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2011/11/14

ドジョウ宜しくTPP

野田総理は11月12日、日米首脳会談でTPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉への参加を表明したが、会談の内容についてアメリカ側と食い違いが生じている。
米側の発表によると、会談で野田首相は「TPP交渉への参加を視野に、各国との交渉を始めることを決めた」とオバマ大統領に伝えた。
大統領は「すべてのTPP参加国は、協定の高い水準を満たす準備をする必要がある」と広い分野での貿易自由化を日本に求めた。
野田首相は「貿易自由化交渉のテーブルにはすべての物品、サービスを載せる」と応じた。
これに対して日本政府は、「今回の日米首脳会談で、野田首相が『すべての物品およびサービスを貿易自由化交渉のテーブルに載せる』という発言を行ったという事実はない」とのコメントを発表した。
日本側が米側に説明を求めたところ、「日本側がこれまで表明した基本方針や対外説明を踏まえ、米側で解釈したものであり、発言は行われなかった」と確認されたとしている。

♪ しばし別れの 夜汽車の窓よ
言わず語らずに 心と心 ♪  
(「高原の駅よさようなら」より)
心と心が通じ合っていれば言葉は要らない。
TPPで「すべての物品、サービスを載せる」ということは、言わずもがな。
日本側はそうは言ってないとしているが、アメリカ側はTPP参加を表明した時点で言ったも同然と解釈したわけだ。
日米間での「以心伝心」。

政府の試算によれば、TPP参加によって日本経済は10年間で2.7兆円の利得があるとされる。年間なら2700億円だから、日本の経済全体(GDP)に対して0.05%の効果しかない。一部の物品を除けば既に十分自由化されているので、大きな経済効果が期待できないのは当然なのだ。
国論を二分するような騒ぎになっているのに、日本にとってたったそれだけの効果なのかと思われるだろうが、そうなのだから仕方がない。
ではなぜ日本政府はTPPに参加しようとしているのかといえば、「米国が日本のTPP参加を強く望んでいる以上、参加しない選択肢はない」ことに尽きる。
つい先日まで民主党や自民党からもTPPに反対する議員がいて、命をかけるだの離党するだの勇ましい事を言っていたが、政府はこの反対はポーズだけだと見抜いていた。
なぜなら民主・自民両党ともに、日本にとって米国は絶対的な存在だということが党是になっているからだ。彼らからすれば、TPPは経済ではなく政治課題だ。だから反対意見も、所詮は選挙民向けに「反対しましたよ」というアリバイ作りだと、政府はタカをくくっていた。
民・自以外のなかには真剣に反対した議員もいるが、少数だから無視されてしまったのが実状。

TPPの影響は米や酪農製品の関税撤廃に焦点があたっているが、問題はそれだけではない。
TPPでは、金融、医療、労働、環境、公共事業政策、安全基準などへの規制や制度といった「非関税障壁」の撤廃を義務づけている。こっちこそ大問題だ。
米国の政治力と経済規模が圧倒的に大きいので、日本などの他の参加諸国に対し、米国型の規制や制度を押し付けるかたちとなる可能性が大だ。
我が国の健康保険制度が骨抜きにされたり、地方の郵便局の廃止が進むことも十分あり得る。
他にも、日本の環境基準が米国に比べ厳しいので、これも「非関税障壁」の一つとして緩和が求められるかも知れない。現に米議会の共和党は、環境基準を緩和し環境汚染を今よりも容認することで、企業が環境保全に払ってきたコストを減らせるので、汚染容認が雇用対策になるのだと主張している。
米国型の経済政策を強制的に導入させられことこそTPPの核心である。

野田政権の姿勢としては、こうした米国からの要求を丸飲みすることになるだろう。
国会は民主と自民両党あわせて圧倒的多数だから、このままいけば参加容認が大勢を占めることになる。
しかし個別分野での具体案が明らかになるに従い、TPPの国民生活に与える悪影響もはっきりとしてくる。
その段階で、どこまで国民の多数が反対の意思表示ができるかが、TPP参加への是非を左右することになるだろう。

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