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2012/02/26

#18「三田落語会」(2012/2/25昼)

ようやく土日には動けるようになってきたので、ボツボツ記事を書いていこうと思う。
2月25日は仏教伝道センタービルで行われた、第18回三田落語会・昼の部「一朝・兼好二人会」へ。
この会は以前の「ビクター落語会」を引き継いだものだそうで、出演者もその当時のメンバーと同じ顔づけとなっているらしい。これに毎年新しい落語家を加えると言う趣向とのことで、今年は三遊亭兼好が選ばれたもの。
開場30分前には次回のチケット予約の整理券を求めて50人以上の人が並んでいた。

<  番組  >
前座・春風亭朝呂久「のめる(二人癖)」
春風亭一朝「黄金餅」
三遊亭兼好「崇徳院」
~仲入り~
三遊亭兼好「置き泥(夏泥)」
春風亭一朝「子別れ(上・下)」

先ずこの二人会の人選の妙だが。
高座で二人が触れていたように、兼好は当初一朝に弟子入りを志願したが、一朝は両親の承諾なしには弟子を取らないという方針なので断った。兼好は一度は魚河岸に職を得て時々一朝宅にマグロを届けたりしていたが落語家になる夢を捨てきれず、好楽に弟子入りして今日に至っている。
この人なら誰の弟子になろうとも成功していただろうが、願わくば一朝の弟子になって欲しかったと思う。ちょうど当代柳朝と一之輔の間の弟子になっていたそうで、協会気鋭の真打として活躍していたはずだ。
寄席で兼好がどんな芸を見せてくれただろうか、そう考えると惜しい。

兼好の1席目「崇徳院」、若い男女が初めて会ってお互いに一目惚れ、しかも二人とも恋煩い。だが相手が誰だか分からず双方の出入りに職人やらが、唯一の手がかりであり崇徳院の和歌の上の句を持って人探し。
もちろん滑稽噺ではあるが、どこか「雅さ」を求められる、そんなネタだと思う。三代目三木助から志ん朝に至る演出も、その風合いは大事にしていた。
さて兼好だが、例えば若旦那が熊に恋煩いを打ち明けるシーンで何度も大笑いするように描いていた。また二人は幼馴染で子どもの頃は熊が若旦那の頭を叩いていたというエピソードの挿入も兼好独自の演出だろう。
しかしこうした改変はオリジナルの風合いを壊しているように感じられる。笑いの取れにくい前半を工夫したものだろうが、全体の調和を考慮して欲しいところだ。
人探しの後半は文句なしだったから、この点が惜しまれる。

兼好の2席目「置き泥(夏泥)」、落語なので時代考証なんてウルサイことは言いたくないが、質草の道具箱を受けだすのに5円と言ってたからこの噺は明治以後のことだろう。それなのに長屋の両隣が浪人で刀を研いでいたという設定は変だ。
泥棒に入られた男は床板の根太を燃やして蚊遣りにしたと言っていた。だから泥棒がその穴に足を突っ込んだという設定だ。床に穴が開いていて玄関は戸が閉まっている、そんな部屋で暮らせるとは思えない。
男が素裸でいる所をみれば季節は夏、だからこの噺は夏場の季節感が求められる。
2月のネタとして選定がどうだったんだろうか。
オチで、男が「今度はお前の家に泥棒に行く」というのもシックリこない。恩を仇で返すようで後味の悪さが残る。
男と泥棒のセリフのヤリトリは軽妙で兼好の良さが出ていただけに、残念な気がする。
課題の残る初登場だった。

一朝の魅力は切れの良い江戸弁と持ちネタの多いこと、それに安定感だ。啖呵(言い立て)は師匠譲りだ。笛の名手だけにリズム感のある噺や、啖呵が聞かせどころのネタを得意としている。
絶対に客をガッカリさせることが無いという反面、大きなサプライズもない。
1席目「黄金餅」では、金兵衛が金に執着はしているがどこか憎めない人物として描かれていて良い出来だった。
2席目「子別れ」は中をショートカットした上下で演じたが、上の「強飯(こわめし)の女郎買い」でも大工の熊と紙屑やの長さんとの会話が秀逸。下の「子は鎹」ではたっぷり泣かせてくれて、満足の高座だった。

今秋の二ツ目昇進が決まった朝呂久には確実に進歩の跡。

未だ書きたいことはあるのだが、時間がなくて端折ってしまった。

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コメント

ブログ再開、おめでとうございます。
一朝は、良かったようですね。
兼好、いろいろ悩みながらの高座、そんな印象を受けました。
この会はビクター落語会時代にも行ったことはあるのですが、最近は、土曜昼の会のチケットがなかなか取れずにご無沙汰しています。
とにかく、ほめ・くさん節の復活に拍手、です!

お帰んなさい!
兼好が一朝に入門していたら、同感です。
古典として完成している噺に工夫を加えて現代の人にもわかるようにする、そこを勘違いしている噺家が多いですね。

小言幸兵衛様
激励のお言葉有難うございます。
未だ本格的な復帰にはなりませんがボツボツ行こうと思っています。
三田落語会も段々チケットが取りづらくなってきたようです。

佐平次様
兼好のようなタイプの噺家は、定席に出ていたらもっと成長すると思います。
確かに一朝に弟子入りしていたらなぁと思わずにはいられません。

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