのだろう。
「国境なき医師団」のレポートを読みながら、そう考えた。

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2011/06/19

「雨」@新国立中劇場(2011/6/18)

昨年の「東京裁判三部作」に引き続き、井上ひさし作品「雨」が新国立劇場で上演され、その6月18日の公演を観劇。
本作は1976年の初演以来8回の再演を繰り返しているが、今回は演出も出演者もガラリと変えての再演となる。

【主なスタッフ】
作=井上ひさし 
演出=栗山民也
音楽=甲斐正人
演奏=山田貴之

【  主なキャスト  】
市川亀治郎/金物拾いの徳(喜左衛門に成りすます)
永作博美/「紅屋」の当主・喜左衛門の妻・おたか
植本潤/ 「紅屋」の番頭・金七&花売り
梅沢昌代/芸者・花虫
たかお鷹/親孝行屋&藩士
花王おさむ/おかね&白石屋
山本龍二/住吉大明神宮司&腕香者
山西惇/ 釜六
酒向芳 /佐藤愕夢&願人坊主

ストーリーは。
江戸は両国、雨宿りに入った橋の袂で、金物拾いの徳は乞食から「喜左衛門さまでは」と声をかけられる。
聞けば羽前平畠藩の大手紅花問屋「紅屋」の当主・喜左衛門と瓜二つとやら。
莫大な財産と、女房おたかが大変な美人と聞かされ、ここは一番その喜左衛門とやらに成りすまし、金と女を一挙に手に入れるチャンスとばかり、徳は江戸を後にして平畠藩に向かう。
いくら見た目はそっくりと言っても、本人の生まれ育ち、性格、嗜好、言葉や知識など、どう頑張っても直ぐには身につかない。
そこで天狗にさらわれ全ての記憶を亡くしたことにして、何とか奉公人たちを騙すことができた。
しかし妻が相手となると、男性器が全く違う筈だから、そう簡単ではない。
ところが寝所を共にした妻おたかは、「鈴口」(「亀頭」の隠語)の特徴が同じだと、喜左衛門本人に間違えないと断言する。
「天狗隠し」の言い訳も永くは続かぬとみた徳は、平畠の方言をマスターし、紅花栽培の知識を勉強したりして、次第に本人に成り切ってゆく。
さらに以前の徳を知っている昔の仲間や、偽物だと知った芸者を次々と抹殺して、いよいよ万全な体制かと思ったのだが・・・。

先ず結論からいえば、この芝居は大成功だったと思う。
作品、演出、役者と3拍子揃った傑作といえよう。

以下、演出の栗山民也の解説を参考にして。
本作品は、井上ひさしがオーストラリアに留学中に執筆したもので、江戸っ子の徳が山形弁が全く理解できず立ちつくす姿が、当時の井上本人と重なっているようだ。「言葉と人間」という井上ひさしのテーマの一つだ。
徳が自分の衣を捨て、喜左衛門に成りすませてゆく過程は、井上のもう一つの大きなテーマである日本人の「自己喪失」である。
明治維新では欧米の近代文明を、敗戦時には米国の民主主義を、取り敢えず形式だけ模倣してきた。
その結果、自分たちを冷静に振り返ってみると、「私は誰でしょう」ということになる。
これは井上が終生、自分自身を含めた日本人全体へ問い続けたことだったと思う。
タイトルの「雨」は天から地上に降り注ぐ。
これは政治の中央と地方との関係に似て、全てのことがお上から下々への指令で決まってしまう。
いま問題になっている原発は、その好例だといえよう。
劇の最後に平畠の農民が、あらゆる犠牲を払ってでも幕府の苛烈な要求を撥ねつける姿は、これからの福島を始めとした東北の復興の姿を暗示させているようだ。

全体として歌舞伎仕立てで、世話物の狂言を観ているような気分だった。
おかたいテーマに拘らず、他の井上作品の例にもれず、歌と踊りの入った楽しい娯楽作品となっている。
まるで艶笑譚のようなキワドイ台詞や所作が散りばめられる一方、最後にどんでん返しのあるミステリアスな芝居ともなっている。
凄惨な殺しの場面があったり、結末は徳にとって不幸な終わり方が待っているが、最後のシーンでは救いが用意されていて、決して後味も悪くない。

演技陣では何といっても主役の市川亀治郎が素晴らしい。
さすが歌舞伎役者だけあってセリフがしっかりしており、何より動きが綺麗だ。
徳の心理描写も良く表現されていて、正に適役だ。
妻おたかを演じた永作博美も、実に良かった。
なにより可愛らしく、上品なエロティシズムが溢れる反面、冷酷な顔も見せる。
これほどの演技力のある人だとは思わなかった。
オカマを演じた山西惇のネチネチした演技も良かったし、芸者役の梅沢昌代は殺害されるシーンが美しかった。
植本潤の軽妙な動きや、花王おさむと酒向芳の怪演を含めて脇の演技陣も充実しており、個々の演技、全体のアンサンブル、音楽と演奏、いずれも文句なし。

