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2012/06/25

花形演芸会スペシャル~受賞者の会~(2012/6/24)

6月24日、国立演芸場での特別企画公演「花形演芸会スペシャル~受賞者の会~」へ。
花形演芸会の出演した芸人の中からジャンルを問わず毎年優秀な人を選び表彰する。
「賞」というのはどこでもそうだが、実力だけで決まるものではない。
今回の「平成23年度花形演芸大賞」は既に公表されているが、次の通り。
〔大 賞〕春風亭一之輔
〔金 賞〕三遊亭兼好・柳亭左龍・菊地まどか
〔銀 賞〕桂吉弥(休演)・エネルギー
昨年のこの会の記事で次回は兼好と予測したのだが、外れてしまった。本人も意外だったろうが、私もこの選考結果には多少不満があった。
しかしこの日の高座を観るとやはり妥当だったのかなと思い直した。兼好には気の毒だが相手が悪すぎた。
授賞式には毎年欠席者が出るが、大概は「不満の表明」だとみてる。今年も多分・・・そうだろう。

<  番組  >
前座・春風亭朝呂久「饅頭こわい」
エネルギー「コント」
柳亭左龍「棒鱈」
三遊亭兼好「天災」
―仲入り―
平成23年度 花形演芸大賞 表彰式
(司会進行役 : 古今亭 菊之丞)
古今亭菊之丞「たいこ腹」
菊地まどか「浪曲・嫁ぐ日」(曲師=佐藤貴美江)
春風亭一之輔「初天神」

前座の三段活用は、高座に「出せる・出せない・出してはいけない」。
朝呂久はもちろん「出せる」人だ。

エネルギー、「狂言コント」というは新しい分野だ。
平子悟扮する狂言師がサマになっていると思ったら、野村万蔵と南原清隆が中心となっている「現代狂言」のレギュラーだった。上手いはずだ。
「グラビアアイドル安めぐみ」のフレーズは彼らの国立能楽堂での舞台を観ていないと理解できないだろう、フフ・・・。

左龍「棒鱈」、選評でも確実に力をつけてきている点が評価されていたが、その通り。
隣座敷の薩摩の侍の造形が良かった。眼をむいて唄い出すだけで客席から笑い。ミニ西郷だね。
いぜん喬太郎が「左龍は顔で得してる」と言ってたが、このネタではその特長を十分に活かしていた。

兼好「天災」、いつもよりテンションが低く感じたのは気のせいか。マクラ抜きで本題へ。余計なクスグリを入れずにこれだけ面白く聴かせるのは、やはりこの人の芸の力だ。
ただ、心学の紅羅坊名丸宅の場面はもう少しユッタリと演じて欲しかった。このネタは速-緩-速の流れだと思う。
江戸時代に流行したが明治になって廃れてしまったという「心学」、その実践道徳の根本は「天地の心に帰することによってその心を獲得し、私心をなくして無心となり仁義を行う」というものだったそうだが、八五郎の理解度はどうだったんだろうか。

菊之丞「たいこ腹」、司会兼ゲスト出演者での高座だが、格の違いを感じさせる。
このネタで最も難しいのは幇間の造形だが、菊之丞が演じるとチャンとそれらしく見える。金をかけている芸だ。
まるで舞踊を見るような動きの美しさ、芸人はやはり綺麗に見せなくてはという見本。

菊地まどか「嫁ぐ日」、ウットリするほどの美声だ。曲師の佐藤貴美江(この人も美声)との息もピッタリ。浪曲師を活かすも殺すも曲師の腕次第。
新作だそうだが、一人娘の嫁入りに反対していた父親が、相手の男の働く姿をみて許すという、なんと今どきベタなストーリー。これでは若い客は付いてこないのでは。
個人的には浪花節はやっぱり男の世界だと思う。

一之輔「初天神」、表彰式で司会者から「今日の賞金で4人目の出産費用が」とからかわれていたが、本人は「もういいです」と言っていた。まあ、そう仰らず・・・。
大賞を貰ってもこの花形演芸会には出なくちゃいけないらしいとマクラで言ってたが、そこが主催者側の狙いなのだ。演芸場サイドとしては一之輔の集客力は頼りになるから。
一之輔の演じる金坊は正に傍若無人、買って欲しいものがあれば土下座もするし、「人さらいです!」と叫ぶは、終いには「人殺し~」。これじゃ買わざるを得ない。店のオヤジは金坊に向かって「いい腕してるね」。父親は大変だ。
この人の眉毛の変化が良い。眉毛の上げ下げだけで感情表現している。
やはり只者ではない。
曲者だ! 皆の者、出会え出会え!

連日の一之輔、お互いにお疲れ様。

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コメント

私も行きましたよ。明日書こうかな^^。
一之輔、くたびれてるでしょうね。
左龍の酔っ払い、いいですね。

投稿: 佐平次 | 2012/06/25 10:35

佐平次様
会場に眼つきの悪い男がいたら、それがアタシです。
明日の記事を楽しみにしています。

投稿: ほめ・く | 2012/06/25 17:48

一之輔の『初天神』は、『鈴が森』では取れなかったNHKの新人演芸大賞を受賞した時のネタで、ある意味“鉄板”ですね。
現役の噺家では遊雀と双璧、と勝手に思っています。
この会が日曜でなければ万難を排して行っていたのですが、ほめ・くさんや佐平次さんのブログのおかげで、その場に居たような気持ちになれます。

投稿: 小言幸兵衛 | 2012/06/26 21:37

小言幸兵衛様
表彰式が結構面白くて毎年のように行ってます。喜びや悔しさが素直に表情に表われるんですね。これが高座以外の楽しみです。
選考委員も様々な事情を考慮して選んでいるんだなということも良く分かります。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2012/06/26 23:35

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