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2011/10/22

カダフィは殺害されたが・・・

42年間にわたってリビアを支配した独裁者ムアマル・カダフィ大佐が10月20日、死亡した。
正確には殺害されたというべきだろう。
もし生きたまま拘束され裁判にかけられたりしたら、不都合なことが多々ある。
それはリビアのカダフィ派だけでなく新政権にとっても、さらには欧米諸国にとっても、喋ってもらっては困ることが沢山あったはずだ。
死人に口なしで葬り去られたと考えるのが妥当なところだ。

私は2005年に観光でリビアを訪れている。
それまで反米だったカダフィ大佐が2003年に親米へと「転向」したお蔭で、日本からの観光ツアーも容易になっていた。
リビアは観光地としては極めて魅力にあふれた国で、北アフリカ諸国の中では経済的にも豊かな国だった。
その時の印象を旅行記で、次のように書いている。

【目立つのは、住宅が立派なことで、しかもどこに行っても建築中の住宅が数多く見られました。
日本なら豪邸クラスといってもおかしくない。
これも現地ガイドに聞いたところ公営住宅だそうで、家賃はタダだそうです。「ほー、リビアは良い国だねえ。」というと、ガイドはウンウンと頷いてました。
彼はトリポリの大学を出ているのですが、大学の授業料も下宿代もみなタダだったそうです。
もう一つ目に付いたのは、ガソリン代の安さです。バスが給油した時にざっと計算したら、1リットル8円(単位は間違ってません)です。安い!
リビアは産油国です。人口500万人の国で、石油輸出額が130億ドルですから、豊かな筈です。
冨も国民に分配されているようですから、今の政権は安泰なのでしょう。
その代わり、農産物の70%を始め商品の多くは輸入品です。
そのうえ近隣諸国から沢山の出稼ぎ労働者が入ってきて、仕事をしてくれますから、リビア人はあまり働かないで済みます。
これじゃあ、アメリカと戦争する気など、起きませんね。】
リビアへの出稼ぎ者の中には、EU加盟国のマルタ共和国からの人々も多く含まれていて、これだけでもリビアがいかに豊かだが分る。

リビアはブッシュ政権時代に中央情報局(CIA)がテロ容疑者をリビアに移送し、リビア情報機関に拷問・尋問を委託していたことが分かっている。
その代りとしてCIAは、反カダフィ派の人間を拘束しリビアに送還していた。
つまり表むきはともかく、裏ではアメリカとの関係は極めて良好だったわけだ。
カダフィの寝室からライス前国務長官の写真集が見つかったという報道があったが、彼がいかに親米であったかを示すものだ。
今回のリビアにおける反政府勢力への支援で、米国が今ひとつ腰が引けていたのもその辺りに事情があった。

ともかくもカダフィ独裁政権は倒され新政府に移行するが、リビアが果たしてこのまま民主化の道を歩むのかいうと、あまり楽観できないかも知れない。
下手をすればカダフィというタガが外れ、部族間の争いが激化する可能性もある。
資源が豊かとはいえ、あまり勤勉とはいえない国民の生活レベルを維持するのは容易ではない。
西側にとっては、新しい政府がカダフィ以上の親米政権になるかどうかも大いに気がかりだろう。
中東ドミノの連鎖反応も気になるところだ。

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