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2011/10/03

「春風亭小朝独演会」(2011/10/2)

小朝の独演会は、かつて漫談風の高座に立て続けにあい、しばらくは行くまいと決めていた。
その後も落語会などで高座を観る機会があったが、ガッカリさせられることが多かった。
例えていうなら、150キロの剛速球を投げられるピッチャーが、いざ試合に出るとスローカーブばかりといった具合だ。
10月2日、松戸市民会館で行われた「春風亭小朝独演会」は、そんなわけで数年ぶりとなる。
この日は林家三平の結婚披露宴が開かれていたが、小朝は出席する予定はなかったのだろうか、マクラでネタにしていた。
その三平だが、芸が今のままでは前途は暗い。襲名や結婚の話題だけでは人気は長続きしない。寄席にもあまり出てないし・・・、まあよけいなお世話か。

<  番組  >
前座・春風亭ぽっぽ「桃太郎(ピーチ・ボーイ?)」
春風亭小朝「試し酒」
~仲入り~
林家ひろ木「東北の宿」
春風亭小朝「お菊の皿」
春風亭小朝「たがや」

キーワード検索をしてみると、最近はこの顔ぶれで興行することが多いようだ。
ぽっぽ「桃太郎」、あるいは師匠のネタである「ピーチ・ボーイ」かも。
未だ前座になり立ての髪型がボブカットのころ、寄席で初めて観て、「女流にしては上手いが、それだけに痛ましい。」とブログに書いて、ご本人を含めいくつかコメントが寄せられたのを思い出す。
その彼女も、今年11月には二ツ目に昇進する(改名は「ぴっかり」だったか)。
最近の話題をクスグリにおり込んで、師匠譲りの面白い「桃太郎」に仕上げていた。桃太郎がアメリカで、お供の犬が日本で名前が「ポチ」は納得がいく。
ただ語りが一本調子で、未だ落語家の喋りになっていない。プロのレベルに達するには、さらに精進が必要だろう。

ひろ木「東北の宿」、初見だが小咄の出し方といい、終りの津軽三味線の演奏といい、場馴れ、つまり客が喜びそうなツボは押さえているようだ。
他のネタを聴かないと何ともいえないが、明るい高座は好感が持てる。

さて肝心の小朝の3席。
先ずは古典落語を三つ聴かせてくれたことには満足した。
数年前に一緒に連れていった妻から、「もう小朝の独演会には二度と行かない」と宣言されてしまった当時とは、えらい違いだ。
風邪気味だったのだろうか、あまり喉の調子が良くないなかでの熱演だった。
ただ「試し酒」は平凡な出来だった。この人の特徴である綺麗な芸風が、どうもこのネタには合わないようだ。
それと「たがや」を10月に演るっていうのはどんなもんだろう。「お菊の皿」もどちらかと言えば夏のネタだ。
持ちネタの多い小朝であれば、もっと別の選択があっても良かったのではなかろうか。
もう一つ、小朝の高座では全て客電を消しているという指摘を受けていたが、その通りだった。
怪談噺や芝居噺なら客席を暗くする意味は分かるが、なぜ全ての高座でそうせねばならないのだろう。
これは好みの問題ではなく、落語に対する姿勢の問題として疑問符がつく。

それはともかくとして、周囲にいたご婦人方は終始笑いころげて大喜びだったようだ。
こういう落語会も必要なのだ。

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コメント

小朝の「たがや」は若い頃に聴いたことがあります。季節違いという点は残念でしたね。

小朝の一席で好きなのは「紀州」です。ほめ・く様は「BEST」で6代目圓生を選ばれていますね。この方も僕には生で聴くことができなかった落語家です。

福様
私は未だ小朝の「紀州」は聴いたことがないですが、きっと上手いでしょうね。
器用なので何をやらせても、そこそこ上手く演じてしまう。それが逆に物足りなさを感じさせるのかも知れません。
私の小朝のベストは「稽古屋」と「牡丹燈籠・お札はがし」です。

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