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2011/11/17

国立演芸場11月中席(2011/11/16)

11月16日、国立演芸場中席へ。
落語芸術協会(芸協)の芝居で、平日の昼席としてはマアマアの入り。

前座・三笑亭夢七
<  番組  >
・三笑亭月夢「てれすこ」
あらすじは。
珍しい魚が獲れたが名前が分からず懸賞金付きで募集すると、ある男がそれは「てれすこ」という名だと言う。
奉行が疑い、この魚を干物にして再び懸賞金付きで募集すると、再びくだんの男が出てきて、それは「すてれんきょう」だという。
「この偽り者めが」というわけで、打ち首獄門のご沙汰。
処刑の前に家族に面談が許され、男は家族への遺言として「いいか、この子が大きくなってもイカを干したものを決してスルメと言わせるな」。
これを聞いた奉行は、膝をぽんと叩いて男を無罪放免とする。
オチは、男の妻が無事を祈って「火物(加熱調理した料理)だち」をしていたので、干物(スルメ)のお蔭で助かったから、「アタリメ」の話だ。
珍しい噺を落ち着いて丁寧に語った月夢の高座は上出来。
このネタを聴くかぎりでは、真打が近そうだ。
・ナイツ「漫才」
東京漫才の伝統を継ぐユックリとした喋り、いいねえ。
かつてのリーガル千太・万吉のような芸を目指して欲しい。
・古今亭今輔「飽食の城」
本人の創作なので、当人自身の解説を引用すると。
【時は戦国時代。信長の西国進出に際し包囲された城。城攻めの司令官羽柴秀吉は、兵糧攻めを断行するが、城方にも秘策が・・・ 何とその城、お菓子の城だった!! メルヘンなお菓子の城と、惨たらしい兵糧攻めを融合させたらどうなるのかしら?と思ってつくりました。】
今輔ときくと、どうしても五代目の姿が頭に浮かび、落差の大きさに戸惑てしまう。
先代は若い頃、彦六の正蔵と共に古典を磨いた後に新作に転じた。基礎が出来ていたから、時々古典をかけても立派なものだった。
当代はその辺りどうなんだろう。
・チャーリーカンパニー「コント」
芸協ならではの色物で、日高てん(だと思うが)が実に良い味を出していて楽しめた。
・古今亭寿輔「お見立て」
毎度派手派手な着物で登場し、一見アクの強そうな印象を与えるが、高座は本寸法。
喜瀬川花魁、喜肋、杢兵衛、いずれの人物像も造形がしっかりしており、特に間に入ってオロオロする喜助に哀しみが滲み出ていた。
好演。

―仲入り―
・松旭斎小天華「奇術」
いかにも寄席の奇術、客をあまりビックリさせない程度の芸がいい。
・三笑亭夢花「天災」
いつも本格古典をきちんと演じる高座に好感が持てる。
この日も短い時間にこのネタをノーカットで演じた。
スケールの大きな噺家を目指して欲しい。
・林家今丸「紙切り」
お題を出す人は皆おひねりやお土産を差し出していた。
さすがは国立、客がリッチだ。
・三笑亭夢丸「出世夜鷹」
初見、創作落語と思っていたが、調べたられっきとした古典だそうだ。
別名「ちり塚お松」「夜鷹の松」「初音のお松」などというタイトルが付けられているらしいが、珍しいネタで夢丸しか演らないようだ。
全盛の花魁が客にねだって高価な額を観音様の境内にかかげる。それを聞いた夜鷹のお松が板切れに和歌を書いた板をその下に掛けたところそれが大評判。
夜鷹の身分ながら歌を作り書にする。その軽妙な和歌がある御典医の眼にとまり、殿様に紹介したところ大そう気に入られ、お松はお屋敷奉公となったというサクセスストーリー。
笑いの少ないネタだったが、夢丸は風格のある語りで聴かせてくれた。
この噺が聴けただけでも、この日来た甲斐があった。

終演後、観客の間で「今日は良かったね」「面白かった」という会話が飛び交っていた。
こんな寄席に出会うのは滅多にないことだ。
個々の出演者の出来も良かったが、それ以上に全体がまとまっていた。寄席は個人芸を見せると同時に団体芸でもあるということが再認識された、そんな高座だった。

近ごろの各種落語会や名人会などでは、芸協の比重が低い。出演者の割合からえば立川流の後塵を拝している。
あまりに芸協への評価が低すぎるのではなかろうか。
そんな思いを抱いて帰路についた。

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コメント

寿輔、夢丸など、全体として良かったようですね。ほめ・くさんのブログで、十分に雰囲気が伝わりました。
芸術協会は、結構実力者揃いだと思います。
今年は意識して芸協の会に行ったつもりですが、これからも是非新たな発見もしたいと思っています。

小言幸兵衛様
とにかく客席を含めてとても雰囲気の良い定席でした。
出演者が揃って気持ち良さそうに演じていたのが印象に残りました。
芸協も上手にプロデュースする人がいれば、もっと人気が出てくると思うのですが。

う~ん、これも行くんだった。
でもちょっと立てこみすぎ^^。

佐平次様
この日は「当たり」でした。
行きたいと思う催しっていうのは、確かに不思議と重なるもんです。上席にはとうとう行けず残念な思いをしました。

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