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2012/08/30

「ほめ・く」アクセスランキング(2012年5月-8月)

久々に当ブログへのアクセスランキングを発表します。
今回は2012年5月-8月の4か月間の集計結果です。
なお記事ランキングからはトップページ及びカテゴリーは除外しています。
時々タイトルの”ほめ・く”について質問がありますが、漢字に書けば「誉苦」。
宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節「ホメラレモセズ ニモサレズ」から採りました。
そこの外国人、勝手に商標登録しないでね。

【アクセスランキング】
1.新猿之助襲名は目出度いが
2.お父さんたちの永遠のアイドル「アグネス・ラム」
3.女子スポーツ界は美女の時代
4.「真打」制度って必要だろうか?
5.猿之助・中車襲名興行「ヤマトタケル」(2012/6/10)
6.ある満州引き揚げ者の手記(四)地獄
7.ハローワークで仕事はみつからない
8.ナイロン100℃「百年の秘密」(2012/5/5)
9.松尾和子さんのこと
10.【ツアーな人々】当世海外買春事情

この4か月間で最も多くアクセスがあった記事のランキングです。
日ごろ当ブログを読まれている方は意外に思われるかも知れませんが、落語の関する記事でランクインしたのは”4位.「真打」制度って必要だろうか?”のみ。
1,5位に猿之助襲名に関する記事がランクインしたのは、襲名公演が6月に行われたからでしょう。
2位のアグネス・ラム、9位の松尾和子はいずれもベストテンの常連で、やはり芸能関係の記事は強い。
3,10位はタイトルの良さに惹かれたんでしょうが、羊頭狗肉なのでご注意を。
”ある満州引き揚げ者の手記(四)地獄”がランクインしたのは嬉しいことです。このシリーズは当ブログ唯一のノンフィクション記事でお薦めできます。後はカスばかり。

【滞在時間ランキング】
1.ナイロン100℃「百年の秘密」(2012/5/5)
2.【思い出の落語家18】古今亭志ん朝(1)
3.「真打」制度って必要だろうか?
4.鈴本演芸場6月中席・昼(2012/6/18)
5.2012年上半期「佳作」選
6.私撰「寄席で聴きたい噺家」BEST20
7.喬太郎「ハワイの雪」他(2012/4/28昼)
8.ある満州引き揚げ者の手記(四)地獄
9.「権ちゃん、そりゃないぜ」#21三田落語会(2012/8/25昼)
10.「落語協会 新真打競演」(2012/5/2)

アクセス数は1秒でも1時間でも同じくカウントされますが、こちらは滞在時間ですから中身がじっくり読まれた記事のランキングになります。量より質が重んじられるわけです。
ここでは2,3,4,5,6,7,9,10位の8本がいずれも落語関連になっていて、やはり時間を掛けて読まれていることを示しています。
志ん朝が2位というのは喜ばしい。

【検索サイトのランキング】
1.Google 49.4%
2.Yahoo 46.9%
3.goo 1.8%

ブログへのアクセスには直接入力と検索サイトを経由してアクセスするケースの二通りありますが、後者の場合にどの検索サイト利用したかを示します。
GoogleとYahoo、二強の独占。

【検索ワード/フレーズのランキング】
1.半井小絵 
2.松尾和子
3.アグネスラム/ 現在
4.満州/ 引き揚げ
5.アグネス・ラム 
6.鈴本演芸場 
7.満州引き揚げ
8.ヤルタ会談
9.六代目柳家小さん
10.トルクメニスタン/ 美人

どのようなキーワード(又は/フレーズ)で当ブログにアクセスしているかが分かります。
半井小絵(この人が降板してからNHKの天気予報を見てない)、松尾和子、アグネス・ラムが相変わらず根強い人気を保っています。
ヤルタ会談と6代目小さんにはビックリ。

