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2011/10/11

#182「三遊亭竜楽 独演会」(2011/10/10)

10月10日、内幸町ホールで行われた「三遊亭竜楽独演会」へ。
第182回という回数に驚き。
竜楽は、6か国語を使った海外公演を行っていることでも知られている。
圓楽一門の実力派ということで名前は聞いていたが、高座は初見。
通常の落語会に比べお客の平均年齢が高そうなのは、常連が多いせいだろうか。

<  番組  >
前座・一龍齋貞鏡「講談・拾い首一万石」
三遊亭竜楽「替り目」
~仲入り~
だるま食堂「コント」
三遊亭竜楽「ねずみ」

入り口で当日のプログラムが配られたが、出演者やネタについて竜楽本人の解説が載っていたのは嬉しい。
独演会といえどもプロダクションや企画会社が主催する例が多いだろうが、やはり本人からお客へのメッセージは必要だ。
この日の前座は講談だったが、講釈師が「高座返し」をするのは初めてみた。
独演会のゲストに「だるま食堂」は異色だが(拒否反応をする人もいるとか)、竜楽のセンスを感じる。

竜楽の1席目「替り目」、マクラでヨーロッパ公演に触れ、フランスでは「厩火事」のオチが受けないとか。「あしたから遊んでて酒が呑めねぇ」の、酒が呑めないという部分が理解されないらしい。水代わりにワインを飲むお国柄だから。
「替り目」の主人公の酔いっぷりは、演者によって異なる。泥酔状態という人もいるのに対し、竜楽の演出はどちらかというとホロ酔い気分に近い。
お上さんとの掛け合いでは、夫婦の情が良く表現されていた。ここが肝心。
寄席では滅多に演らない後半は、女房がおでんを買いに出かけたその間に、通りかかったうどん屋を呼び入れる。
お銚子の燗をつけさせたり海苔を焼かせたりした挙句、うどんは嫌いだ、近所でボヤがあるのはお前の仕業だの散々難癖をつけて帰してしまう。
戻ってきた女房が気の毒がって、「うどん屋さーん」と呼び戻そうとすると、うどん屋の「今ごろ、お銚子の替り目時分ですから」でサゲとなる。
竜楽が新内の一節や都々逸をきかせたのは、元々このネタは音曲噺だった名残りとして演じたものとみえる。
何も足さず何も引かず真っ直ぐな演出で、久々にフルバージョンの「替り目」をじっくり聴かせて貰った。

2席目「ねずみ」、マクラで左甚五郎伝三部作「竹の水仙」「三井の大黒」「ねずみ」では、主人公の甚五郎の人物像がそれぞれ異なっていると語っていた。
それは成立が違うためで、この「ねずみ」は元々は浪曲師・広沢菊春(この人は寄席によく出ていた)の演目だったのを三代目三木助が譲り受け、落語に仕立てたものだ。
宿の主・卯兵衛が、女房と番頭の計略によって元の宿屋「虎屋」が乗っ取られ、息子・卯之吉と共に追い出された身の上話を語る場面をしんみりと聴かせてくれた。ここが肝心。
心を打たれた甚五郎が一心に鼠の彫刻を造り、物語が展開していく。
登場人物の造形もしっかりしており、こちらも良い出来だった。

竜楽の高座を初めてみたが、芸風は地味だ。
何の衒いも力みもなく、余計なクスグリは一切いれず、淡々と語る高座姿は近ごろ珍しい。
それでいて惹きつけられるのは、話芸の力だ。評判通りだったと思う。

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コメント

竜楽、初耳のひとです。
ぜひ聴いてみたくなりました。
たしかにフランス人に「あそんでいて呑めねえ」は通じないでしょう(よほど意訳しないと)。

投稿: 佐平次 | 2011/10/12 10:33

佐平次
先日記事で紹介した「千字寄席」で、圓楽一門の中で最高点がついていたので、聴きにいった次第です。
風貌も高座も地味ですが、芸は確かで一見の価値があります。
外国語の公演は言葉の壁があり、ニュアンスを伝えるのは至難の技です。
ドイツで演った「親子酒」は大受けだったそうで、笑いのポイントを見つけるのも大変でしょう。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2011/10/12 11:16

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