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« ミャンマー民主化への期待 | トップページ | 女性たちの生と性を描く「まほろば」(2012/4/7) »

2012/04/06

そんなにイランが悪いのか

民主党の鳩山元首相が4月6日から4日間の日程でイランを訪問し、アフマディネジャド大統領と会談する方向で調整しており、国際的に批判の強いイランの核開発問題について意見交換する予定だ。中東情勢に詳しい同党の大野元裕参院議員が同行する。政府内外からは、米国のイランへの制裁に協力している立場から批判の声がある。
今回のイラン訪問の意図は明確でないが、元首相とはいえ今は公的には無冠の一議員である鳩山氏が個人的な立場でイランに行くことは何の問題もないし、むしろ長い目で見れば国益に合致すると思う。

イランは医療用アンソトープの生産を行う原子炉の稼働のため、20%高濃縮ウラン(原子爆弾の場合は90%以上)の自国製造を進めている。
これを米国政府は通常の原子力発電では低濃縮ウランで十分であり、高濃縮ウランを用いるのは原子爆弾の製造を狙っているとして非難してきた。
イラン政府は一貫して核兵器を作らないと言明しており、加盟している核不拡散条約 (NPT) の正当な権利を行使しているだけと主張している。
2010年2月にイランのアリー・ラリジャニ国会議長が衆議院の招待で来日した際には、長崎原爆資料館を見学し、「世界に一つでも原爆が存在すれば人類への脅威だ。人々は、核のない世界に向けて立ち上がるべきだ」と感想を述べ、爆心地公園にある原爆落下中心地碑に献花した。
帰国後イランの国会で同議長は、その時の感想として「原爆投下こそが米国が引き起こした真のホロコーストだ」と演説を行っている。

もしアメリカが本気で中東地域での核兵器保有を心配しているのであれば、一番にイスラエルの核兵器こそ問題にすべきなのだ。
イスラエルの核保有については一切言及せず、保有する意思を否定しているイランのみ攻撃しているのは不当というしかない。
「地球上で非核の呼びかけを行う者はまず最初に自分の国から始めるべきだ」というイランの主張には正当性がある。

中東諸国は概して親日的だが、特にイランは日本に対して友好的だ。
私は米国のイラク戦争開始直前にイランを観光で訪れた。どこへ行っても手を振ってくれたり声を掛けてくれたり、ちょっとした人気者になった気分に浸れた。
どうして日本人は人気があるのかと現地ガイドにたずねたら、資源のない小さな国が世界トップクラスの経済発展を遂げていることに、同じアジア人として誇りに思っているのだそうだ。
こういうのは他国では経験がない。
イランは世界の石油埋蔵量の10%を占める世界第2位の産油国であり、天然ガス埋蔵量においても世界第2位である。
エネルギー確保という観点からしても、イランとの友好的関係は保持せねばならない。アメリカにはアメリカの事情があるだろうが、日本には日本の事情がある。
そのためには様々な外交ルートを模索することは国益に合致する。

かつて麻生首相(当時)が、イランの外相と首相とが電話で簡単に話のできる関係を保つなど広い中東のどの国とも話ができる国として、日本は世界で稀な地位を占めている事を日本外交がもつ貴重な資産であると述べたことがある。
自民党議員が国会で今回のイラン訪問に難癖をつけているが、それはあまりに近視眼的といえよう。

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