【アクセス地域ランキング】
1東京 43.3%
2神奈川 8.7%
3大阪 5.6%
4愛知 4.2%
5千葉 4.1%

東京がトップなのは落語関連の記事が多いせいでしょうか。もし道州制が敷かれると23区は東京都D.C.、それ以外の市部は南関東州に組み込まれるようですね。何だか関八州みたいだな。いよいよ日本合衆国の誕生。初代大統領は"under the bridge"か、世も末。

【国・言語ランキング】
訪問者が利用しているブラウザの言語設定がわかります。
1.Japanese 87.4%
2.English 12.1%
3.Chinese 0.2%

この結果はサプライズで、以前Englishはたかだか2-3%に過ぎなかったのですが、今回は1割を超えました。
いよいよ世界進出、ってか。

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2012/08/26

「権ちゃん、そりゃないぜ」#21三田落語会(2012/8/25昼)

8月25日、仏教伝道デンタービル8Fで行われた第21回三田落語会・昼の部へ。
今回は「権太楼・白酒 二人会」という趣向。
椅子の上に置かれた仏教関係のフリーペーパーをみていたら、露の団姫(まるこ)という上方の噺家の記事が出ていた。
彼女は高野山で修行を積み僧侶になったというのだ。もちろん落語はそのまま続けるという。
男では三遊亭圓歌の例もあるが、女性では初ではなかろうか。
「プロ(落語家)がアマ(尼)になった」と書かれていた。上手い!

<  番組  >
前座・柳亭市也「金明竹」
桃月庵白酒「化物使い」
柳家権太楼「お化け長屋」
~仲入り~
桃月庵白酒「あくび指南」
柳家権太楼「鰻の幇間」

順序を変えて、先ずはタイトルの「権ちゃん、そりゃないぜ」から説明しよう。
権太楼の1席目「お化け長屋」、高座に上がった権太楼、明らかに不機嫌そう。本人も機嫌が悪いんだと切り出す。
その原因は今日の二人会の相手が白酒だからと言うのだ。これが雲助、金馬、さん喬、一朝、小満んなら分かる。喬太郎ならまだ。だけど白酒は・・・、いや「格」がどうのって言ってるんじゃない。
でもこの文脈からすれば明らかに「格」を問題にしてるのだ。
言い過ぎたと思ったか、白酒は好きですよ、と。マクラでも遠慮せずに言いたいことをいう。それが今日だと楽屋でも遠慮してる。恐らく高座に上がったときホッとしているんじゃないか。
まあ、ざっとこんな具合に胸中をぶちまけてネタに入った。
言いたいことは、白酒では自分の相手に相応しくないということだ。

この日の組み合わせは確か4か月前には発表になっていた筈だし、2か月前の前売りではこの顔ぶれを承知でチケットを買い、この日も猛暑の中を満員の客が詰めかけていた。
組合せが気に入らないなら始めから断れば良いのだし、企画した団体か主催者に文句を言えば済むことだ。この会を楽しみに来た客に言ってどうする。
客の中には白酒を聴きたくて来場した人も少なくなかろう。
権太楼の物言いは白酒本人のみならず、観客に対して失礼極まりない。
だいいち大人気ないやね。

ネタに入ってからも、本人も客席も何となくマクラを引きずって固さが残ってしまった。
後半の威勢のいい男が登場する辺りからようやく調子が上がり客席もほぐれてきたが、後味の悪い高座になってしまった。

仲入りを挟んで、白酒の2席目「あくび指南」。
微妙な表情で上がってきて第一声が「いま、ホッとしてます」に客席は大爆笑。
次いで、今日のような陽気の時はどこかに当たりたくなるんでしょう、と。
さっき昼の弁当が出てから機嫌が直りました。これはフォローなんだか嫌味なんだか。さぞかし楽屋では気まずい空気だったかと。
古今亭のお家芸ともいうべきネタだが、白酒はいくつか手を加えていた。
あくびの指南役が、いくつかのパターンを見せるという演出だ。
・茶道のあくび
・芝居見物ののあくび
・風呂のあくび
をそれぞれやって見せる。
そこからオリジナルの夏場、舟遊びのあくびに入る。
しかしこの噺はあくび指南という空想の世界を通じて夏場の風情を出すところにポイントがあるし、演者の腕の見せどころなのだ。
噺としては面白くしているがオリジナルの良さを壊している気がする。

