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2012/02/05

#393花形演芸会(2012/2/4)

暖かさが戻った立春の国立演芸場での「第393回 花形演芸会」。
いつもだと中堅落語家が一人出るのだが、今回は無し。それでも前売りは完売。

前座・入船亭辰じん「一目上り」
<  番組  >
三遊亭きつつき「孝行糖」
桂吉弥「ちりとてちん」    
ふくろこうじ「クラウン」           
三遊亭兼好「三枚起請」      
―仲入り―
古今亭菊志ん「小言幸兵衛」     
U字工事「漫才」               
柳亭左龍「甲府い」         

辰じん「一目上り」、いま最も期待されている前座の一人で、今秋の二ツ目昇進が決まった。
語りがリズミカルなので聴いていて心地よく噺に引き込まれる。本寸法の若手に成長することが期待できる。

圓楽一門の二ツ目・きつつき「孝行糖」、初見だが変わった雰囲気を持った人だ。フワフワっとした感じのマクラだったが、メガネを外してネタへ入ってからは本格的な古典で、これが聴かせる。
飴売りの与太郎と飴を買ってくれる町人とのヤリトリの「間」が良い。三代目金馬を偲ばせる高座で、このネタでは近年のベストにあげられる。

吉弥「ちりとてちん」。東京で「酢豆腐」が上方に移植され「ちりとてちん」、今では逆輸入されて東京の高座でも頻繁に演じられている。
喬太郎や文左衛門らのアクの強い高座に馴れていると、吉弥が大人しく感じてしまう。
この人はもっとバカになれると一皮剥けると思うのだが。
    
ふくろこうじ「クラウン」、マイムとジャグリングの組合せ。特に感心したのは段ボールを使ったパントマイムで、首と胴体が別々に動くように見せていた。この芸はハマる。指先の帽子を腕の上に転がしてかぶるキメのポーズも格好いい。

兼好「三枚起請」は上出来。
マクラでカラスの生態を解説していたが、オチがカラスなのでこのマクラは適切。近ごろ本題とかけ離れたマクラを振る噺家が多いが、あれは邪道。あくまでマクラは本題へのイントロでなくてはいけない。
三人目の男が女から金を無心された時、奉公に出ている妹に無理を言って給金の前借りを頼んだと涙ながらに語る場面で、半公が口三味線で合いの手を入れるアイディアが秀逸。
吉原へ向かう途中、一匹の雌犬の後を三匹の雄犬が付けているのをみて、「あの犬も起請を貰ったのかな」というクスグリもいい。
登場人物の演じ分けもよく出来ていて、今年度の大賞を狙うに十分だったように思う。

仲入り後の菊志ん「小言幸兵衛」、実力者揃いの円菊一門の中で着実に腕を上げている若手真打だ。二ツ目の菊朗の頃から着目しているのだが、予てから「青さ」が抜ければ化けるのではと期待していた。
「小言幸兵衛」は圓生の名演があり、どうしても圓生のリズムで演りたがる人が多いのだが、あれは相当の実力がないとムリだ。
菊志んは始めから終わりまで一貫して同じテンポで通したが、これが成功した。時間の関係からか最初の豆腐屋を割愛したが、その不足を感じさせない。
息もつかせぬ言い立てに、仕立て屋もついつい「心中」に至る経過を納得してしまう。こういう演出もあるんだと納得した。
芝居を語るシーンがもっと丁寧になれば、より完成度が高くなると思う。

U字工事「漫才」、お国自慢のネタはロケット団とかぶるが、ツッコミのキャラが濃い分、客席からの笑いが多かったようだ。
TV出演も多い二人だが、こうして金を払って見に来る客の前で演じてこそ芸は上達できる。ボケ役の「間」に少しズレが見られたのが残念。
                  
左龍「甲府い」、ここまで熱演が続き、客席も大いに沸いていたせいか、第一声が「今日はもう十分でしょう」、少々やり辛かったのかな。
折り目正しい本格古典で結構だったのだが、終盤のやや湿っぽい演出が気になった。筋が筋なので、もっとカラッと演じる方が後味が良いように思う。
それと、トリの演目として「甲府い」はどうなんだろう。もっと別の選択があったと思われるのだが。

色々と収穫の多い花形演芸会だった。         

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コメント

今後はきつつきに注目したいと思います。

演芸会は演者にお目当てがいるかどうかが鍵になります。
ほめ・くさまは誰がお目当てだったんでしょうか?

福様
今回は兼好でした。きつつきは良かったですし、菊志んが上手くなってきましたs。
私の場合お目当ては、やはり喬太郎でしょうか。
その他では、「三白一兼」の4人に注目しています。揃って二ツ目時代から観てますので、成長を楽しみにしています。
他には扇辰、金時、圓太郎・・・、挙げだしたらきりがないですね。

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