公演は6月29日まで、新国立劇場・中劇場にて。

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2011/06/18

この噺にはこの噺家(さ)

西行

(4)柳亭痴楽

杯の殿様

(6)三遊亭圓生

ざこ八

(3)桂三木助

佐々木政談(池田大助)

(3)三遊亭金馬

雑排

春風亭柳昇

真田小僧

古今亭志ん朝

猿後家

柳家小三冶

皿屋敷(お菊の皿)

柳家喬太郎

ざる屋

(10)金原亭馬生

三軒長屋

古今亭志ん朝

山号寺号

(8)春風亭柳枝

三十石

(6)三遊亭圓生

三人旅

(3)三遊亭金馬

三人無筆

三遊亭圓窓

三年目

(6)三遊亭圓生

三方一両損

古今亭志ん朝

三枚起請

(5)古今亭志ん生

落語には様々な人物が登場しますが、分けても難しいと思われるのが「子ども」です。
下手な噺家が演じると、子どもと大人の区別がつかない。子どもが主人公のネタは、その出来具合で良し悪しが決まってしまう。
その点、佐々木政談(池田大助)の三代目金馬は実に上手い、いいお手本です。

同様に志ん朝も子どもの描き方が巧みで、前座噺の「真田小僧」も志ん朝の手にかかると一段と面白くなります。
その一方で志ん朝は、「三軒長屋」の鳶頭の女房では、鉄火でありながら年増の色気を醸し出すという難役を見事に演じています。
軽い噺から大ネタまで、全てが一級品。
惜しくも10年前に亡くなってしまいましたが、正に20世紀最後の名人と呼ぶに相応しい落語家といって良い。
志ん朝について語り出すと尽きないので、これはまた別の機会に。

その20世紀最後の年に真打に昇進したのが喬太郎(たい平と同時)。
鈴本での真打披露興行に行って驚きました。前から2列までの席が、20代から30代位と思しき若い女性で占められていたのです。
それまでの寄席の客というのは年配、それも男性が多かったので、異様な光景に映りました。
今では各種落語会など、女性客が多いなどというのは極く普通のこととなったのは、皆さまご存知の通り。
大衆芸能である落語は、客層が変われば落語自身も変わらざるを得ない。男女の切ないラブストーリーなんて新作、一昔前なら考えもつかなかった。
そうした反面、喬太郎は盲人を主人公とした噺で俄然異彩を放つ。8代目文楽とのある種の共通性をも感じるのです。
皿屋敷(お菊の皿)では、歌舞伎の責め場の演出を入れ込んでいます。
ここ10年間で落語界に最も大きなインパクトを与えたのは、喬太郎でしょう。

その他、「柳亭痴楽はイイ男」と「春風亭柳昇といえば今や我が国では・」が初登場です。

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2011/06/16

この噺にはこの噺家(こ)

孝行糖

(3)三遊亭金馬

強情灸

(5)古今亭志ん生

甲府い

古今亭志ん朝

高野違い

(3)三遊亭金馬

黄金餅

(5)古今亭志ん生

五貫裁き(一文惜しみ)

立川談志

小言幸兵衛

(6)三遊亭圓生

小言念仏

(3)三遊亭金馬

後生鰻

(5)古今亭志ん生

胡椒の悔やみ

(8)春風亭柳枝

碁泥

(5)柳家小さん

五人廻し

立川談志

子ほめ

五街道雲助

駒長

古今亭志ん朝

小間物屋政談

(6)三遊亭圓生

子別れ(子は鎹)

(8)三笑亭可楽

権助魚

春風亭昇太

権助提灯

(4)三遊亭圓遊

紺田屋

(2)三遊亭円歌

蒟蒻問答

(5)春風亭柳朝

権兵衛狸

(3)三遊亭金馬

紺屋高尾

柳家花緑

ここでは3代目三遊亭金馬の名が目につきます。
戦後にラジオの民間放送の開局があいつぎ、国民が笑いを求めていた事情も重なって、演芸番組が一気に増えました。
戦後の寄席ブームです。
その中にあって、常に出演回数がトップであったのは先代・金馬でした。人気もトップでした。

先ず語り口が明解で分かり易かったこと。前座噺から大ネタまで持ちネタが多く、長いものを除けば一席15分以内に収める工夫をしていたこと、などがその理由です。
当時の小学校では、教師の机にあがって一席うかがうような小生意気な少年(私もその一人)が、クラスに一人位はいたものですが、それが揃いも揃って金馬のネタでした。
それまで東京や大阪など、都会の人の娯楽であった落語を、一挙に全国に広めた最大の功労者と言って良いでしょう。
ただ、いわゆる落語通からは評価が低く、名人の列に加えられることはなかった。
ここに挙げた金馬のネタで、これを超える人は未だ出ていないと、私は思います。

