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2011/07/03

ウ~~ン「おもいのまま」(2011/7/2)

7月2日、東池袋の”あうるすぽっと”での公演「おもいのまま」を観劇。
土曜だというのに空席が目立つ。

演出・美術・音楽デザイン:飴屋法水
脚本:中島新
< キャスト >
石田えり/妻
佐野史郎/夫
音尾琢真/記者1
山中崇 /記者2

ストーリーは。
舞台は高級住宅街の一軒家、中年の夫婦二人暮らし。
そこに、ある日「訪問者」二人が現れる。
彼らは雑誌記者で、取材したいことがあると言う。
招かざる客ではあったが、その記者たちは犯罪事件のスクープを数多く挙げ、世間に知られた存在だったため仕方なく取材を受ける。
部屋に上がった記者たちは態度を一変、夫婦についての私的な質問をしつこく繰り返し、室内を物色し始める。
止めようとした夫婦を縛り上げ、もはや脅迫者のごとく夫婦に詰め寄る記者たち。質問は夫妻のプライベートへと踏み込み、二人が互いに胸の内に潜めていた秘密にまで迫ろうとする。
やがて真実が明らかになるにつれ・・・。

この芝居の発案者であり、主演者でもある石田えりは、公演へのメッセージの中で次のように述べている。
「きっかけは私の思いつきでした。
人間にとって取り巻く「状況」、関係性や事象などは中立であり、誰に対しても同じように存在するもの。けれど対応する人間の賢さや愚かさ次第で、同じ「状況」が悲劇にもハッピーエンドにもなる可能性を孕んでいる、と突然に気づいたんです。
そんな運命の変転を演劇として見せられたら非常に面白い作品になるのでは、とイメージはどんどん膨らんでいきました。
これは既存の形式とはまったく違う演劇になる。」

そんな創作への意欲に拘らず、演劇全体としては成功とはいえない。
先ず感じたことは、全編を覆う不快感だ。
この二人の記者というのは、実質的には強盗殺人犯ともいうべき人間たちで、私が今までに観た芝居の中で最も不快な人物として描かれている。
不安をかきたてるような効果音が多用され、ハッピーエンドが予感される終幕でさえ、後味の悪さが残ってしまった。
明らかにされる「秘密」も専ら夫の会社経営破たんだったり、性的嗜好であったり、子どもへの虐待であったりで、内容がいささか陳腐。
どうも演出家や脚本が観客に何を訴えようとしているのか、よく分からない。

もう一つは、観客の多くは石田えりの芝居を観に来たと思われるが、これは佐野史郎の芝居だった。
佐野の熱演は見応えがあったが、反面、石田えりの存在感が希薄だ。この役なら彼女でなくても務まり、石田の良さが殆んど発揮されていない。
むしろ、記者を演じた音尾琢真と山中崇の狂気が目立った。

終幕後の拍手にカーテンコールがなかったのは演出なのか、それとも芝居全体がなんかシックリ来なかったせいなのか。

公演は8月10日まで、各地で。

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