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« #393花形演芸会(2012/2/4) | トップページ | 「警察のノルマ」の危険性 »

2012/02/06

教授への寄付金は「買収費用」

医師、弁護士、教師を俗に「さんし」と呼び、世間から尊敬される職業とされている。この中で教師は格下に見られがちだが、大学教授ともなれば未だに権威が認められている。
企業側からみればそうした権威は十分に利用価値があり、
・教授を企業の顧問や嘱託に迎える
・教授へ寄付金や委託研究費として寄金する
などの方法でコンタクトを持ち、企業やその製品の対し好意的な立場を取ってもらうことになる。
時には商品の欠陥によるクレームが起きたときの「防波堤」にもなってくれるので、とても有り難い存在なのだ。

顧問や嘱託の場合、知る限りでは月額で10-20万円程度の報酬が支払われる。これは1社当りであり、複数の企業にまたがると相当な金額となる。
私の知っている教授で、10数社の顧問をしていた猛者もいた。こういう人物が叙勲受章者になっているんだから、世の中いい加減なもんだ。
国立など公立大学の教授は企業の顧問にはなれないが、そこは「蛇の道は蛇」で「ウラ顧問」という裏技がある。
教授に対する寄付は「奨学寄付」と呼ばれるもので、公立私立関係なくできる。
教授側は使途が自由のため、便利なようだ。
委託研究費は特定のテーマで研究を委託し、その研究費を企業が支払うものだ。こちらは使途が限定されるのと報告義務があるので、金の使い道に制約がある。と言ってもあくまで名目上のことで、体裁さえ整っていれば企業側はあまりウルサイ事は言わない。要は寄付をしているという事実が大切なのであって、研究成果は期待していないからだ。

東京電力福島第一原発事故後の原子力政策の基本方針(原子力政策大綱)を決めるため内閣府原子力委員会に設けられている会議の専門委員23人のうちに、原子力が専門の大学教授が3人含まれている。いずれも専門分野での知識を買われた人たちだが、この3人全員が2010年度までの5年間に原発関連の企業・団体から計1839万円の寄付を受けていた。
3人は東京大の田中知(さとる=日本原子力学会長)、大阪大の山口彰、京都大の山名元(はじむ)の各教授で、3人は寄付を認めたうえで、「会議での発言は寄付に左右されない」などと話しているという。

これとは別に、内閣府原子力安全委員会の安全委員と非常勤の審査委員だった89人のうち、班目(まだらめ)春樹委員長を含む24人が2010年度までの5年間に、原子力関連の企業・業界団体から計約8500万円の寄付を受けていたことが分かっている。
うち11人は原発メーカーや、審査対象となる電力会社・核燃料製造会社からも受け取っていた。
こちらも委員らは影響を否定している。

要するに政府の原子力行政に直接影響を与えるような学識経験者の多くは、原子力関連企業のひも付きであって、パトロン企業の代弁者だということだ。
寄付を受けた教授らは影響ないと強弁しているようだが、そんな事は有り得ない。
顧問にしろ寄付にしろ、これだけの金額を支出するとなると社内稟議(付議)と通さねばならない。その場合、これこれの支出に対して会社としてどれだけのメリットがあるのかを明確にしなければ稟議は通らない。それを「企業からの影響はない」なんて言われた日にゃ、金を返せと言いたくなる。
現に原子力委員会の新大綱策定会議で前記3人は、「福島の事故を受けて安全対策は随分と取られている」とか「高速炉は魅力で開発は続けるべき」などと発言しているそうだから、パトロン企業としては安心なわけだ。

もちろん専門分野で大きな業績を残し、人格においても高潔な大学教授も多い。
ただ、そういう学者たちには政府から声が掛からないのだ。
金まみれの学者だけが重用される、それが今の原子力行政だ。

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コメント

その前の花形演芸会の内容にコメントしようと思っていたのですが、つい、こちらの内容をじっくり読んでいました。
どれだけのヒモ付き学者が、この国を誤った方向に誘導してきたのでしょう。
そして、今なお存在する“御用学者”の数々・・・・・・。
困ったものです。

小言幸兵衛様
寄付を受けた教授たちが意見は左右されないなどと言ってるようですが、あれは真っ赤なウソ。寄付金は年度ごとに支払うので、もし教授が企業利益に反した発言をすれば、企業側は直ちに寄金を中断します。そうすると今取り組んでいる研究を中断せざるを得なくなりますので、そんな事は出来る筈が無いのです。
地元の議員も首長も学者らも、みな電力会社から札束で頬っぺたを叩かれながら原発を推進してきた、これが真実です。
そして現在も継続していると考えるべきでしょう、残念ながら。

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