今回一番悩んだのが「子別れ」で、下の「子は鎹」を含めればかつての名人から現役まで、沢山の口演が残されています。
その中から選んだのは、昏い酔っ払いを演じさせたらこの人の右に出る者がいないとされる、「らくだ」の可楽です。
全体に抑制した演出の中に、親子の情をしんみりと描いたもので、当時の庶民の生活感に溢れています。
圓生を始めとして数々の名演があるので、後はお好みです。

今回で「あ行」から「か行」まで終り、これで約3分の1が片付きました。
実はこれから先が大変で、手元の一覧表は空白だらけです。
この先は少しペースダウンになるかも知れませんが、宜しければ最後までお付き合いください。

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2011/06/15

自民党こそ「集団ヒステリー」

自民党の石原伸晃幹事長は6月14日の記者会見で、イタリアの国民投票で原発反対派が多数だったことについて「あれだけ大きな事故があったので、集団ヒステリー状態になるのは、心情としては分かる」と語った。
また「反原発と言うのは簡単だが、生活をどうするのかということに立ち返ったとき、国民投票で9割が原発反対だから、やめましょうという簡単な問題ではない」とも述べた。
いささか不謹慎とも思える発言だが、原発推進を党是としてきた自民党にとって、スイス、ドイツに次ぐイタリアの反原発の動向には、相当イライラが募っているに違いない。

この発言は、最近の我が国での世論調査で、次第に脱原発への支持が高まりつつあることも、念頭においたものだろう。
国民の9割が反対しようと、自民党としてはあくまで原発推進の方針は変えないという決意表明とも受け止められる。
そうであれば、自民党として原発の安全性確保について、どのような政策を持っているのだろうか。
停止あるいは休止中の原発を再稼働させるにあたり、地元の了解を含めたどのようなプログラムを提示するつもりなのか、さっぱり分からない。
それ以前に、従来の原発推進政策をこのまま続けるのか、それとも再検討や手直しを行うかさえ不明確だ。

近ごろの自民党といえば、被災者への救済や被災地の復興などそっちのけで、専ら「政局」にうつつを抜かす毎日だ。
先日の小沢一郎に踊らされた内閣不信任案騒ぎ、あれこそ集団ヒステリーだった。
その後、国会質問では菅首相の辞任はいつかといった質問ばかり眼につく。
ナントカのひとつ覚え。
そして例の「大連立狂想曲」。
中味といえば、政権を維持したい民主党と、なんとか政権に参加したい自民党との、政策なき「野合」だ。
元々彼らにとっては、国民生活など、どうでも良いのだろう。
こんな事ばかりやってるから、民主党が自爆ともいうべき大コケしているのに、自民党の支持率が一向に上がらないのだ。

石原幹事長殿へ、イタリアの心配より先に、日本の将来を心配したら。
慎太郎の息子じゃムリか。

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2011/06/14

この噺にはこの噺家(き-け)

祇園会

春風亭正朝

菊江の仏壇

(10)金原亭馬生

紀州

(6)三遊亭圓生

肝つぶし

(6)三遊亭圓生

きゃいのう

柳家金語楼

九州吹き戻し

立川談春

御慶

古今亭志ん朝

金魚の芸者

柳家小満ん

近日息子

(3)桂三木助

禁酒番屋

(5)柳家小さん

黄金の大黒

立川談志

金明竹

柳家喬太郎

くしゃみ講釈

(3)三遊亭金馬

首ったけ

(5)古今亭志ん生

首提灯

(6)三遊亭圓生

熊の皮

三遊亭遊雀

汲みたて

(6)三遊亭圓生

蜘蛛駕籠

(5)柳家小さん

蔵前駕籠

(3)三遊亭金馬

稽古屋

春風亭小朝

源平盛衰記

立川談志

俳優に転じて、日本を代表する喜劇役者となっていた金語楼ですが、たまに寄席に戻り高座にかけていたのが、この芝居噺の「きゃいのう」。昭和の前半に一時代築いただけの実力をみせていました。ただ音源が残ってるかどうか。
実弟の先代・桃太郎も上手い噺家として定評がありましたが、今は忘れ去られた存在になってしまい、音源も残されていないかと思われます。
落語は大衆芸能ですから、時代と共に評価が変わるのは避けられません。今をときめく落語家のうち、はたして後世に名が残るのは何人いるのでしょうか。

「源平」と「黄金(きん)の大黒」、それに後から出てくる「五人廻し」「相撲風景」は家元のオンリー・ワンです。この人の「源平」を聴いたら、他は聴けません。

これが代表作かよと、談志ファンからは異論が出そうですが。

「菊江の仏壇」や「近日息子」、いずれも良い噺なので継承者の出現が待たれるところです。

「稽古屋」では多芸ぶりを見せた小朝。
「金明竹」の面白さを再認識させてくれた喬太郎。
「金魚の芸者」を復活させた小満ん、など。
ここでは現役の噺家から選んでいます。

