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2012/04/02

国立演芸場4月上席・初日(2012/4/1)

4月1日、国立演芸場・上席の初日へ。寄席の初日というのは休演代演が少ないので安心して行ける。
ロビーに平成23年度花形演芸会受賞者のポスターが貼ってあった。大賞は一之輔で、予想していた兼好は金賞となっていた。ウ~ン、何せ今年は一之輔の年だから仕方ないか。
前日にようやく東京も開花宣言がでて春めいてきたようだ。

前座・林家木りん「金明竹」
<番組> 
柳家ろべえ「元犬」
柳家三之助「堀之内」
ひびきわたる「キセル漫談」
古今亭菊志ん「悋気の独楽」
柳家小ゑん「鉄の男」
―仲入り―
ホームラン「漫才」
三遊亭吉窓「長屋の花見」
アサダ二世「奇術」
柳家喜多八「短命」

注目は古今亭菊志ん。有望な若手が集まる圓菊一門の中の一人。
二つ目時代に三三と定期的に二人会を開催していたが、当時は二人実力が伯仲していた。もともと芸はしっかりしている。ただ「青臭さ」が気になる時があり、そこが抜けていけば面白い存在になるのだがという期待感があった。
2月の花形演芸会での「小言幸兵衛」を聴いて、その辺りが吹っ切れてきたなと実感できた。
先月の鈴本での主任公演に行けなかったので、この日にスライド。
この日の「悋気の独楽」、結構でした。
落語家の上手い下手を見分ける一次予選は子どもの出来、つまり金坊や定吉が「らしく」演じているかが判定基準になると思っている。子どもが上手い噺家は例外なく噺も上手い。
ストーリーは。
旦那の浮気を疑うオカミサンに後をつけるよう頼まれた定吉が旦那に見つかってしまい、そのまま二号の宅へ。
二号から口止め料代わりに小遣いを貰うのだが、その際に「辻占の独楽」というのをみつける。
黒いのが旦那の独楽、赤いのが二号の独楽、そして色が褪せているのがオカミサンの独楽、三つを同時に廻し、黒い独楽が赤い独楽に触れればその日は二号宅へ泊まり、オカミサンの独楽に触れれば本宅へお帰りになるという仕組み。
定吉がねだってその独楽を袂に入れて店に戻る。
オカミサンの前で旦那の行く先を適当にごまかしたが、袂から独楽が落ちてしまい問い詰められて本当の事を話す。
オカミサンから命じられ、定吉が独楽を廻すのだが・・・。
時間の関係からか、二号の家で定吉が御馳走になる場面や、店に戻って定吉がオカミサンの肩を叩いて「喜撰」の一節を語る場面が省略されていたが、登場人物の演じ分け、とりわけ小僧の定吉が良く出来ていた。
このネタの小僧は無邪気さと強(したた)かさの両面が求められ、描写が難しいのだ。特に一言付け加えながら独楽を廻す仕草が巧み。
機会があれば是非フルバージョンで観たいと思わせる好演だった。

その他の寸評。
木りん「金明竹」、久々にひどい前座を観た。高座に上がれるレベルではない。

三之助「堀之内」、芸はしっかりとしているのだが、妙に老成しているかのような印象で若さに欠ける気がした。このネタはもっと弾けて演じて欲しい。あの志ん朝でさえ、このネタでは弾けていたではないか。

小ゑん「鉄の男」、オタクをネタにした枕から客席の空気をガッチリ掴んで、鉄道オタクを題材にした新作で大受け。
秋葉原に「鉄道居酒屋」というのがあるが、まさか、この人の影響か。

吉窓「長屋の花見」、何だか湿っぽい花見になっていた。こういうネタはもっとパーアッと明るく演じないと。

喜多八「短命」、やつれたような印象は相変わらずで少々心配だが、高座は絶好調。隠居が八五郎になぜ短命になるか説明するのを、パントマイムで表情だけで演じていて、これが説得力がある。
マクラで「談志って下手でしょ、そう思いませんか」と言っていたが、いまどき勇気ある発言だ。亡くなって以後の祭り上げられ方は些か常軌を逸しているがごとくに見える。ご本人もあの世で苦笑しているのではあるまいか。

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コメント

ほう、喜多八、そんなことを言ってましたか!
昔の談志の高座の映像と一門の噺家とによる追悼落語会が未だに開催されていますが、私にはまったく理解できません。
見た目は心配ですが、喜多八は大丈夫なような、そんな気がします。

小言幸兵衛様
全ての落語関係者は無条件で談志を讃えねばならないならないような雰囲気は、異常というしかありません。
その点を衝いた喜多八に拍手を送ります。
落語好きというのはあらゆる権威を認めない、そうあるべきだと私は思います。

三之助の「転宅」。表情豊かで水準の高い高座でしたが、根が真面目なためか、泥棒に感じがつかないのです。なかなかの二枚目ですので、そんなところを生かせる噺を見つけてほしいと思います。

福様
三之助は期待の若手の一人です。本寸法の高座は好感が持てます。
ただ良い意味での若さが足りないように思うんです。スマート過ぎるんでしょうか。
もっと弾けるところは弾けてほしい。

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