「維新八策」やのうて「無為無策」や
大阪維新の会は7月5日、次期衆院選に向けた事実上の政権公約「維新八策」の中間案を公表した。
しかし国政の選挙公約としてはかなりお粗末なものだ。
例えば政局の焦点となっている消費税について、増税に賛成なのか反対なのかを明らかにせず、ただその地方税化を主張するにとどめている。増税して良いから取り分は地方に寄こせというわけか。
エネルギー政策は「脱原発依存体制の構築」をうたっているが、原発依存度の数値や目標年次を定めていない。
道州制を目指すとしているが、大阪都構想とどうやって折り合いをつけるつもりだろう。大阪都を残したまま関西州をつくるというなら、屋上屋を重ねるような国-関西州-大阪都-市町村という四重行政になるだけだ。
それとも道州制にした段階で、全国の都道府県は廃止にするのだろうか。肝心な処が不明瞭だ。
「維新の会」の看板ともいうべき「地方分権」だが、分権により我々の生活が良くなるかどうか甚だ疑問だ。
最大のネックは地方議員と地方官僚の質の悪さだ。
地方に行けば行くほど暴力団まがいの議員が多く、彼らの脅しや恫喝によって行政が歪められている現状がある。市町村職員の採用では議員の口利きが幅を利かせており、それが議員らの利益誘導に結びつく。
政官財の癒着はむしろ地方の方が顕著であり、そこにメスを入れない地方分権は却って国を悪くするだけだ。
大阪の維新の会や名古屋の減税日本に所属する議員らの不祥事が続いているのもむべなるかな。
橋本市長が主張する教育政策についてだが、よく言われている通りアメリカ・ブッシュ政権の教育改革法「NCLB」を手本にしている。
別表に両者の対照表を示したが、瓜二つと言って良い。
その本家のアメリカでは学力を上げるための不正行為が氾濫し、かえって学力低下を引き起こすなどの弊害が現れ、この法律を提唱した人自身が失敗を認める発言をしている。
さらに問題なのは5年間で新任教師のおよそ半分が退職してしまったことだ。
教師のヤル気を削ぐような法律では教育は良くならない。
私は橋下氏がなぜあれだけ教組を憎悪するのか、その理由が分からない。
個人的な経験から言わせてもらえば、「良い先生」として思い出に残っている教師の多くは教組活動に熱心な先生だった。少なくとも校長にゴマスリするような教師にはロクな奴がいなかった。
良い教師は生徒に顔を向け、悪い教師は校長や教育委に顔を向ける。
常に敵役を作りそれを叩いていくというワンパターン。
いずれ橋下バブル、維新バブルが弾けるのは時間の問題だろう。
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コメント
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大津のいじめ事件などで舌なめずりしている橋下。
投稿: 佐平次 | 2012/07/07 10:33
佐平次様
大津の事件は逆で、橋下式教育政策への警告になります。
教師は生徒ではなく行政にばかり顔を向け、行政はひたすら責任逃れする。
「維新八策」を先取りしたような事件です。
投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2012/07/07 11:56
いや、橋下の心中、ほれみろ教育委員会なんてだめやろが、そやから俺がいうた通りガツンとやらなあかんのや。
決して本品は、ほめくさんのようには考えません。
投稿: 佐平次 | 2012/07/08 10:27
佐平次様
牽強付会は橋下の常套手段ですからそういう主張をするでしょうが、行政の介入が強まるほど教師や学校側は行政の顔色ばかり窺うようになるのは眼に見えています。
投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2012/07/08 17:52