「祇園会」は根岸の文治、「稽古屋」は圓生、「熊の皮」は柳枝、「金明竹」は先代金馬だろうと、お叱りを受けるかも知れませんし、当方も全く異論はありません。

ただ、落語はライブです。
いくら名人だ名演だといっても、過去の噺家のナマの高座を観ることはできません。
これからも出来るだけ現役の人を、それも一人でも多く登場させたいと考えております。

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2011/06/13

「鯉のあらい」と「氷」

落語「青菜」で、涼感を醸し出すために、鯉の洗(あら)いの下に敷かれている氷を頬張るという演出が行われていて、私はこれに対して異論をはさんでいます。
この点について、少し補足したいと思います。

先ず「あらい」の意味ですが、通常の刺身と異なり、鯉の身をそぎ切りにしたものを水で洗うことから、この名が付けらえています。
ではなぜ鯉は刺身にせず「あらい」にするかというと、一つは川魚独特の生臭さがあるためです。水で洗って、臭みを除くのです。
次に、氷水で冷やすことにより身を引き締めて、食感を良くするためです。植木屋さんが「歯ごたえがあって美味しい」と言っているには、このためです。
もう一つは、川魚に付着している寄生虫を殺すため、一度お湯に浸してから冷水で洗うことがあります。
夏によく用いられる調理法なので、氷の上に置いて出します。飲食店ではザラメと言われる細かな氷の上に、鯉のあらいを並べて出すことが多い。
さらに生臭さを消すために、酢味噌につけて頂きます。

夏場の氷ですが、今は冷蔵庫で簡単にできますが、昔は夏になると氷屋が売りにきて、それを各家庭で買ったもんです。
アイスボックスと呼ばれる箱の中に入れ、夏場の食品保存に使いました。
あるいはアイスピックを用いて「ぶっかき氷」に砕き、適当な大きさのものをそのまま頬張ったり、水を入れて氷水にして飲んだりしました。
ぶっかき氷は大きさも形も不揃いです。
「青菜」の氷も「ぶっかき氷」だっと思います。
ザラメじゃ、頬張れませんし。

「青菜」ではそうした氷を使ったでしょうから、そのままでは「あらい」は上に乗せられません。
おそらく氷の上に布巾を敷いて、その上に鯉の洗いを並べたものと推測されます。
植木屋は布巾をめくって下にある氷を取りだし、頬張ったのでしょうか。
いずれにしろ、生臭い魚の下に敷かれた氷を口に入れるような事はしませんね。
なぜこうした演出にしたのかと想像するに、この噺の前半はこれといった面白い場面がなく、笑いを取るために入れた。
あるいは、このシーンを入れることにより涼感を増すと考え、こうした演出を行ったのでしょう。

鯉のあらいと氷をめぐる一席、お粗末さまでした。

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2011/06/12

#7大手町落語会(2011/6/11)

前夜からの雨がようやく上がった6月11日午後、日経ホールで行われた「第7回大手町落語会」へ。
珍しく開演前に前座を上げたが、これは良かった。
早く着いた人には時間つぶし、遅く来た人は前座を聴かなくてすむ。

前座・柳家おじさん「子ほめ」
<  番組  >
春風亭一之輔「粗忽の釘」
桃月庵白酒「化物使い」
柳家権太楼「青菜」
~仲入り~
春風亭一朝「大工調べ(序)」

一之輔「粗忽の釘」、マクラで、自分についての紹介で「謙虚さを併せ持つ」と書かれているのを咎め、芸人が謙虚というのはどうなんだろうと言っていたが、その通り。褒め言葉になっていない。
マクラでこんな事をいう二ツ目もこわい。
この女房は亭主を大声で怒鳴るわ、亭主の失敗を眺めて楽しんでいるわと、一段と怖ろしい女として描かれている。これじゃ亭主も委縮して、ついつい失敗を重ねるというもの。
とても良く出来ていて面白かったが、夫婦が行水を使う場面の演出が過剰で、全体へのバランスを崩してる。
一之輔ほどの腕前なら、ここは飽くまで正攻法で押して欲しかった。

白酒「化物使い」、こちらもプログラムで、「素直に笑えるブラックジョーク」という表現がおかしいと指摘。この日のプログラムは恰好のマクラの材料を与えていたようだ。
「化物使い」だが、本寸法で上出来だった。
志ん朝の高座を彷彿とさせるというと褒め過ぎになるだろうか。
先ず吉田の隠居と奉公人の杢助の人物像がクッキリとしている。
杢助は愚鈍な田舎者なんかではなく、大きな人物として描かれている。
後半でノッペラボウの女が隠居から布団を敷けと言われ、身の危険を感じて逃げ出す演出もいい。
この隠居が恐らくは妻に先立たれ、一人暮らしを余儀なくされ、淋しい思いをしていたであろうことが思い起こされる。
ここ数年で聴いた「化物使い」では、白酒がベスト。

