ミャンマー民主化への期待
ミャンマーが民主化への一歩を歩み出しそうだ。
民主改革を進めるミャンマーの連邦議会補選が4月1日投開票され、野党・国民民主連盟(NLD)を率いる民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんは、最大都市ヤンゴン南部の下院選挙区で勝利した。
NLDは独自集計として改選議席45(地方議会2議席を含む)のうち40議席を獲得したと圧勝を宣言。
これによりスー・チーさんは国政に初参加するが、議会では旧軍事政権系の与党が多数を占め、軍の影響もまだ大きい中、このまま民主化が進展するかどうかは予断を許さない。
ミャンマーには2006年1月に訪問したが、民衆の生活はアジア諸国の中でも決して豊かとはいえない。
政治的には軍事政権で言論の自由は制限され、アウンサン・スーチーさんは軟禁状態にあった。
汚職がはびこり何をして貰うのにもワイロが必要だったようだ。
現地ガイドが持っていた携帯電話は軍人の将校から入手したのだそうだが、日本円で60万円相当の金額を支払ったとか。公務員の月給が5000円の国でである。
驚いたのは交差点で交通整理をしている警察官に、ドライバーたちがワイロを渡している光景だった。渋滞を優先的に通り抜けさせてくれるそうで、時には信号を赤から青に変えてくれるのだそうだ。
入院すれば、金を渡さないと医師が回診に来てくれない。看護師に見まわって貰うのさえ金が要る。患者の家族は毎日札束を抱えて病院に通うのだと言っていた。もちろん貧しい人は診療が受けられない。
軍政下のミャンマーは国の隅々まで汚職と腐敗が拡がっていた。
国民が民主化を求めて立ち上がったのは当然のことだ。
ミャンマーは本来は豊かな国である。
人々が貧しいのは政治のためだ。
気候は温暖で水資源に恵まれ、二期作、二毛作が可能で、米作ではアジアでもトップクラス。生花や果実も豊富。
森林が多く木材資源も豊富で、アジアの中では珍しく石油と天然ガスの産出国でもある。
金属資源が豊富で、ルビーやサファイアなどの宝石類も産出する。
処が、こうした豊かな資源が国民生活の向上に寄与していない。
例えば石油が出ても精製設備が無いため、一度タイへ原油で輸出し製油したものを逆輸入していた。
宝石類も輸出を禁止しているのだが、実際には闇ルートで近隣諸国に流れている。
旨い汁はみな周辺が吸いあがているのだ。
ミャンマーは「微笑みの国」と称されている。
確かに人々は明るく親切だし、生活はゆったりとしていて幸せそうにさえ映る。
自国の伝統的文化や宗教を大切にして、私たちが羨むほどだ。
これから民主化や近代化が進むとしても、人々の優しさは失わずにいて欲しい。
トイレ休憩で立ち寄った土産物屋で、結局だれも何も買わずに出てきてしまったのだが、店の少女たちはこうしてニコニコと見送ってくれた。
彼女らの幸せを願わずにはいられない。
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