私撰「寄席で聴きたい噺家」BEST20
「独演会の落語家」に引き続き、今回は「寄席で聴きたい噺家」20人をとりあげてみます。
独演会と違って寄席(定席)には沢山の芸人が出演します。
出番もトリもあれば仲入り(中トリ)、トリの直前に上がる膝や膝前、開口一番のサラ、仲入り直後の食いつきなど様々で、それぞれに役割に応じた高座が求められます。
口演時間も独演会とは異なり30分の時もあれば、10分15分、時には数分で切り上げねばならない。
そうして芝居のようにつなげていって、最終的にはその日のトリ(主任)を盛り立てて行くというのが寄席芸人の使命です。
それでいて落語は個人芸ですから、どんな出番の時でも客を満足させねばならない。
もう一つ大きな違いは、独演会の場合その人目当てに来る客が大半なので、いわばホーム。一部の人気落語家になると独演会だか後援会だか分からない、そんな雰囲気にもなります。
それに対して寄席では他の人が目当てとか、場合によってはその人が嫌いという客もいるわけで、いわばアウェイ。
だから本当の実力が試されるのは寄席の方だと言えます。
そんな寄席で聴きたい噺家20人を順不同で選んでみました。既に独演会でとりあげた噺家は除いています。
内訳は落語協会14人落語芸術協会6人、やはりベテラン中心に実力派が顔を揃えるという結果になりました。
柳家小三冶
川柳川柳
柳家小満ん
三遊亭圓丈
柳家さん喬
桂南喬
春風亭一朝
古今亭志ん輔
入船亭扇遊
金原亭馬生
柳亭市馬
桂ひな太郎
橘家圓太郎
古今亭菊之丞
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三笑亭笑三
春風亭小柳枝
昔昔亭桃太郎
古今亭寿輔
瀧川鯉昇
春風亭昇太
それぞれの一口評を。
柳家小三冶:解説不要の当代落語界の第一人者。寄席で高座に出会えた人は幸せ者。
川柳川柳:ほろ酔い気分(多分)で高座にあがり、気持ち良さそうに唄を歌って下りてゆく。これだけでウン十年、もう無形文化財モン。
柳家小満ん:地味ながらこれぞ本寸法という落語を聴かせてくれる。個人的にはこの人に文楽を継いで欲しかった。玄人好みの噺家。
三遊亭圓丈:新作落語の雄。偉いのは自分で創作した作品をどんどん他の噺家に演じさせていること。最近は古典回帰も。
柳家さん喬:どんな出番でもキッチリ一席うかがう姿勢は落語家の手本。滑稽噺から人情噺までこなすオールラウンドプレヤー。
桂南喬:元々芸協出身なので、同じ古典を演じてもどこかかつての芸協の香りがする。いい意味での古風な噺家。
春風亭一朝:師匠譲りの江戸弁で、歯切れのよい啖呵を切らせたらこの人の右に出る者はいない。笛の名手。
古今亭志ん輔:古今亭の芸を継承している正統派。気持ちのこもった高座を見せる。
入船亭扇遊:常に楷書の芸をみせてくれる。どんな演目を演らせても水準を行く実力派。
金原亭馬生:江戸の粋を体現している。踊りの名手で、トリを取る時しばしば高座舞や鹿芝居を披露するのも楽しみの一つ。
柳亭市馬:最近は独演会やホール落語への出演が増えているが、本来は寄席に相応しい噺家。登場するだけで場内をパッと明るくするキャラは貴重。
桂ひな太郎:知る人ぞ知る、師匠譲りの芸は本寸法。もし志ん朝を継ぐなら、この人しかいない。
橘家圓太郎:リズム感のある明解な語り口はハマルと癖になりそう。アウトドア派らしい力強い高座を見せる。
古今亭菊之丞:若手から一人入れるとしたらこの人になるだろう。女形のような風貌で分かり易い古典を演じる本格派。
三笑亭笑三:数少ない大正生まれの現役だが芸に歳を取らせない。艶っぽい高座が魅力。
春風亭小柳枝:芸協にあって古典ではこの人がトップ。登場人物への温かい眼差しを感じさせる滋味あふれる高座。
昔昔亭桃太郎:お茶をすすりながら時事小咄をマクラに振ると、もうこの人の世界に引き込まれる。あの独特の語り口が妙に心地よい。
古今亭寿輔:昔の映画に出てくる詐欺師みたいな風貌とコスチュームに驚かされるが、話芸はしっかりしている。典型的な観る落語家。
瀧川鯉昇:喋る前に客を笑わせるのは金語楼以来かも。飄々とした語り口で本格古典を聴かせる。
春風亭昇太:この人の演じるいくつかの古典落語は他の追随を許さない。高座に上がるだけで場内の空気を変える個性も魅力。
それにしても参考にならない記事ですなぁ。
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