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2011/12/19

#12北沢落語名人会(2011/12/18)

12月18日、北沢ホールにて第12回北沢名人会「文左衛門・菊之丞・白酒 三人会」が行われた。
この会は3年前から始まり、定期開催を行っているとのこと。
番組の中でも林家しん平が挨拶していたが、しん平がプロデュースしている。お客のアンケートなども参考にしてメンバーを選んでいるようだ。三人会だが、それぞれにトリ根多レベルの出し物をというのがセールスポイントらしい。一人40分のノルマを課していると宣言していた。

<  番組  >
前座・柳亭市也「一目上り」
「ご挨拶」林家しん平
古今亭菊之丞「二番煎じ」
~仲入り~
桃月庵白酒「宿屋の仇討」
橘家文左衛門「芝浜」

菊之丞「二番煎じ」、典型的な冬場のネタであり、菊之丞の十八番でもある。
岩手から戻ったところで風邪気味だと断っていたが、今まで聴いた中で今回が最も出来が良かったと思う。
先ず描写がひとつひとつ丁寧で、人物の演じ分けも良く出来ていた。随所に得意の喉も聴かせて客席を楽しませていた。
ただ、番小屋で宴会を始めるときに、「乾杯、お疲れ様」と言っていたが、あれは菊之丞には似合わない。江戸情緒を醸し出してくれる数少ない噺家だけに「画竜点睛を欠く」ではなかったか。

白酒「宿屋の仇討」、マクラで来春の新真打昇進に触れ、小三冶会長が一人で決めたことだが、どうやって「ケツを持つ」つもりだろうかと言っていた。
今回の昇進については大方の落語ファンからは歓迎されているようだが、内部となると軋轢はあるのだろう。
サラリーマン世界でも抜擢人事というのが行われるが、良かった良かったという人は少数で、「あいつだけが何故?」という批判が多数を占める。そういうものだ。
人間誰しも自惚れがあるし、特に利害が絡めばそう冷静かつ客観的に見られなくなる。
そこが人間社会の難しいとこであり、また面白いとこでもある。
「宿屋の仇討」は先日聴いたばかりだが、面白いものはやはり面白い。
隣室の侍が「古典落語なのにジングルベルを唄うとはけしからん」とか「白鵬と輪島が対戦するわけがないではないか」と怒るところで場内は爆笑。

文左衛門「芝浜」、意外と言っては失礼かも知れないが、全体に非常に丁寧な演出だった。
魚屋の勝五郎が芝の浜へ出かける際に道端の犬に「お前も釜の蓋が開かないって言われたのか」と語りかける場面や、浜で煙草を吸うときに悴んだ手で何度も火打石をする場面などがその典型。
とりわけ二度目に女房が勝五郎を起こす際に、「果たして夢だと押し通すことができるだろうか」という思い入れから二、三度躊躇してから揺り起こす演出は、とても良く練られている。この日のトリに相応しい高座だった。
かつて談志が「芝浜」について、落語としては良く出来た噺ではないというような意味の発言をしていたが、私も同感だ。
登場人物も二人だけだし、いわゆる大ネタには程遠い。
三代目桂三木助が練りに練って有名にしたようなもので、当時他の演者が高座に掛けなかったのも要は受けないと思ったからではなかろうか。
三木助の死後、むしろこの人の演出をそのまま踏襲するのか、あるいはそこから離れて独自の構成にするのか、そうした落語家たちの工夫や努力によってトリ根多にまで進化していったというのが私の見立てだ。
噺そのものより、演者の解釈や演出で見せる演目だと思う。

三人三様、いかにも年の瀬らしいネタでの熱演が続き見堪えがあった。

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コメント

浅草見番の雲助一門会、サラクチで下北に駆けつけると言ってました。
「4段目」、この人私はマクラはあまり好きじゃない、つまらんギャグだと思いますが、ネタに入ると有無を言わせないですね。
見番でご一緒した人が三田をミタとか、喜多八のことも聞きました。
ほんとに全快だと好いなあ。

佐平次様
喜多八の病状ですが本人は一切話しませんが、白酒がポロっと「早期発見で良かった」と言ってましたので大方想像がつきました。
統計上は高齢に男性の場合、癌になる確率は50%、その内死亡確率はおよそ半分だそうで、要するに年寄りの男の4分の1は癌で死ぬということです。
我々もそれなりの覚悟が必要なのでしょう。

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