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2011/12/05

「三三・吉弥ふたり会」(2011/12/4)

12月4日、紀伊国屋サザンシアターでの「柳家三三・桂吉弥ふたり会」へ。
プログラムで三三が大阪で、吉弥が東京で、それぞれ観客の支持を得つつあるそうだ。
東京の寄席でも噺家が昔は東京出身者が大半だったが、今では逆に少数だ。落語が全国区になりつつあるのだろうか。

<  番組  >
桂佐ん吉「代脈」
桂吉弥「不動坊」
柳家三三「位牌屋」
~中入~
柳家三三「釜泥」
桂吉弥「昆陽の御池」

開口一番の佐ん吉、三三と吉弥の頭を取ったシャレで出たんだろうか。違うかな。
「代脈」は元々が東京の噺かと思うが、そのまま大阪に移したものとみえる。
このネタ、圓生や志ん朝のような力量のある人が演らないとあまり面白くない。

吉弥だが、この日は今ひとつ元気が無く、元々上方落語家としてはテンションが低いのだが、一段と低く感じられた。
1席目「不動坊」は時間の関係か前半をカットし後半から。
利吉への復讐を相談する場面で、男ヤモメ三人の人物像をもっと鮮明にして欲しい。そこが欠けると終盤の幽霊騒ぎでの三人の動きの面白さが伝わり難い。
不出来というわけではないが、何か物足りなさを感じてしまった。
吉弥の2席目「昆陽の御池」、東京では「唖の釣り」だが、上方版の方は釣りに出かけるまでの二人のヤリトリが長い。そのせいか「唖の釣り」に比べ冗漫だ。
それとこのネタ、トリで演じるような演目なのだろうか。もっと短い時間で軽く演る、そういうネタではあるまいか。
あるいは上手い噺家がやれば、もっと緊張感が醸し出されるのかも知れないが。
吉弥はメディアへの露出も多く、そうした上方の人気落語家が東京の高座でも受ける。そうこうしている内に、続々と大阪の落語家が東京で会を開き、こちらの客も上方落語に対して次第に目が肥えてくる。
ここから先、現在の吉弥の芸がいつまで支持されるのか少々疑問符もつく、そんなこの日の高座だった。

三三、先日の独演会は出来が悪く名前の通り「さんざん」だったが、この日は最初から気合が入っていた。最初に出て来たときの眼の色で、今日は違うなと思った。こういうのもライブの楽しみではある。
三三の1席目「位牌屋」、「味噌蔵」を思わせる度ケチな主人が物売りから商品を巻き上げるのをみて、位牌屋に使いに行かされた小僧が同じような手口でタダで位牌をせしめてくるというネタだ。
三三は吝嗇な主人と商人とのヤリトリを軽妙に演じて、上出来だった。
相変わらず目の使い方が上手い。
三三の2席目「釜泥」、泥棒の小咄をいくつか演って本題へ。
度々釜が盗まれる豆腐屋が一計を案じ、一晩釜の中で寝ずの番をするつもりがついつい酒を呑んで寝込んでしまう。
そうとは知らぬ泥棒が釜を盗みだすが、中にいる主人が眼をさますと泥棒は慌てて逃げ出す。
蓋をあけた主人、「今度は家を盗られたか」。
先代小さんから当代小三冶へと、柳家は伝統的に泥棒モノが上手いが、三三もそのDNAを受け継いでいるようだ。主人のトボケタ味が良い。
人情噺の長講からこういう短い滑稽噺まで聴かせるのは、やはり並大抵の力量ではない。

若手落語家は三三と白酒、つまり「三白」時代がしばらく続きそうな気配だ。

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コメント

三三は独演会での不出来から、ほめ・くさんへの名誉挽回を果たしたようですね^^
以前にテレビの「落語者」の感想として吉弥の高座に小言を書いたことがあるのですが、ほめ・くさんのご感想を拝見し、十分にその内容が想像できます。
上方の爆笑落語、例えば雀々などと比べるのは可哀想にしても、何とも大人しい綺麗ごとに思える高座ですよね。
悩める時期の過渡的なものなのか、それとも実力なのか・・・・・・。あるいは談志の死の悲しみを引きずっているのか?ともかく、「?}がたくさんつくように思います。

投稿: 小言幸兵衛 | 2011/12/06 18:07

小言幸兵衛様
「昆陽の御池」、師匠・吉朝の映像を観ましたが、これが面白い。吉弥とはテンポの差もありますが、大きな違いは吉朝は釣りが趣味だったということです。釣り好きの人が釣りの楽しさを語る、だから聴く方に対して説得力があるのだと思います。
師匠の七回忌ということでこのネタを選択したのでしょうが、未だ道のりは遠いということです。

投稿: home-9(ほめ・く) | 2011/12/07 07:00

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