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2012/07/05

「四代目春風亭柳好トリビュート」(2012/7/4)

47月4日、国立演芸場で行われた「四代目春風亭柳好トリビュート~柳好十八番~」へ。昨年に続き第2回目で、顔づけも一緒。
四代目春風亭柳好(川崎の柳好)は華やかな三代目の陰に隠れがちだが、独特の口調でマニアックな人気があった人だ。
高座の第一声が「落語をやらせていただきます」、それから「私の落語は最初のうちはあんまり面白くなくて、しばらく聴いていると眠気を催す。そこを我慢して終いまで聴くと、ああ、やっぱり下手だと」。低音でゆっくり喋り出す。
前名の笑好時代には、「どうか頭に”お”など付けぬよう」とやっていた。
与太郎噺など軽いネタを得意としていた。
今でも根強い人気があり、だからこうした会が催される。
出演者のうち芸協の三人はゆかりのある人、落協の二人はファンだという人。
観客もファンだったという人と出演者の顔ぶれで来たという人に分かれるだろう。

<  番組  >
(前座・春風亭吉好)
春風亭柳好「牛ほめ」
柳亭市馬「味噌蔵」
柳家喜多八「付き馬」
~仲入り~
座談会:出演者全員
瀧川鯉昇「うなぎ屋」
春風亭小柳枝「粗忽長屋」

柳好「牛ほめ」
当代、つまり五代目柳好。
後の座談会で出た話しによれば、四代目の二人のお嬢さんが若いころの父にそっくりということでこの人に襲名を許したのだそうだ。そう言われると確かに似てる。
私は当代には点が辛い。むしろ二ツ目の”柳八”時代の方が勢いがあって面白かった。
なんとなく「柳好」という羽織を着てしまったような印象を受ける。

市馬「味噌蔵」
いつもと声の調子が違うし唄も入らないと思ったら、四代目の真似を試みたものだった。
いつもの陽気さに比べこういう抑え気味の市馬も悪くない。
もっとも周囲では寝ていた人が多かったなぁ。「家じゃ眠れないのに、こういうとこだと寝られるんだよなぁ」ってか。
電車賃使って入場料払って、贅沢な居眠りですねぇ。

喜多八「付き馬」
これも後の座談会で語っていたが、あの「脱力」マクラは元々が四代目柳好を意識したものだそうだ。この日は「落語をやらせていただきます」、ああいいよ、好きなようにおやんなさい。
喜多八が言ってたように、かつて寄席というのは友達がいなくて古本屋が好きそうな、そういう男たちの唯一の遊び場所だった。それが近ごろは女性が増えてきちゃって、と言いながら、どこか嬉しそうだ。
この人の魅力は目力だ。眼の動きだけで説明やセリフが省略できる。「目は口ほどに物を言い」、だから可成りの早回し「付き馬」だったが、面白く聴かせていた。

座談会では、主に小柳枝と鯉昇が思い出を語っていたが、昔は破天荒な噺家が多かったので苦労が絶えなかったようだ。
今どきは万事がマイルドになりつつある。
芸人も客も。

鯉昇「うなぎ屋」
別名「素人鰻」だが、文楽のものと混同されるのでこのタイトルで演じられている。
鯉昇は古今亭の演出を踏襲したもののようだが、見せ所の握った手から鰻の頭に見立てた親指をにゅるにゅると突き出し、慌ててもう一方の手でそれを掴むと今度はその手から親指をにゅるにゅるとの繰り返しで爆笑を誘う。
逃げる鰻を追ってそのまま高座を下りた。
この人は何を演らせても上手い。
いま一番面白い落語家は? と訊かれたら、やはり、鯉昇か。

小柳枝「粗忽長屋」
先代小柳枝が車にはねられ頭に大けがをしたことがある。道路にひっくり返って頭から血を流している小柳枝を見て慌てた運転手は、止血しようとして首を絞めた。見ていた人が、「あの運転手は撥ねてトドメを刺している」。
粗忽者のエピソードをマクラにネタへ。
先代小さんの演出などに比べると時間は短めだったが、かえってスピーディでこのやり方の方が面白く感じる。
粗忽というよりは思い込みの激しさというべき八と熊、立ち合いの役人、それぞれの演じ分けもしっかりと、トリに相応しい高座だった。

また来年もこようっと!

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コメント

あら、またご一緒だったんですね。
楽しい落語会でしたね。
短いながらもそれぞれの噺家の持ち味が一杯詰まった高座に、川崎の師匠への思いでつながった、協会の枠を超えた座談会も結構でした。
私も次回があるなら、ぜひ行きたいと思います。

ほめ・くさんも、「白粉つけた落語家」と、たまには一杯いかがですか!

小言幸兵衛様
温かい雰囲気に包まれた良い会でした。四代目も喜んでおられるでしょう。
事情があってなかなかご一緒できませんが、皆さんの楽しそうな様子は記事を通して伝わって参ります。

座談会で鯉昇の声・喋り方がとても若々しいのに驚きました。
高座ではもうちょっと年配のような感じを出してますね。

佐平次様
鯉昇って意外に若いんです。まだ60歳手前ですから。
老けて見えるのは芸風のせいでしょうか。それとも頭?

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