順不同で白酒の1席目「化物使い」。
マクラで権太楼との二人会なぞ恐れ多い。権太楼フィーチャリンング白酒、いや誰もフィーチャーしてないか、と殊勝な出だし。
一転、高校野球の話題では「裏へ回れば金まみれ」とくさす。
以前、会社の同僚だったのが永年少年野球のコーチをしていたのだが突然辞めてしまった。理由をきいたら周りの指導者たちがあまりに金に汚いので嫌気がさした、と言っていた。スポーツやる人間ってそういうのが多いんだそうだ。
奉公人の杢助の人物像が良い。誠実で働き者の姿が伝わってくる。暇を貰うと言った後、主人の隠居に説教する時の迫力は大したもんで隠居もタジタジ。やるべきことはやり、言うべきことは言う、杢助はサラリーマンの鑑だ。
同じ化物でもノッペラボウは女性だけに、隠居はすっかり気に入り毎晩でも出て来てくれと頼む。
布団を敷いてくれ、いやいや違う違う、そういう意味じゃないんだ、と隠居が弁解するところを見ると、ノッペラボウ身の危険を感じたか。
こういう達者な芸を見せられると、共演者が嫌がるのも分かる気がするけど。

権太楼「鰻の幇間」。
マクラで終戦記念日に圓歌が「徹子の部屋」に出ていた話題に触れ、圓歌が鉄道員として玉音放送を聴いたと語ったことに対し、年齢が合わないからあれは嘘だと言っていた。
調べてみると圓歌は終戦の年に国鉄を退職しているようなので、これは圓歌の記憶が正しいと思われる。
どうもこの日の権太楼は荒れ模様、出がけに夫婦喧嘩でもしてきたか。
ネタに入って、幇間の一八が男に騙されてから鰻屋の店員にグズグズ文句を言う場面が良く出来ている。幇間の悲哀を感じさせる。
鰻屋の息子と思われるヨシオ君は二階の座敷でメンコをするわ、テーブルに足跡をつけるわ。床の間の掛け軸もヨシオ君の書初めとあっちゃぁもう許せねぇ。
一八の怒りも分かるが、やはり騙されて金を払わされる悔しさを当たり散らすという側面もあったに違いない。
してみるとその迫真の演技も、権太楼本人と重なっていたか。

相手の男は一八の下駄を履き自分の下駄は懐に入れて帰って行った。
その男って、白酒?

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2012/08/23

J亭落語会「柳家三三独演会」(2012/8/22)

8月22日、JTアートホールアフィニスで行われたJ亭落語会「柳家三三独演会」へ。
さすが元専売公社、前庭は広い公園になっていて石のベンチが置かれているが全て灰皿付き。ビル内の廊下の椅子にも灰皿、さあ吸え、さあ吸え。
いくらタバコ会社だからといって、シリアの国営企業にタバコを輸出しちゃぁいけねぇ。人の道に反するぜ。
あんまり悪口書いてると出入り禁止になるかな。
山本美香さんは可哀想なことをした。なんであんな危ない所へなどと思う人もいるだろうが、山本さんのようなジャーナリストがいなけりゃ真実が伝わらない。伝わると困る勢力が彼女を殺したんだろう。
米政府の報道官が会見で哀悼の意を表していた。アメリカは嫌いだが、ああいう所は偉いと思う。
ここの会場は立派だが、縦長なのに傾斜がないので後方の席は見えづらいのが欠点。

