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2012/05/26

米ではヒーロー、パキでは反逆者

クリントン米国務長官は5月24日の記者会見で、国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディンの殺害作戦に協力したパキスタン人のシャキル・アフリディ医師が国家反逆罪で有罪判決を受けたことに対し、「不公正で不当だ」と批判、パキスタン政府に医師の釈放を求めた。

ビンラディンは昨年5月、パキスタン北部アボタバードの潜伏先で米特殊部隊によって殺害された。
この際、パキスタンの医師シャキル・アフリディ被告が、ワクチン接種と称してビンラディンのDNAサンプルを採取し、このことが米当局がビンラディンの潜伏先を特定する手がかりになった。
だからアメリカにとってシャキル・アフリディ医師は、ウサマ・ビンラディン殺害の立役者でヒーローなのだ。
その人物があろうことかパキスタンでは国家反逆罪で33年の禁固刑。これじゃ反テロ戦争と称して世界各国に協力を強いてきたアメリカの面目丸つぶれ。
そこでクリントン長官としては、いちゃもんを付けたというわけだ。

クリントン長官は会見で、アフリディ医師の米中央情報局(CIA)への協力は、「世界最悪の殺人者の1人を排除する」のに決定的な役割を果たし、「パキスタンの国益に沿ったものだった」と強調。「反逆であろうはずがない」と指摘した。
しかしパキスタン側からみれば、自国内での米軍特殊部隊の軍事行動は主権侵害とうつったろうし、面白かろう筈がない。
それにソ連のアフガン侵攻の際に散々ビンラディンを利用しておいて、今度は邪魔になったから殺害するという米国の身勝手さに批判の声が起きるのは当然なことだ。

国家間の利害が対立した場合、一方では英雄だが片方では反逆者ということは有り得るわけで、今回のビンラディン殺害作戦がパキスタンの国益に沿ったものかどうかはパキスタンが決めることだ。
米国が自国の論理のみを押しつけるなら主権侵害と受け取られ、パキスタン国内の反米感情をさらに刺激することになるだろう。

米国とパキスタンとの関係はNATO軍への補給路再開問題でこじれているが、今後さらに悪化するのは避けられまい。

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