権太楼「青菜」、マクラで大震災への募金活動の経過が紹介されていた。先日の立川流落語会で志らくが、落語協会の募金活動を散々こき下ろしていたのとは対照的。
さてネタに入って、権太楼の「植木屋さん」の第一声で会場からどよめきが。ここのところ権太楼が、寄席や落語会で頻繁に「青菜」を掛けているようで、それへの反応だと思われる。
しかし、結論からいうとこの「青菜」は感心しないし、権太楼には合わないと思う。
このネタの勘所は、前半の主人と植木屋が縁側で会話する場面でいかに「涼感」が出せるかだ。
ここの主人は風流人であり、ユッタリとした風格が求められる。権太楼の描く主人にはそれが足りない。だから「涼感」に欠けてしまう。
権太楼の欠点は、描く人物像に幅がないことだ。
そういう意味で後半は権太楼の得意の世界であり、面白かったし、暑苦しさも十分表現されていた。

一朝「大工調べ」、最後に一朝が「大工調べの序でございます。」と言ったとき、一瞬会場から「エッ」という短い反応があった。
無理もない。中入り後が1席なのだから、誰しもが長講を予想していただろう。
時間の関係だったのかも知れないが、いってみれば肩すかしを食わされたような感じだった。
このネタの肝心要はいうまでもなく、棟梁の「啖呵」にある。
胸のすくような啖呵を息もつかせず一気に切れるかどうかで、全てが決まる。
一朝の啖呵は残念ながら、少々息をつかせてしまった。
志ん朝や5代目柳朝の「大工調べ」が懐かしい。

今回は、前半の若手二人が収穫だった。

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2011/06/10

この噺にはこの噺家(か)

火焔太鼓

(5)古今亭志ん生

景清

(8)桂文楽

掛取万歳

(6)三遊亭圓生

笠碁

(10)金原亭馬生

鰍沢

(6)三遊亭圓生

火事息子

(8)林家正蔵

刀屋(おせつ徳三郎・下)

古今亭志ん朝

刀屋(牡丹灯籠・発端)

(5)古今亭志ん生

片棒

(9)桂文治

かぼちゃ屋

(5)柳家小さん

蝦蟇の油

(3)春風亭柳好

紙入れ

(6)三遊亭圓生

紙屑屋

(7)橘家圓蔵

蛙茶番

 

替り目

(5)古今亭志ん生

かんしゃく

(8)桂文楽

勘定板

昔昔亭桃太郎

堪忍袋

柳亭市馬

看板のピン

(5)柳家小さん

雁風呂

(6)三遊亭圓生

巌柳島

(5)古今亭志ん生

「勘定板」桃太郎と「堪忍袋」市馬を除くと、鉄板の顔ぶれになってしまいました。桃太郎はオリジナルの改作に成功し、市馬は女房が袋を縫う姿が可愛らしい。

同じ「刀屋」でも「牡丹灯籠・発端」は父親の志ん生、「おせつ徳三郎・下」は志ん朝と父子で分かれました。志ん生のは倒れた後の最晩年の録音が残っています。言葉こそ少し不自由になってはいますが、クスグリを散りばめながら最後まで緊張感のある高座で、この人の芸の凄さを改めて感じることができます。志ん朝の好演はいうまでもないでしょう。

紙屑屋」は先代・圓蔵。芸風が地味で世評は高いとはいえませんが、飄々とした中に、この人が負ってきた人生が高座に現れています。後から出てくる「締め込み」では特にそれを感じます。

あかにしやケチ兵衛が主人公の「片棒」は、そのまんまで通称・ケチの文治。「エデンの東」のギャグが懐かしいけど、若い人には通じないか。

ここまでで3回、”あ”から”か”まで終わりました。当初10回の予定としていたが、とてもそれに収まりそうもありません。予想していたより手間のかかる作業で、えらい事を始めてしまったなと、実は後悔しているところです。
自業自得、自縄自縛、自給自足・・・ってこれはチョット違うか。とにかく完走だけはしたいと、念じております。

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2011/06/08

この噺にはこの噺家(お)

王子の狐

(8)春風亭柳枝

王子の幇間

(8)桂文楽

阿武松

(6)三遊亭圓生

近江八景

(3)三遊亭金馬

大山詣り

(6)三遊亭圓生

おかめ団子

古今亭志ん朝

臆病源兵衛

桃月庵白酒

お血脈

 

唖の釣り

三遊亭金時

おすわどん

桂歌丸

お茶汲み

古今亭志ん朝

お直し

(5)古今亭志ん生

お化け長屋

(6)三遊亭圓生

お初徳兵衛

(5)古今亭志ん生

帯久

立川志の輔

御札はがし(牡丹灯籠)

