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2011/11/13

金時・ひな太郎の会(2011/11/12)

11月12日、鈴本演芸場で行われた「金時・ひな太郎の会」へ。
実力派中堅の二人会にしては、やや寂しい入りだった。

<  番組  >
前座・古今亭きょう介「子ほめ」
三遊亭金時「転宅」
桂ひな太郎「浮世床」
三遊亭金時「一人酒盛」
~仲入り~
カンジヤマ・マイム「パントマイム」
桂ひな太郎「大工調べ」

落語が世界的にも珍しい芸だとすれば、寄席という劇場(小屋)も又珍しい存在だろう。何しろ一年中興行を打っていて、しかも毎日昼から夜9時頃まで開いている。
芝居と違ってあらかじめ演目が決められておらず、個々の出演者がその日その日で出番直前に出し物を決める。
客は彼らの芸を見たさに、何を演るのかが分からぬまま寄席に足を運ぶわけだ。
たいがいの寄席は開演前に前座があがり、サラが二ツ目、それ以後は真打の登場となる。
真打は大きく、大看板、ベテラン、中堅、若手に分かれる。
日常の寄席を支えているのは、中堅クラスといって良いだろう。
例えばこの日の出演者である金時は、浅草演芸ホール11月上席夜の部で主任、そして池袋演芸場11月下席でもトリを取る。
金時とひな太郎、各々、日常の寄席には欠かすことのできない噺家の一人だ。

金時の1席目「転宅」。
私の両親は戦前に中野で水商売をしていたが、あるときヤクザの客とトラブルになり、いきなり「ぶっ殺す!」といいながらドスを抜きテーブルの上に突き立てた。親父も従業員たちも一斉に外へ逃げ出したが、お袋だけは一歩も引かず「殺れるもんなら殺ってみな」と啖呵を切った。その剣幕に押され、ヤクザの方が退散したそうだ。
このネタを聴くたびに、母親のエピソードを思いだす。
胆の座ったお菊さんが間抜けな泥棒を手玉に取るシーンが良く出来ていた。
翌日現れた泥棒に、煙草屋の主人がうすうす正体を見抜いたような演出が目新しかった。

2席目「一人酒盛」、一緒に呑もうと呼び出しておいて、一人だけで5合の酒を全部空けてしまう男。しかも本人は差しで呑んだつもりでいるんだから始末に悪い。
呑むほどに酔うほどに気分が良くなっていく男と、ジリジリしながら最後に怒りをぶつける寅さんとの対比の面白さ。
寅さんのジリジリぶりをもう少し際立たせた方が効果的だったと思う。

ひな太郎1席目「浮世床」、この日は「夢」編だったが、こういう軽い噺を軽く演じさせると、ひな太郎は上手い。

2席目「大工調べ」、元の師匠・志ん朝の演出を踏襲していた。
気風の良い棟梁、因業な大家、間抜けな与太郎、それぞれの造形がしっかりしており、棟梁の胸のすく様な啖呵も良く出来ていた。
裁きから最後のオチまで間然とすることなく一気呵成、本寸法の高座だった。

他にカンジヤマ・マイムの妙技に客席が沸いていた。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

「母は強し」ですね。
金時もひな太郎も知らない噺家です。落語世界も奥が深いなあ。

佐平次様
母というより女は強し。我が家でも日々実感しているところです。
落語の世界では二代目はダメと相場が決まっているようですが、金時は例外になりそうです。父親より上手です。
ひな太郎はかつて志ん朝の弟子だった時代があり、その時の名前は志ん上でした。
やや線が細く地味に思われがちですが、芸はしっかりしています。
私も未だ未だ知らない人が沢山います。

「一人酒盛」この噺は矢張り円生でしょう。といっても、ビデオで見ただけなのが情けないですが。
私見では一人で飲む方のキャラが暗いとかえっていけない。あっけらかんとしている方が面白いと思うんですが、金時はそのへんはどう描いていたでしょうか?

福様
ご指摘の通りで、「一人酒盛」は圓生に尽きます。あの芸にどこまで迫れるかですが、金時は酒を呑む方は良かったと思いますが、対する寅さんの怒りが少し弱く感じました。そのため両者の対比が弱められ、今ひとつの出来でした。
ご本人のサイトを見ると、先代小さんの高座を手本にしたとありますが、ここはやはり圓生を手本にすべきでしょう。

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