<  番組  >
前座・柳家緑太「やかん」
柳家三三「雛鍔」
柳家三三「夏泥(置き泥)」
~仲入り~
柳家右太楼「猫の皿」
柳家三三「佃祭り」

開口一番の緑太「やかん」、名前の通り花緑の弟子、あの若さで弟子が9人もいるんだ。
物怖じしない良い度胸をしている。
言葉がハッキリし「間」も取れていてミスも無し。
前座としては合格の一席。

右太楼「猫の皿」、こちらは権太楼の弟子の二ツ目。
独演会のクイツキに上がるのは嫌だと言っていた、本人に挟まれるから。師匠の独演会では必ず弟子を先に上げちゃんだそうだ。
語り口は明快で良い出来だった。
男が茶店に座り周囲の景色や小川の流れを楽しむ場面がキチンと描かれていた。ここを省略する人がいるがそれではこの噺が死んでしまう。
ノンビリした気分で「こういう景色を眺めていると小さな事なんてどうでも良くなる」と言わせておいて、猫の餌の高価な皿に目が留まると急に欲が顔を出す。その緩急がこのネタの生命。

三三の1席目「雛鍔」、やや急いだせいか平凡な出来。大旦那はもう少しユッタリと喋って欲しい。

三三の2席目「夏泥(置き泥)」で俄然面白くなる。
泥棒モノはいわば「柳」のお家芸、小さんから小三冶、そして弟子の喜多八この三三とDNAが受け継がれているようだ。
短刀を突き付けて、さあ金を出せと迫る泥棒(正確には強盗だけど)。博打に凝ってスッテンテン、生きていても仕方ない、さあ殺せと居直る男。ここで攻守が逆転する。
この先はやれ道具箱だ着物だ米だおかずだと少しずつせびられ、泥棒終いには有り金すべて叩いてしまう。
男と泥棒の珍妙なヤリトリを、それぞれの性格描写と会話の「間」の巧みさで聴かせる。
人間の持つ善意と、その善意にどこまでもつけこむ人間との対比、この噺のテーマは結構深い。

三三の3席目「佃祭り」、「情けは人の為ならず」をテーマとしたネタで、佃島の祭りに出かけた小間物問屋の主が、渡し船の最終便に乗る直前、5年前お金を恵んで助けた女性に引き留められ船の沈没事故を免れるというストーリー。「因果はめぐる糸車」なので、「積善の家に余慶あり」となるわけだ。
人情噺風に演じるのと長屋の騒動を交えて滑稽噺風に演じる二通りがあるが、三三の演出は後者。
次郎兵衛が少し早口なのが気になるが、それ以外は人物の造形もしっかりと描かれていた。佃の女性宅で一杯やるのに通常は遠慮がちにするのだが、三三の演出では嬉しそうに呑んでいる。やっぱり女好きなんだね。女房が焼くのも無理はない。
船頭の辰五郎が実に気風が良い。商店主の次郎兵衛、それに恐らくは職人衆と思われる長屋の住人たち、この人物対比が演者の腕の見せどころ。
三三の歯切れの良さが際立ち、軽快なテンポで楽しく聴かせてくれた。
サゲをカットしたのも、この日の演出からすると適切だった。

三三・三席、段々良くなる法華の太鼓。

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2012/08/20

ゴキブリがいなくなった

突然ですが、我が家からゴキブリの姿が見えなくなったんです。
今の家に越してきて30年を超えましたが、毎年6月の初めごろからゴキブリが姿を現します。それから毎日、これが10月初めごろまで続くのです。
恥を話すようですが、私は過去にゴキブリに2度追いかけられたことがあり(ホントですよ)大嫌い、見ただけで悪寒が走ります。
夜中、喉が渇いて台所に立つと、必ずといって良いほど1匹か2匹、奴らが蠢いているのです。
殺虫剤を吹きかけたりして格闘している内に、すっかり眠気が飛んでしまうことも度々でした。
それが今年に入って今日まで、1匹のゴキブリも見ていなんです。家族に聞いても同じでした。
不思議ですよねぇ。

あれほど嫌がっていたゴキブリですが、いざ姿が見えなくなると何だか不安になってきます。
突然我が家から逃げ出したとしたら不吉の前兆ではないかとか、もし周囲からも完全に姿を消したとしたら天変地異の前ぶれかと心配になってきました。
さて、皆さんのお宅ではどうでしょうか?

