【大阪地検隠蔽事件】それを言っちゃあ、おしまいよ
大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠蔽事件で、犯人隠避罪に問われた元特捜部長の大坪弘道被告と元副部長の佐賀元明被告に対する初公判は9月12日行われ、大坪被告の弁護側は、証拠を改ざんした前田恒彦元主任検事=証拠隠滅罪で実刑確定=について「前田元検事は自らの責任を軽くしようと、改ざん隠蔽は大坪被告らの指示だったと虚偽の供述をした」などと批判した。
弁護側は、改ざん問題は2010年1月30日以降に地検内部で表面化したが、大坪被告は前田元検事らから改ざんが故意だったとの報告は受けたことはないと主張。
改ざん問題が報道された同年9月以降に、前田元主任検事や国井検事は自らの責任を回避すべく、改ざん隠蔽は大坪・佐賀両被告の指示だったと供述するようになったと述べた。
大坪・佐賀両被告側は、この事件は完全なデッチアゲだと主張しているわけだ。
郵便不正事件で厚生省・村木厚子氏を犯人にデッチアゲしようとした大阪高検特捜部幹部が、今度は自分たちがデッチアゲの被害者だというわけか。
正に「因果はめぐる小車」。
検察側と被告側が全面対決の様相を呈しているが、検察という組織の性格上、上司が部下の仕事について全く知らなかったということは有り得ない。
もし知らなかったとすれば、大坪・佐賀両名が上司としていかに無能であったかという証明になってしまう。
そんなプライドを捨ててまで、無罪を主張するつもりだろうか。
世間的には、上司と部下で責任のなすり合いをしているとしか見えない。
佐賀被告の弁護側は、国井検事が前田元検事の改ざんに対する自らの考えを記した同僚宛てのメールを証拠として示した。
メールは2010年1月30日に送ったもので、次のような書かれていた。
「言っていないことをPS(検察官作成の供述調書)にすることはよくある。証拠を作り上げたり、もみ消したりするという点では同じ。(自分も)前田を糾弾できるほどキレイなことばかりしてきたのか分からなくなる」と。
弁護側はメールの内容から、国井検事の証言の信用性に疑問を呈した。
国井検事のメールが正しいとすれば、検察というのは昔から、偽の供述調書を作成したり、証拠を創りあげたり、もみ消したりしてきたことになる。
ついこの前まで検察の幹部だった人間が、そんな検察の権威を貶めるようなことを証拠として出して、良心が痛まないのだろうか。
「それを言っちゃあ、おしまいよ」である。
物的証拠の乏しいこの裁判、結果として両被告に無罪判決が出る可能性もあるが、いずれにしろ検察の失うものは大きい。
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