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2011/08/15

この噺にはこの噺家(ほ-も)

坊主の遊び  三遊亭圓歌 
棒鱈  (5)柳家小さん 
庖丁  (6)三遊亭圓生 
星野屋  (8)桂文楽 
堀の内  (4)三遊亭圓遊 
本膳  (5)柳家小さん 
松曳き  桃月庵白酒 
松山鏡  (8)桂文楽 
豆屋  (10)桂文治 
万金丹  (5)三遊亭圓楽 
万病圓  (3)三遊亭金馬 
木乃伊取り  入船亭扇遊 
味噌蔵  (4)春風亭柳好 
三井の大黒  (3)桂三木助 
宮戸川  (8)春風亭柳枝 
名人長二  五街道雲助 
妾馬(八五郎出世)  (5)古今亭志ん生 
目薬  春風亭小朝 
目黒のさんま  (3)三遊亭金馬 
もう半分  立川志の輔 
もぐら泥  柳家喜多八 
元犬  (5)古今亭志ん生 
百川  古今亭右朝 
桃太郎  (4)柳亭痴楽 
紋三郎稲荷  入船亭扇辰 

 

 「棒鱈」の小さん、「庖丁」の圓生、「星野屋」の文楽、「堀の内」の圓遊(志ん朝も捨て難いが)、「三井の大黒」の三木助、いずれも他の追随を許さぬ極め付けと言って良いでしょう。こうしたネタは演者の選択が楽です。
対照的なのは「妾馬」でズラリと名演が揃っていて、志ん生、圓生、先代・馬生、志ん朝と、どれを採っても超一流。なかでも八五郎の母親や妹に対する心情を不器用に演じている志ん生が優れています。酔っぱらって殿様の前で都々逸を唄うシーンが実に良い。
このシリーズで度々名前が出ている8代目柳枝ですが、この人の最大の特長は「ほどの良さ」だと思います。「宮戸川」は演じ手が多く、近ごろはまるで艶笑譚のような、くどい演出が目立ちますが、あれは邪道。やはり柳枝のように、ほど良く粋に演じて欲しいものです。

今回は初登場が目立ちます。これにはシリーズも終盤を迎え、一人でも多くの噺家を出したいという当方の思惑が反映されているのかも知れません。
先ずは4代目柳好、華やかな3代目に隠れがちですが、独特の語り口には根強いファンが多い。「味噌蔵」ではサラリとした芸を聴かせてくれます。
「名人長二」で雲助が初登場などというと、ファンに叱られそうですが、持ちネタの多くが過去の名人上手と重なっているため名前が出なかったのです。実力は現役トップクラスの折り紙つきです。
「木乃伊取り」扇遊と「紋三郎稲荷」扇辰と、入船亭二人も初で、「もぐら泥」喜多八と共に人気・実力を兼ね備えた中堅真打が並びました。
「百川」は圓生や志ん朝の名演がありますが、真打に上がり立ての右朝のあの瑞々しい高座が忘れられません。師志ん朝に先立つ数か月前に早逝してしまったのは本当に惜しい、口惜しい。

他に「目黒のさんま」も新旧あわせて多数の演じ手がいますが、これは3代目金馬が最も優れています。金馬はマクラを除く本筋をたった6分で終わらせ、しかも一番面白い。
近ごろ短くて済むネタを長く伸ばして演る傾向があり、客は中味が水増しされた薄味の噺を聴かされることになります。
それと本筋に関係ないマクラをダラダラと聴かされるのは、苦痛以外の何ものでもない。
どちらも改善の必要があると思います。

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コメント

いろいろ我が意を得ました^^。
上野鈴本、今日行きます。暑そうだけど。

投稿: 佐平次 | 2011/08/15 09:31

佐平次様
行ってらっしゃい。
ブログでの感想、楽しみにしています。

投稿: home-9(ほめ・く) | 2011/08/15 10:14

「目黒のさんま」3代目金馬
これもまたザ・落語と形容すべきもので、個人的に大好きな噺です。
3代目金馬はCDでしか聴いたことがないんですが、無駄を削ぎ落としたとか、わかりやすいとか評されることが多いようですね。寄席で実際に聴いた中では小満んの一席がよかったと思います。例によって淡々とした語り口でいつの間にか客席を惹きつけていく感じでした。

投稿: 福 | 2011/08/15 20:08

福様
残念ながら小満んの高座を観ていませんが、きっと良い出来だったでしょうね。
3代目金馬は滑稽噺の名手で、特に若手落語家の教科書になるような芸でした。
短い時間に濃縮して聴かせるというのは、現在でも大いに参考になると思います。

投稿: home-9(ほめ・く) | 2011/08/15 21:07

↑のコメントに寄せて。
私も小満んの存在に目覚めたのは「目黒のさんま」でした。
誰かの代演でがっかりしたらとんでもない、なんともいえない悠々たる殿さまでしたよ。

投稿: 佐平次 | 2011/08/17 10:10

佐平次様
こういうコメントを頂くと、いよいよ小満んの「目黒のさんま」を聴きたくなりますね。
ところで昨晩は「根室のさんま」を食したのですが、これが美味かった。
さんまは根室に限る。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2011/08/17 13:55

連れ合いの越後の実家から、昨夜戻りました。
久しぶりに拝見し、このシリーズの新作(?)を拝見し喜んでおります。
何と言っても「百川」で右朝を挙げていただき感謝です!惜しすぎる早い死でした。
「宮戸川」の柳枝、異論なし。
「目黒のさんま」の金馬は、桜鯛の小噺を含め、江戸の平和な時代の殿様に関するマクラも楽しいし含蓄があって好きです。先代馬生と迷うところですが、私も金馬かなぁ。
「木乃伊取り」、私は白酒です。

投稿: 小言幸兵衛 | 2011/08/18 09:56

小言幸兵衛様
いつもながら鋭いご指摘、有難うございます。
右朝と志ん朝が亡くなった10年前の年は、本当に辛い思いをしました。
「目黒のさんま」の先代馬生は評価が高いですが、金馬の倍近い時間が掛かっており、どうも薄味で私は買いません。
「木乃伊取り」、確かに白酒が優れていますが、扇遊もこれに匹敵すると思います。
それとシリーズも終盤に差し掛かっていて、正直に言いますと、どこかで扇遊を出したかったという、当方の意向も働いています。
道楽だと思って鷹揚お見逃しの程を。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2011/08/18 10:33

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