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2011/07/11

喬太郎「極つる」他in”よってたかって夏らくご”(2011/7/10)

7月10日よみうりホールで行われた”21世紀スペシャル寄席oneday「よってたかって夏らくご」”へ。
前日に関東は梅雨明けとあって、この日も暑かった。
この顔ぶれだと、古典と新作の比率が2:2か3:1になるかという楽しみがある。

<  番組  >
前座・入船亭辰じん「真田小僧」
柳亭市馬「船徳」
三遊亭白鳥「新あたま山」
~仲入り~
柳家三三「お化け長屋」
柳家喬太郎「極道のつる」

前座の辰じん「真田小僧」、いかにも入船亭らしい折り目正しい高座。師匠の薫陶宜しく真っ直ぐに育って欲しい。

いきなり市馬「船徳」で驚く。
先ず苦言を。若旦那の名前を徳三郎とよんでいたが、このネタは人情噺「お初徳兵衛浮名桟橋」発端を、初代三遊亭円遊が滑稽噺に仕立てたものなので、「徳」の本名は徳兵衛。
徳が船を漕ぎながら唄う場面では朗々とし過ぎており、唄いながら次第に息が上がっていくという他の演者の演出が正しい。「唄入り」を客へのサービスとしているのだろうが、それが全体のバランスを崩すこともあるので注意した方がいい。
その他の点では無難な出来だったが、それより市馬がハナでこのネタを掛けたことにより、この会全体をシメタという役割が大きかった。

白鳥「新あたま山」、初めて聴いたが面白かった。
タイトルからすると「あたま山」の改作のように聞こえるが、オリジナルの噺とは全く別物。
出だしは「替り目」かと思われたが、中味は人間の臓器と脳が頭の上で喧嘩するとういう奇想天外な発想。
労働者階級がが知識階級に反旗を翻すという暗喩も含まれているようで、良く出来ていた。コンテンポラリーなクスグリも効いていた。
今まで聴いた白鳥のネタの中ではベストだと思う。

三三「お化け長屋」。
欠点は杢兵衛がやたら泣きすぎる。いや、このネタに限らず最近の三三は、登場人物を泣かせ過ぎる傾向にあり、時に興ざめする。
白鳥が大受けだった影響か、無理に笑わせようとしている印象を受けた。
普通に演じてお客を十分惹きつける力があるのだから、もっと正攻法で行って欲しい。
このネタに限っていえば、先日聴いたばかりの白酒の方がずっと上だ。

喬太郎「極道のつる」、マクラで芝居の全国公演でおよそ1ヶ月落語から離れていて、その後に2週間ほど休みを取っていたので、7月初めに久々に復帰し今はリハビリ期間だと言っていた。
21世紀の落語界で常に先頭をきって走ってきた喬太郎にとって、いい充電期間になったのではないかと期待される。
今日は前座噺を、それも「つる」を演りたいと言って、少し客席を引かせてからネタに入る。
オリジナルの隠居と八公を極道の親分と子分との会話に置き換えた「つる」の改作。
数ある古典落語の中でも、そのバカバカしさでは屈指の「つる」を、ヤクザの親分子分の会話に設定すると、可笑しさが余計に際立つ。
演者が真面目にやればやるほど客席は笑い転げる。かくして喬太郎の術中にはまっていく。
調べた限りでは昨秋の新作らしいが、従来の喬太郎の作風の中では異色といえよう。
久々に喬太郎らしい高座をみて満足した。

厳しいことも書いてきたが、それはこの日の出演者に対する大きな期待の反映でもある。
古典2、新作1、改作1というバランスも良く、全体として充実した会だった。

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コメント

いや〜、それにしても豪華な顔ぶれですねェ。
私ゃ、岩手県民ですから生の高座に接するのは年に数回がいいところで、東京都民のhome-9様や他の皆様、うらやましい限りです。
但し、頂く知事に関してだけは全然うらやましくありませんが‥‥。

さだきち様
ハイ、それだけの理由で東京に暮らしていると言っても良いです。
女房は田舎暮らしが望みですが、私は東京を離れる気はありません。
これだけの顔ぶれが揃うのは数少ないことで、ケチをつけたらバチが当たりそうですが、これは性格なので仕方ありません。
某都知事だけは御免蒙りたいたいですが。

喬太郎の話振りが想像できるようで読んでいておかしいです。是非行きあいたい。

佐平次様
「極つる」は例えていうなら、「つる」と「背なで老いてる唐獅子牡丹」を合体させたようなストーリーです。
寄席の高座にも掛けているようなので、聴けるチャンスはあるでしょう。

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