ネット情報が「真田小僧」になる
今回の話題はネットのニュースなど情報有料化の動きについて。
その前になんで「真田小僧」なのか、落語ファンにはとうにお馴染みだが、ご存知ない方のために前半部分を紹介しおく。
小生意気でこまっちゃくれた子供が小遣いが欲しいので、父親にねだる。それを断固はねのける父。
息子は「じゃ、おっかさんから貰うからいいもん」。
父は「お母さんの持ってんのは俺の金だ、俺がやるなって言や、くれやしねんだ」
息子が「『この間、お父さんの留守に訪ねて来たおじちゃんの事、方々へ行って喋っちゃおうかなぁ』と言うと、お母さんがおアシくれるんだよ」とさぐりを入れると、父親が「その話をしてみろ、ゼニやるから」と食いついてくる。
おアシをくれなきゃ喋らないという息子に、父は先に喋ったらおアシを上げると言う。
そこで息子は「それじゃおとっつぁんに訊くけど、寄席という所はお話を聴く前にお金を払うんですか、それとも聴いた後で払うんですか」とツッコミを入れる。
父親はしぶしぶ小遣いを渡すと、息子はその日の出来事を気を持たせながら話し出す。
息子は一銭受け取ると、父親が留守の時、白い洋服にサングラスにステッキを持ったおじさんが訪ねて来て、母親は嬉しそうに手をとって家に上げた・・・。「一銭はここまで」と息子は話を止める。
父親が二銭追加すると息子は、母親から邪魔だと金を貰って表へ遊びに行くが直ぐ戻って来て閉まった障子に穴をあけて覗いてみたら・・・。「二銭はここまで」。
また三銭を渡すと息子は、母親は布団の上に長襦袢一枚になりそのおじさんが体をさわっていたと言う。
父親「お前、その男知ってんのか」に、息子は「なんだ、つまらねぇ。横丁のアンマさんがお母さんの肩もんでやんの。ありがとう」と逃げていく。
近ごろいくつかのニュースサイトで有料化が進んでいる。
例えば2010年3月に日本経済新聞電子版が創刊されたが、それまでの無料サイトを廃止している。
日経電子版ではニュースのリード部分を読んでいると途中から、”[有料会員限定]この記事は会員限定です。電子版に登録すると続きをお読みいただけます。”と表示される。
その下に”会員登録”のボタンがあり、ここを押すと登録への手順が示される仕組みだ。
ここで月額4千円を払い有料会員になれば全ての記事が読めるが、無料会員だと月に20本の記事しか読めない(ケチ!)。
これ以上の情報を知りたけりゃ、前金を払ってくれ。そうすりゃ教えて上げるというわけで、正に「真田小僧」商法。
この他WSJ日本版も同様で、こちらは月額が1980円。
これに追随するように朝日新聞社は、同社のニュースサイト「アサヒ・コム」を2012年1月中にも、有料サイト「朝日新聞デジタル」に統合することを明らかにした。朝日もこの「真田小僧」ビジネスモデルを踏襲するようだ。
日経と朝日が成功するようであれば、他のメディアも有料化の方向に踏み切るだろう。
今までは何となくネットの情報はタダだと思ってきたが、これからは金を払って、それも前払いで情報を買う時代に入るのだろうか。
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