春風亭小朝

お神酒徳利

(3)桂三木助

お見立て

古今亭志ん朝

親子酒

(10)桂文治

お若伊之助

古今亭志ん朝

後継者がなかなか現れず、埋もれかけているネタというのが結構ありますが、その中で「臆病源兵衛」は白酒、「帯久」は志の輔が見事に復活させています。「王子の幇間」も文楽の後継者が待たれるところです。

「唖(おし)の釣り」はタイトルに差別用語が入っているということで、高座にかかることが少なくなりましたが、古典芸能でこれを言い出したらキリがない。金時がベスト。

「お化け長屋」は圓生ですが、めったに演じられない後半に限れば志ん生。

「牡丹灯籠」のうち有名な「御札はがし」は名演が多いのですが、この怪談噺を清冽な青春文学に仕立て上げた小朝に。

「お見立て」と「お若伊之助」は志ん朝が絶品、他の追随を許さない出来です。

「親子酒」は父親が酒をねだる場面が良く出来ている、文治。弟子の桂平治が来秋、11代目文治を襲名することが決まりました。ここ最近「?」と首を傾げる襲名が続くなかで、これは誰もが納得いく慶事でしょう。

「おかめ団子」と「お直し」は志ん生と志ん朝、「御神酒徳利」は三木助と圓生、どちらも甲乙つけ難いところで、後は好みの問題です。

選定基準として、物故者の場合はCD,DVD、ダウンロードなどで音源の入手が可能なものから選んでいます。
現役については、原則としてライブの高座を聴いたものに限定しています。したがって選択に限界がある点はご了承ください。
物故と現役の中間の場合は・・・って、これはやめておきましょう。

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2011/06/06

#9ストラディヴァリウス サミット・コンサート(2011/6/5)

6月5日、サントリーホールで行われた「第9回ストラディヴァリウス サミット・コンサート2011」を鑑賞。
このコンサートは元々、ミューザ川崎シンフォニーホールにて開催を予定してのだが、3月11日の地震でホールの天井材が落下する被害が発生したため、こちらへの振替え公演となったもの。
場所も開演時間も変更になって戸惑った人も多かっただろうが、入りを見る限りでは殆んどの人が参加したようだ。
それにしても、あの程度の揺れで天井落下とは、ミューザ川崎はお粗末。
もし開演中なら惨事を引き起こすとこだった。
現在、原因を調査しているようだが、欠陥建築だろう。
福島第一原発もそうだが、”安全な筈”と”安全だ”は別問題。あっちも工事に欠陥があった可能性もある。

コンサートのタイトルだが、ストラディヴァリウスが11台集結とある。
その内訳は、幻の銘器 ヴィオラ「グスタフ・マーラー」(1672年製作)と、日本人が初めて所有したストラディヴァリウス ヴァイオリン「キング・ジョージⅢ」(1710年製作)など7台のヴァイオリン、2台のヴィオラ、2台のチェロから成り、その時価総額は約90億円だそうだ。
家を出る前に古くからいる同居人にこれを説明したら、「なんだか趣味悪そうね」と嘲笑されてしまった。
ゲージツの分からない人と議論してもムダなので、無視して出かける。

<  演奏プログラム  >
◆モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 KV136 
Mozart: Divertimento in D Major KV136
◆チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ(弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 作品11より)
ノクターン ニ短調(6つの小品 作品19より編曲)
Tschaikovsky: Andante Cantabile / Nocturne op.19
◆モーツァルト:セレナーデ第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」ト長調 KV525
Mozart: Serenade No.13 G Major KV525 “Eine kleine Nachtmusik”
―休憩―
◆ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「和声と創意の試み」より「四季」
Vivaldi:“The Four Seasons” from the Contest between Harmony and Invention op.8..

演奏者はベルリン・フィルハーモニック・ストラディヴァリ・ソロイスツ。
世界最高のオーケストラ、ベルリン・フィルのメンバーを中心とした公式な弦楽アンサンブル。
楽器は前記の11台にコントラバス1台とチェンバロ1台が加わり、総勢13名というメンバー。

音楽ってぇくらいだから、先ず音が良くなくっちゃいけない。
当たり前だと言われそうだが、これがそうでも無いのよ。
今回の演奏会は名手が名器を弾くわけで、早くいえば「鬼に金棒」「噺家に祝儀」、悪ろう筈がない。
実に結構な音色でしたな。
ヴァイオリンやヴィオラの華やかな音に聞きほれ、チェロの重低音の響きにウットリ。
それと弦楽器にチェンバロが1丁加わると、随分と印象が変わる。
鍵盤楽器は打楽器だと前に読んだことがあるけど、この日それを実感した。
プログラムがポピュラーな曲が多いのも良かった。
知ってる曲だと、音の方に集中できる。

演奏終了後、演者の一人が日本語で挨拶、大震災へのお見舞いの言葉と、亡くなられた方々への魂に贈るということで、アンコールを弾いてくれた。
「G線上のアリア」は心に沁みましたね。
ハートフルなコンサートで、とても良かった。
各地で開かれた彼らの演奏会はこの日が最終日、彼らも名器と共にベルリンへ戻る。
「名器は遠くなりにけり」。

