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2012/01/16

「ラ・カージュ・オ・フォール」(2012/1/14)

日生劇場で上演中のミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール」を1月14日に観劇。
1973年パレ・ロワイヤル劇場にて初演、1983年にブロードウェイにおいてミュージカル化され1984年にトニー賞を受賞している。
日本では1985年に帝国劇場で初演。以来10回再演されている。
2008年には鹿賀丈史と市村正親のコンビで公演が行われ、今回はその4年ぶりの再演。
2度にわたり映画化(『Mr.レディ Mr.マダム』、『バードケージ』)もされているのだから、多分面白かろうというわけだ。
ここまでが枕。

<  スタッフ  >
作詞・作曲/ジェリー・ハーマン 
脚本/ハーベイ・ファイアスティン
原作/ジャン・ポワレ
翻訳/丹野郁弓 
演出/山田和也
音楽監督・指揮/塩田明弘
<  主なキャスト  >
鹿賀丈史/ジョルジュ
市村正親/ザザ(こと”アルバン”)
原田優一/ジャン・ミッシェル(息子)
愛原実花/アンヌ(ジャンの許嫁)
香寿たつき/ジャクリーヌ(レストラン経営者)
真島茂樹/ハンナ(鞭をふるう特技)
新納慎也/シャンタル(黄金の喉仏の持ち主)
今井清隆/ダンドン議員(アンヌの父)
森公美子/ダンドン夫人(アンヌの母)
花井京乃助/ジャコブ(ジュルジュの家の執事)
林アキラ/ルノー(カフェの主人)
園山晴子/ルノー婦人(カフェの女将)

あらすじは。
南フランスのサントロぺ、舞台はゲイクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」。
オーナーのジョルジュとクラブの看板スター"ザザ"ことアルバンはこの20年間、事実上の夫婦として生活してきた。そろそろ倦怠期に差し掛かっている。
ジョルジュには24年前のたった一度の過ちから生まれた最愛の息子ジャン・ミッシェルがいる。以来、アルバンが母親代わりとなり育ててきた。
同じゲイだがジョルジュの方は両刀使いだったわけですね。
その息子のジャンが突然結婚を宣言する。恋人はアンヌといい、両親のダンドン議員夫妻が会いに来ると告げたことから騒動がまきおこる。
何しろダントンは謹厳な保守党のリーダーで、ゲイなど目の仇にしているのだ。
ジャンはジョルジュに、一晩だけまともな家族に見えるよう取り繕ってくれと頼み込み、その上、ずっと会っていない実の母親を呼んでくれと言う。アルバンにとってひどい仕打ちだが、しかしジョルジュの説得にアルバンも納得。叔父として振舞うため、男らしい立ち振舞いのレッスンを始める。
ところがジャンの母親が急に来られなくなったから、さあ大変! アルバンは一転、女装して母親になることを決意する。
両家族揃ってのジャクリーンの店での食事会はひとまず大成功に思えたのだが・・・。

同性愛者同士の愛と家族との絆を明るく描いたところにこの作品の意義があるのだろう。
今でこそ社会も許容力を増してきたが、作品の発表時点ではまだまだ世間の目は厳しかったに違いない。
ゲイやホモが胡散臭く見られていた時代に、ゲイを謳歌するような明るい舞台に仕立てたのが成功の秘訣だったと思う。

この作品の魅力はそうしたストーリーより、むしろゲイに扮したダンサーらが繰り広げる”カンカン”などのショーのシーンだ。
いわゆるニューハーフ・ショーというのは国内やバンコックで観たことがあるが、そちらは男をいかに女に見せるかがポイントで、踊りも女性の踊りだった。
この舞台では女装した男がいわば「男性(ゲイ)」の踊りを見せるわけで、大きな違いを感じる。
ダイナミックさと滑稽さがより増幅され、迫力ある舞台を形成していた。
”ミュージカル”の語源は”musical comedy”であり、明るく楽しいプレイが基本だと思う。
この作品はそういう意味ではミュージカルの王道を行っている。

主役は鹿賀と市村の二人だが、完全に市村の芝居だ。演技、歌、踊りみな市村が圧倒している。鹿賀は踊りに難がある。
二人はいずれも1973年に劇団四季で初舞台を踏んでいるのでおよその年齢は察しがつくわけだが、さすがに若い。特に市村は若い奥さんを貰っているのが元気の秘密だろうか(あれ、これって前に同じことを書いたかな、どうも気になっちゃうんで)。これからの日本のミュージカルを考えるなら、市村を追うような若いスターの出現が待たれるところだ。

真島や新納らゲイのダンサー達の踊りが鮮やかで見応えがあり、今井、森、林らのしっかりとした演技が脇を固めていた。
香寿の美しさと愛原の可憐さが舞台に華を添え、花井が軽妙。

公演は2月13日まで。東京、大阪、名古屋で。

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