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2011/08/28

#15三田落語会「喜多八・一之輔」(2011/8/27昼)

8月27日は久々に落語会をはしご。
1件目は第15回三田落語会の昼の部「喜多八・一之輔二人会」。
数ある地域寄席の中で、最も充実した会だと思う。本寸法の古典落語を、毎回二人の演者がタップリ聴かせてくれる。
毎回入場10分前から、次回の前売りの番号札を配るのだが、その列は回を追うごとに長くなり、今回は2階階段の踊り場まで続いていた。企画が良ければ、黙っていても客は付いてくる。

前座・柳亭市也「元犬」
<  番組  >
柳家喜多八「短命」
春風亭一之輔「五人廻し」
~仲入り~
春風亭一之輔「青菜」
柳家喜多八「船徳」

プログラムの案内では、一之輔が共演者として喜多八を指名したと書かれていたが、一之輔は頑強に否定していた。序列からいえば、あってはならぬことだろう。
ただどうやら一之輔の出演が先に決まり、喜多八は後から決まったのは事実のようだ。
主催者としては常に集客力を念頭に置くわけで、こんなことも起きるのだろう。

喜多八の1席目「短命」、プログラムには師匠の小三冶を尊敬していると書いているが、それは事実ではないと語っていた。
噺家の師弟関係というのは微妙なもので、この二人がクールな間柄であろうことは、なんとなく分かる。しかしとぼけた語り口や「間」に、明らかに師匠の影響は感じられる。やはり師弟は争えない。
マクラに振った「長命丸」の小咄、ここで内容を書くのは憚れるが、とても面白かったし、このネタのマクラには最適。
大店の伊勢屋の養子が、来る者来る者たて続けに一年ももたずに死ぬ。その分けを隠居が八五郎に説明するのだが、喜多八の演出は隠居が表情と手つきで分からせるという手法。
目に表情のある喜多八ならではの演出で、成功していた。
2席目「船徳」は、平凡な出来だった。
決して不出来という意味ではなく、あくまで想定の範囲内での出来だったということ。

一之輔の1席目「五人廻し」、これは実に良かった。
牛太郎の喜助を始め、職人、官員、若旦那、田舎者など客たちそれぞれの人物像がクッキリと描かれていた。
特に職人の胸のすく様な啖呵が鮮やか。
オチは通常の形ではなく、独自のオチをこしらえていたが、噺全体のリズムを壊さないよう工夫しており、成功だと思う。
このネタに関しては現役でも一之輔はトップクラスであると思われ、何年に一人の逸材であることが実感される。
2席目「青菜」、聴くたびに進化している。独自のクスグリを多用し、客席の笑いを誘う。
ただ私の好みとは方向が違う。
このネタはもっと粋にサッパリと演じるべきで、やはり6代目柳橋から当代の小柳枝、金時に至る演り方が本寸法ではなかろうか。
一之輔の高座では、時にこうした過剰演出が目につくが、どうも考え物だ。

季節感のあるネタを折り込みながらの熱演、いずれも聴きごたえがあった。

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コメント

一之輔の『五人廻し』、私も以前に横浜にぎわい座の地下で聞いて、感心しました。
人物描写も流石ですし、とても“二ツ目”の高座ではないですね。
というか、彼の場合は真打とみなして、あえて厳しい基準で見ようと思いますが、それでも水準は十分に超えていたと思います。
大師匠柳朝の師匠彦六の芸を、ぜひ継承して欲しいとも思います。
ほめ・くさんの評価が高いのは、私が経験した高座の後に、もっと磨きがかかったからかもしれません。

投稿: 小言幸兵衛 | 2011/08/29 18:45

小言幸兵衛様
私もこのネタは2回目で、以前に比べ人物の演じ分けが一層鮮明になったという印象を受けています。
「青菜」も2,3年前と比べれば、随分と演出が凝ってきました。
彼のそうした熱意は評価したいと思います。
ただ、それがどっちの方向に向いているのか。更にいえば、一之輔としてどういう方向の芸を目指しているのか、これは熟慮すべきかと思うのです。
並の噺家なら文句は言いません。
一之輔だから、ついつい厳しいことも言いたくなるのです。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2011/08/29 22:15

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