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2011/06/05

#17たから寄席「遊雀&兼好二人会」(2011/6/4)

菅首相の早期退陣が固まりつつあるようですな。
せっかく西城秀樹の「激しい恋」の替え歌で、
「激しい声」ってぇのをこさえたのに、これじゃ没だ。
悔しいから一部を紹介させてもらいますね。

♪辞めろと言われても 今では遅すぎた
 激しい非難の声に 巻き込まれたら最後さ
 -----(中略)-------
 軽い 軽い いつもの言い訳ぇー

ダメか、こりゃ。

6月4日は寳幢院で行われた久々の第17回たから寄席へ。
今回は「遊雀&兼好二人会」という贅沢な趣向。
梅雨の合間の晴れの天気でかなり蒸していたが、会場である寺の本堂は風通しが良い上にサービスで団扇が配られ、快適な環境だった。
開口一番は何とかいう京都の大学生だったが、こういう会にアマチュアを使うのは感心できない。

<  番組  >
三遊亭遊雀「干物箱」
三遊亭兼好「猫の災難」
~仲入り~
三遊亭兼好「猫の皿」
三遊亭遊雀「居残り佐平次」

図らずもこの二人は共通して”目”が可愛らしく、使い方が巧みだ。
だからずっと目を見ながら噺を聴いていた。

兼好の今回は「猫」シリーズで、1席目「猫の災難」。
小柄なのに、どこからあの大きな声が出るんだろうと思ってしまう、声帯が強いんだろうか。落語家としては恵まれた天性だ。
勘所は、相手が鯛を買いに行っている間に、待ちきれなくて酒を一人で呑んでしまう、その過程の描写。
最初は味見だったのが、半分、いや1合だけ残してと思いつつ、次第に気が大きくなってしまう。
躊躇と誘惑の間の綱引きを、兼好は上手く表現していて、こぼれた酒を畳を指で押しながら吸うという演出も効果的。
ただ酔っぱらい方はもう少し研究が必要だ。
先代小さんのように、鉢巻をして出刃包丁を振りましながら猫を追う練習のシーンが欲しかった。これを繰り返しているうちに待ちくたびれて寝込むという手順になる。

2席目「猫の皿」
後から出た遊雀も言っていたが、スケジュールの都合だろうか、やや急ぎ過ぎだった。
山村の茶店で周囲の景色を楽しみながらユックリと時間を過ごす。
前半の”緩”があって、後半の”急”が利いてくるのだ。
”皿”を見つけてから以後はテンポが良く、懐に入れた猫が暴れる仕草は秀逸。

遊雀の1席目「干物箱」
マクラで一戸建てを新築したとのこと、流行っている芸人はお金持ちになってくるわけだ。
昔は学問のない貧乏人が噺家になっていたが、近ごろそっちは客席に座ってる時代。
若旦那の身替わりに2階に上がった善公がオドオドしながら一喜一憂し、最後は自分を嘲る手紙を発見してキレるところまで、遊雀の「一人キチガイ」ぶりが冴える。
この人の持つある種の狂気が活きた一席。

2席目は大ネタで「居残り」。
主人公の佐平次は小悪党だが、最初は遊郭の客として、次は「居残り」で見世の若い衆の風体、そして最後は正体を現すという人物描写が勘所。
遊雀はその演じ分けを目の動きで表現していた。
客の勝っつぁんの舞い上がりぶりや、お人好しの主人の狼狽ぶりも良く出来ていた。
何より地域寄席の昼席で、このネタを掛ける了見を買いたい。

同じ三遊で、師匠が「笑点」の人気者なのも共通だが、この日は遊雀が貫録を見せていた。

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2011/06/04

政局「トンマ節」2011

「トンマ節」

(唄:鳩山由紀夫)
あなたのくれた 約束の
玉虫模様が チョイト気にかかる
さんざ「退陣」 匂わせて
あとでアッサリ つぶす気か
アー トンマトンマ

(唄:菅直人)
言えばよかった 「続投」が
何故に言えない 打明けられない
バカだウソだと また非難
ほんに苦しい 総理の座
アー トンマトンマ

(唄:谷垣禎一&山口那津男)
こうしてこうすりゃ こうなると
知りつつこうして こうなった「否決」
踊った私ら 悪いのか
迷わす小沢が 悪いのか
アー トンマトンマ

ダメダ、コリャ!

