劇団仲間「森は生きている」(2011/12/26)
作:サムイル・マルシャーク
訳:湯浅芳子
演出:高田潔
音楽:林光
出演:劇団仲間
「森は生きている」は児童劇の傑作である。もちろん大人だって十分楽しめる。
初めてみたのは小学生だったから、かれこれ60年も前のことだ。子ども心になんて素晴らしい芝居だろうと感激した。
次は30年位前で、子どもたちが小学生だった時期には、「森は生きている」をみて外食することを新年恒例の行事としていた。
そして12月26日の紀伊国屋サザンシアターでの公演には、下の孫娘を連れての観劇だった。
純真なみなし児と意地悪する叔母とその娘というお約束の設定だが、決して単純な勧善懲悪の物語りに終わらせていない。
みなし児の前には白馬にまたがった王子様が現れるわけではなく、これからは一家の主として一人で生活していかねばならぬ。幸せになれるかどうかは、今後の彼女自身の努力にかかっている。
彼女をいじめた叔母と娘は12月(つき)の神たちによって犬に変えられてしまうが、改心すれば3年後には人間の姿に戻れるという救いを持たせている。
無知でわがままだった王女は庶民の生活に初めて接し、命令だけではなく他人に頭を下げてお願いすることを学ぶ。
厳しい冬の季節に立ち向かい、やがて来る春を待ち望む人々の姿は、かつての帝政ロシア時代の人民、ソ連のスターリン圧政下の国民、そして今のロシア国民の姿と重なるのだ。そして私たちの姿とも・・・。
森の動物たちとの交流や楽しい歌と踊りに溢れた舞台、これぞ「不朽の名作」。
公演は1月5日まで。
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