立ち見の出た「池袋2月上席・昼・初日」(2012/2/1)
2月1日新宿で午後4時から友人と会う約束ができ、急に思い立って池袋演芸場上席・昼の部の初日に出向く。
平日の昼にも拘らず顔づけのせいか入りが良く、途中から立ち見も出た。
ケチな性分で寄席は前座からトリまで観るのを常にしているのだが、そんなわけでこの日は番組の最初から入り、膝の前で途中退場。いちおう出口に最も近い席にいて周囲に迷惑をかけないよう退出した。
この日の主任・馬石さんには、失礼してしまいした。
< 番組 >
金原亭馬吉「子ほめ」
ダーク広和「奇術」
蜃気楼龍玉「ぞろぞろ」
桂文雀「表彰状」
林家ペー「漫談」
桃月庵白酒「つる」
金原亭伯楽「猫の皿」
鏡味仙三郎社中「太神楽」
柳家喬太郎「極道のつる」
-仲入り-
柳家三三「不孝者」
五街道雲助「垂乳根」
(ここで退出)
寄席というのは出演者全員が協調してひとつの芝居を構成する場ではあるが、それぞれが個人芸である以上互いに競合する場でもある。
「協調と競合」は寄席の特徴であり、魅力でもある。
この日のトリは隅田川馬石だったので、師匠雲助以下一門の人たちは軽い噺を選んでいる。
白酒は十八番でもある「つる」。このネタをこれほどの爆笑編に仕立てのは白酒の功績で、いつもの通り客席は大受け。
それに対して中トリの喬太郎はまさかの「極道のつる」。「つる」の隠居と八五郎を極道の親分と子分に置き換えた改作で、”付く”ネタは避けるという寄席の原則に敢えて挑んだものとみえる。
”狂気”とも思える過剰演出の中にどこか醒めた自分を残していて、いかにも喬太郎らしい高座だった。客席は爆笑の連続。
喬太郎が真剣勝負に出るほど、白酒の実力と人気が高まってきた証拠ともいえる。
食いつきに出た柳家三三「不孝者」。仲入り前の狂った高座を抑えるように、一転して選んだのは人情噺風のネタ。道楽息子のお蔭で大店の主人とそのかつての愛人だった芸者が再会し、もう一度人生をやり直そうと誓い会う大人の純愛物語。
三三の高座は大旦那に風格がやや欠けるものの、芸者が愛おしい。恨みつらみを言い立てながら、男に心が惹かれてゆく切なさが良く出ていた。
この後に雲助「垂乳根」が続き、後半は高座も客席もすっかり落ち着いた雰囲気になっていた。
こういうのが寄席の見所の一つだ。
他に、龍玉「ぞろぞろ」は丁寧な高座を見せていた。この人が師匠の芸風に一番近いかも。
文雀「表彰状」は新作で、泥棒が悪事をやろうとすると全てが善行になってしまうというストーリー。トボケタ味が出ていた。
林家ペー「漫談」はライブでは初めてかも知れない。もっと寄席に出て欲しい芸人だ。
今日の顔ぶれの中では異色とも思える伯楽、「猫の皿」で元気な姿を見せてくれた。
満員の客席は満足したに違いない。
池袋2月上席は夜の部も充実していそうなので、チャンスがあれば観に行きたいのだが。
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夜に行こうと思っています。入れ替えなしだからずっと頑張る手もありかな。
雲助が代演でしたか。
投稿: 佐平次 | 2012/02/02 10:18
佐平次様
体力さえ保てば昼夜ぶち抜きしたい顔ぶれです。
あそこは座席が狭いので満員だとキツイかも知れないですね。
夜の部も行きたいんですが、日程が難しそうです。
投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2012/02/02 10:32