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2011/11/21

大阪で白酒を聴く「白酒ジャックⅡ」(2011/11/18)

先週末に別用で大阪に赴き、たまたま18日の夜に”吉田食堂presents「白酒ジャックⅡ」”がトリイホールで開かれるのを知り、参加。
よく東京と大阪では笑いが違うとか、東京の噺家が関西では受けずに苦労したという話しを以前から耳にしていたので、白酒が大阪ではどのように演じるのか、またお客がどういう反応をするのか興味があったのだ。
会場が道頓堀近くだったので、開演前に周辺の繁華街をぶらついた。
近くに法善寺があったのでお参りしたが、あまりの小ささにビックリした。我が家の近所の神社より遥かに狭い。
金曜夕方だったせいか人通りが多かったが、現在大阪では府知事と市長のW選挙の終盤のはずだが全くその影がみえない。
宣伝カーもポスターもなく、選挙なんてどこでやってるんだいという感じだった(土日は天満橋周辺にいたが、やはり選挙らしきものは無し)。
ラーメン屋に入ったところ、近くにいた客に話しかけられ、しばしの落語談義。ここいらへんはやはり東京とは違う。
会場は満席、白酒はここでも人気のようだ。

<  番組  >
開口一番・笑福亭生寿「花色木綿」
桃月庵白酒「短命」
桃月庵白酒「抜け雀」
~中入り~
桃月庵白酒「木乃伊取り」

結論からいうと、白酒の高座は東京と変わらず、観客の反応も東京と同様で意外だった。笑いのツボも変わらぬように見えた。
上方の落語家が東京でフツーに落語会を演り、それが受ける時代になった。「笑い」に関して、既に東西の壁がなくなったということなのかも知れない。

生寿「花色木綿」、東京でいえば前座か二ツ目の位置の人だろうと推察する。このネタ、上方版を始めて聴いたが面白くない。生寿は人物の演じ分けが未だ出来ていず喋りが平板。

白酒のマクラだが、最初はトリイホールはかつて志ん朝が独演会を開いていた会場で、そうした高座に出られるのは感慨深いなどと殊勝な出だしだったが、プログラムの紹介に「彼は単なる汗っかきなのである」と書かれていたことに、「そんな悪口をいうことはないでしょう」とかみついていた。
小三冶が普段は苦虫を噛み潰したような顔をしているのに、地方公演で旅先などで出会うと結構陽気で、時には大きな声を掛けてくれることがある。あんな大声が出るんなら普段高座でもっと大きな声を出せばいいのになどと、いつもの毒舌は変わらず。

白酒の1席目「短命」、伊勢谷の養子がみな短命な原因を婉曲に説明する大家と、それをサッパリ理解しない八五郎との対比が鮮やかで、特に八の血の巡りの悪さが強調され会場の笑いを誘っていた。

2席目「抜け雀」、一文無しの泊まり客にはバカにされ、女房には呆れられる、頼りない宿の亭主。それが衝立に書かれた雀が抜け出す辺りから、次第にしっかりとした人物に変身してゆく。その変化を白酒はしっかりと押さえ好演。

3席目「木乃伊取り」、このネタに関しては言う事はない。現役ではトップだし、私見だが圓生より上だと思っている。
登場人物の演じ分けが見事なだけではなく、忠義心と正義感に溢れる頑固者の清蔵が、敵娼(あいかた)に出た花魁の手練手管にすっかりグズグズに崩れてゆく、その過程の描き方が秀逸。

白酒の高座はいつも小さなミスがあるが、それを吹き飛ばしてしまうパワーが勝り、殆んど気にならない。
出来不出来の波がなく、いつ聴いてもガッカリすることのないのも強みだ。
それを裏付けているのはサービス精神と、研究熱心さだと思う。
しばらく「白酒の時代」が続く様な予感がする。

一つだけ注文するならば、一席終わって足がしびれない程度に体重を落とすこと。
最後も見栄え良く高座を下りて欲しい。

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コメント

私も昨日紀伊国屋寄席で白酒を聴きました。やはり小三治の悪口を云ってたような気がします。

佐平次様
大阪の高座で小三冶のネタを振っても、と思ったらこれが結構受けていたんです。
かつての上方では、東京の芸人なぞに笑っていられるかという観客の気負いがあったと聞きましたが、今はそういうことが無くなったようです。

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