*****************
【オリジナル】
「トンコ節」
作詞: 西条八十
作曲: 古賀政雄
唄: 久保幸江・楠木繁夫

あなたのくれた おびどめの
達磨の模様が チョイト気にかかる
さんざ遊んで ころがして
あとでアッサリ つぶす気か
ネー トンコトンコ

言えばよかった ひとことの
何故に言えない 打明けられない
バカな顔して また帰る
恋は苦しい おぼろ月
ネー トンコトンコ

こうしてこうすりゃ こうなると
知りつつこうして こうなったふたり
ほれた私が 悪いのか
迷わすお前が 悪いのか
ネー トンコトンコ

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2011/06/03

この噺にはこの噺家(あ-え)

これから10回に分けて、落語のネタ別に、この噺にはこの噺家という企画を立てました。
よく「この落語家を聴け」だの「落語CD推薦版」などといったタイトルで書籍が出版されていますが、そんな大それたモノでは一切ありません。
例によって独断と偏見で、エイヤっと書き出したものですから、何の参考にもなりません。
イヤそれは違うだろうとか、もっと別の落語家の方が優れているとか、様々なご意見があるでしょう。
十人いれば気は十色、何せ落語の世界ですから。

表の見方は次の通り。
・対象は東京落語に限定した。
・ネタはアイウエオ順に並べた。今回はその内「あ-う」まで。
・(数字)は代目かを表し、当代及び志ん朝のように特定できる場合は名前だけにした。
・長い噺の場合は、その一部を対象にした。

根   多

演  者

青菜

春風亭小柳枝

あくび指南

(5)古今亭志ん生

明烏

(10)金原亭馬生

愛宕山

(8)桂文楽

あたま山

 

穴泥

(5)柳家小さん

鮑のし

(5)古今亭志ん生

按摩の炬燵

柳家喬太郎

家見舞い

(5)柳家小さん

幾世餅

(10)金原亭馬生

居酒屋

(3)三遊亭金馬

石返し

(5)柳家小さん

一眼国

(8)林家正蔵

一分茶番(権助芝居)

(3)春風亭柳好

井戸の茶碗

柳家喬太郎

犬の目

 

居残り佐平次

古今亭志ん朝

位牌屋

(6)三遊亭圓生

今戸の狐

古今亭志ん朝

今戸焼

(9)桂文治

芋俵

(5)柳家小さん

浮世床(ノウチ夢)

(4)三遊亭圓遊

浮世根問

(3)三遊亭金馬 

牛ほめ

 

うどん屋

(5)柳家小さん

鰻の幇間

(8)桂文楽

馬のす

(8)桂文楽

厩火事

古今亭志ん朝

これで約10分の1ですが、やはり昭和の名人といわれる文楽、志ん生、圓生、それに金馬、三木助、馬生、小さんに志ん朝、この8人でかなりの部分を占めることになりそうです。

今回のセレクトについて少し補足しますと、「一分茶番(権助芝居)」は近ごろでは前半だけで切るケースが多いのですが、この噺は後半が面白い。芝居シーンが巧みな向島の柳好にしました。

「浮世床(夢)」のように軽いネタは軽い4代目圓遊に、「今戸焼」は先代可楽の十八番ですが、ここでは軽妙な留さんの文治に、「井戸茶」は独自のアレンジを評価し喬太郎に、それぞれしています。

「厩火事」は“帯に短し襷に長し”で迷ったあげく、無難なところで志ん朝です。

「浮世根問」は最近「やかん」に押されて高座に上がることが少ないのが残念ですが、知ったかぶりが追い詰められていく姿はこちらの方が鮮明で、これは先代金馬。

さて皆さんの好みはいかに?

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2011/06/02

【不信任案否決】次の選挙では「自・公」議員に鉄槌を

自民、公明、たちあがれ日本の3党が提出した菅内閣不信任決議案は1日午後の衆院本会議で採決され、民主、国民新の与党の反対多数で否決された。
採決結果は、投票総数445票、反対293票、賛成152票だった。
当然の結果である。
この時期に「政局ごっこ」をやっているヒマはないのだ。

私は民主党政権を支持しないし、ましてや菅直人は首相として不適格だと思っている。
しかし今回の不信任決議には大義も道理もない。
趣旨説明で自民党の大島副総裁が、盛んに目をむきながら見得を切っていたが、中身は空っぽ。
例えば原発事故の処理について内閣の不手際を追及していたが、元々安全を無視し続け原発を推進してきたのは自民党ではなかったのか。
それに協力し追随してきたのが公明党だ。
事故の発生は永年にわたる自民党政権に責任があり、事故を拡げたのは民主党政権の責任だ。
いわば自・民の共同正犯であり、他を言う前に先ず自民党としての責任を明らかにすべきだった。

自公両党は不信任決議を出す以上は、原発への対応を含む今後のエネルギー政策と、復興計画とそれに伴う財源確保策を国民に示し、民主党に代わる政権構想を打ち出す必要があった。
そうした準備もせずに、ただ決議案を出してみただけとあらば、これほど国民を愚弄するものはない。
大震災の被災者に背を向け、ただただ国会を混乱させただけの自・公議員に対しては、次の選挙で鉄槌を下すしかなかろう。

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