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2011/10/26

「飛び込み自殺」するな

幼いとき両親から鉄道への「飛び込み自殺だけはするな」と、口が酸っぱくなるほど言い聞かされてきた。だから「飛び込み自殺」だけはすまいと心に決めてきた。
近所に電車の踏切で事故を起こした人がいて、当時の国鉄から多額の金を請求された。
それを聞いた両親がこれは大変だということで、息子にコンコンと説いたわけだ。「命の大切さ」などと回りくどい表現ではなく、とにかく迷惑だから絶対にダメ、というのも直接的でいい。こんな親は珍しいだろう。
子どもの頃にすり込まれたことというのは忘れないものだ。そのせいか「飛び込み」に限らず、自殺したいと思ったことは一度もない。
是非、全国のご家庭でも試して頂きたい。

飛び込み自殺をはかると、鉄道会社自殺者が死亡しなかったときは本人に、死亡した場合は遺族に損害賠償が請求される。
内訳は、払い戻し運賃、他社の交通機関への振替費用やタクシー代、車輌や設備に損傷が出たらその修理代金、事故処理費や人件費などとなる。要は事故を起こしたことにより鉄道会社が被った損害と現状回復するための費用の全額である。
以上は費用だけだが、迷惑はこれにとどまらない。
以前、電車の乗務員にうかがったが、仕事で一番つらかったのは事故の後の遺体の片付けだったそうだ。
確かに想像しただけでも、辛さが分かる。
事故により列車は1時間ほど運行を停止することになるので、乗客にとりこれも大変な迷惑だ。

では、飛び込み以外なら迷惑はかからないかというと、それが違う。
首つり自殺の場合、借家だったりすると家主から賠償請求されるケースがある。家屋の価値そのものが下落するからだ。
遺族に追い打ちをかけるという批判もあるが、請求の根拠は鉄道の場合と同じで不当とはいえまい。
焼身自殺やガス自殺では周囲をまき込むことがあり、時には第三者が犠牲になることもある。
入水はどうかといえば、1948年に作家・太宰治が愛人と共に玉川上水で心中した際に、都民の飲み水を汚したと非難されたことがある。
だからどんな方法をとろうと、自殺は迷惑がかかる。
それだけではない。
残された家族や関係者の悲しみは深く大きい。時には一生の傷となって残る。こちらこそが大問題だのだ。
だから絶対に自殺してはいけない。
自殺それ自身は違法ではないが、やはり反社会的行為であると思う。

1998年から2010年までのあいだ、我が国の自殺者は毎年3万人を超えている。今年も同様の結果になりそうだ。
日本の自殺率は先進国の中で最も高い。
一般に雇用との関係を指摘されることが多いが、日本の失業率が欧米の半分ていどなのに自殺率は1.5-3倍ほどに達していることからすると、これだけでは説明つかない。
OECDによる2005年調査で、「友人や同僚との付き合いがなく社会的に孤立している」と答えた人の割合が、調査した国の中で日本が最も高かったとある。
子どもの世界では、ユニセフにおる2008年調査で、「孤独を感じる」と答えた15歳の割合がやはり対象国の中で日本が断トツだった由。
こうした世間からの孤立感こそ、自殺の最大の要因なのかも知れない。

毎年3万人もの人が自殺するというのは、明らかに異常事態だ。
いかに自殺を防止するか、残された家族へのケアをどう進めていくか、我が国にとって緊急かつ最重要課題として取り組むべきだろう。

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