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2012/05/19

世論「誘導」調査

「世論『誘導』調査」又は「誘導型世論調査」とは、あらかじめ一定の結論が出るよう、あるいは一定の結論に導くよう仕組まれた世論調査と定義しておく。

5月18日、超党派の議員でつくる「死刑廃止議員連盟」が法務省幹部に、政府が行う世論調査の設問が誘導的だとし、表現を変更できないかと考えを質した。
内閣府の世論調査では、死刑に対する設問は次のようになっている。
①どんな場合でも死刑は廃止すべきである
②場合によっては死刑もやむを得ない
③わからない
の三択だ。
「廃止議連」側はこの中の「どんな場合でも」や「やむを得ない」という表現があまりに恣意的であり、容認に誘導していると指摘した。
死刑制度に関する国民の意見を率直に問うのであれば、
①反対する、又は廃止する
②賛成する、又は存続する
③わからない
の三択で問うべきなのだ。
私は死刑制度存続論者だが、この世論調査は明らかにアンフェアーだ。
このように政府やマスメディアで行う世論調査の多くが、期待する回答へ誘導する設問になっていることが多いので注意が肝心だ。

例えば近ごろ頻繁に行われている消費税増税に関する世論調査でも、設問を「増税に賛成」とするか「増税もやむを得ない」とするかによって数字は大きく変わる。
あるいはアンケートの前書きに「財政破たんの危機」だの「将来の社会保障」だのという文言を入れれば、それだけで賛否の比率に影響することになる。

私が初めて世論調査の方法に疑問を持ったのは、1958年(昭和33年)から始まった内閣府の「国民生活に関する世論調査」で、『中流』と答えた者が1960年代半ばまでに8割を越え、1970年(昭和45年)以降は約9割に達した。
生活実感に照らして何か違うと思っていたら、この調査の設問にはカラクリがあったのだ。
回答は、次の中から選ぶことになっていた。
①上
②中の上
③中の中
④中の下
⑤下
なぜか『中』だけが三分割されていて、始めから回答者の大半が中を選ぶように出来ていた。
この設問だと、世間では金持ちと見られていてもよほどの富豪でない限り「中の上」辺りを選ぶだろうし、うちは貧乏だと思っても「下」は選びにくい。そんな心理も計算に入れていたのだろう。
この結果をもって「一億総中流化」という言葉も生まれ、「全国民の中産階級化」が実現したと宣伝していたが、始めに結論ありきの調査だったわけだ。
こういうのは典型的な「世論『誘導』調査」あるいは「誘導型世論調査」である。

世論調査は、一般に無作為に抽出された一定数の人々(標本)に設問して回答を収集する方法を採る。
これは統計理論に基づいた標本調査であり、最近よくみかけるインターネットによるアンケート調査(投票)が世論調査とは別物であるのは言うまでもない。

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