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2012/03/21

#25この人を聞きたい「春風三人会」(2012/3/20)

春分の日に中村学園フェニックスホールで行われた”第25回この人を聞きたい「春風三人会」”へ。
その三人とは三遊亭遊雀、隅田川馬石、三遊亭兼好。
主催者は「アクセス教育情報センター」で、随分とお堅い名称だ。定員200名の会場なのにチケットは140枚しか発売しないという、いまどき珍し殿様商売。実際の入りはおよそ100名を少し超える程度かと、祝日でこの顔ぶれにしては寂しい。あまりPRしてないせいだろうか。常連が多いらしく客席のアチコチで挨拶が飛び交っていた。
校舎は清澄庭園の向かいにあり、いいロケーションだ。しかも女子高、なんとなく華やいだ雰囲気で出演者も嬉しそうだった(特に馬石)。

<  番組  >
前座・古今亭きょう介「小咄集(仮)」
隅田川馬石「幾代餅」
~仲入り~
三遊亭兼好「粗忽の使者」
三遊亭遊雀「宿屋の富」

会のタイトル通り春に因んだネタを選ぶのかと思ったら、春らしいネタということらしい。
三人の中で、馬石だけが会のレギュラーとのこと。
馬石「幾代餅」、こちらはキーワードが「3月」とあって季節はピッタリ。
良く似た噺に「紺屋高尾」があるが(その他に「搗屋無間」があるが近ごろでは演じられない)古今亭はこちら。双方ともに実在の人物らしいがエピソードの部分はフィクションのようだ。いずれも職人が大家の若旦那を名乗って見世に上がるのだが、手や指を見れば一発で職業がバレテしまうので有り得ないわけだ。
噺としては「幾代餅」の方がよく出来ている。吉原で流行っていた花魁の名をそのまま商品のブランド名にしたとこなんざぁ、今風だし気が利いてる。
馬石はこういうネタは得意と見えてソツなくまとめていた。ただこの人の喋りだと短い滑稽噺には不向きではなかろうか。落語家として大成しようと思えば滑稽噺の技術を磨くのは不可欠だ。その辺りが課題のような気がした。

兼好「粗忽の使者」、この日は絶好調。
春に因んだ時事ネタをマクラに振ったが、これで仲入り前の空気を一変させ、一気に客席を兼好の世界へ。イントロで客をしっかりと掴んでいた。
先ず兼好が描いた粗忽者だが憎めない性格という地武太治部右衛門の人物像に説得力がある。
演出上の工夫として、通常は大工の留公が仲間に使者と田中三太夫とのヤリトリを語って聞かせるのだが、二人の挨拶から尻をつねる経緯までは実際の場面をそのまま再現させていた。映画やドラマでいうとこの部分は再現シーンになる。この演出の方が臨場感があり、面白い。
細かなミスもあったが、全体にテンポも良く会場は大受け。兼好ワールド全開の一席。

遊雀「宿屋の富」、前日は有馬温泉での落語会だったそうで、小雪のちらつく中、なぜか屋外での開催だったよし。気温が5度位で高座も客席も凍えている状況。遊雀が得意の「初天神」をかけて、例の「おとっつあん、飴買ってくれよ」「今日は買ってやれねぇ」の繰り返しに差し掛かると、客席から「早く買ってやれよ。早く終わらせろよ。」の声が飛んだとのこと。客も寒かったのだ。
このマクラで今度は会場の空気を兼好から遊雀に変えていた。
マクラの重要性を再認識させてくれた。
このネタの二つの山場、二番富が当ると信じている男のエピソードで、男が女郎の献身ぶりを語りながら泣くシーンが秀逸。この人は泣き方が実にカワイイ。
次の宿の客が当り籤を確認するシーンでは、通常は自分の籤の番号と当りの番号を交互に読み上げながらという演出をするのだが、遊雀は声を出さす顔の表情の動きだけで当選の喜びを表現させていたのが新鮮。なるほど、こういう演出も効果的なんだ。

やはり遊雀と兼好はタダモノじゃない。

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コメント

たまたま昨夜、というより今朝がた志ん生の「幾代餅」を聴きました。
実にあっさりと、それでいて十分に滑稽で、ああ、やっぱりいいなあと思った次第です。

投稿: 佐平次 | 2012/03/21 14:33

佐平次様
「幾代餅」、志ん生以来古今亭のお家芸ですが、あっさりとしていて滑稽ってぇのは、やっぱり志ん生ですかねえ。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2012/03/22 10:55

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