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2012/08/19

こまつ座「芭蕉通夜舟」(2012/8/18)

8月18日、紀伊国屋サザンシアターで行われた”こまつ座「芭蕉通夜舟」”を観劇。
「井上ひさし生誕77フェスティバル'12 第6弾」として上演されたもの。

作 :井上ひさし
演出:鵜山仁
<  キャスト  >
松尾芭蕉…坂東三津五郎
朗唱役 …坂東八大 / 櫻井章喜 / 林田一高 / 坂東三久太郎

伊賀の下級武士の家に生まれた松尾芭蕉が、10代末に出仕するところから始まり51歳で亡くなるまでを描いた、文字通りの一代記。
芝居は歌仙36句に因んで全36景仕立てになっている。
伊賀俳壇で地位を築いた芭蕉は、江戸へ出て33歳で俳諧師の宗匠となる。
当時の俳壇では、滑稽や機知を競う句が持て囃されていたが、芭蕉が目指したのは、笑いや楽しさを求めるのではなく自然や人生の探究が刻み込まれた俳句だった。それが「わび」や「さび」あるいは「不易流行」の境地だ。
最後の紀行「おくのほそ道」を完成させた年に西国への旅に出るが、途中大阪の宿で病に倒れる。
芭蕉の人生は孤高と旅であった。
最期の句は「旅に病んで夢は枯野をかけ廻(めぐ)る」、旅先で死の床に伏しながら、芭蕉はなおも夢の中で見知らぬ枯野を駆け回っていた。
こうした俳人としての人生を追う傍ら、生活のために神田上水の水道工事の事務の仕事に就いたり、生涯にわたる便秘のため長雪隠だったりといったエピソードが散りばめられ、言葉遊びと共に笑いを誘う。
芭蕉の棺をのせた舟の船頭が「身も蓋もない」話をする最終シーンは、いかにも井上作品らしい皮肉がこめられている。

松尾芭蕉役の坂東三津五郎はさすが歌舞伎役者らしく科白も所作も見事だし、4人の朗唱役との息もピッタリ。
36景の場面転換も鮮やかだった。
しかし90分で芭蕉の生涯を描くというのはいかにも無理がある。
そのためか、この芝居を通して作者が何を訴えたかったかが掴みにくい。井上ひさし作品にしては珍しく切れ味が悪いという印象だった。
恐らく多くの観客の皆さんも物足りなさを感じたのでなかろうか。
調べてみると、この作品は元々が小沢昭一のために書いたとあり、してみると芭蕉の人間臭さがもっと表に出るべきなのかも知れない。
三津五郎ではあまりに品が良過ぎて、そういう意味ではミスキャストだったか。

公演は9月23日まで各地で。

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2012/08/17

鈴本8月中席・夜「吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特選集」(2012/8/16)

鈴本演芸場8月中席夜の部は「吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特選集」で落語協会の2枚看板が交互にトリを取るという趣向。その16日に出向く。
いつの頃からか前売りが始まり、今年は10日間全てが完売となっている(当日売りは有り)。
以前にも書いたことだが、志ん朝が健在の頃は浅草演芸ホールで志ん朝のトリと住吉踊りを観てから地下鉄で上野広小路に移動、鈴本におよそ5時頃着いても最前列に座れたもんだ。この興行も当時は指定席なんぞなかった。
未だ10数年しか経っていないが、今から考えれば夢のような話だ。それだけ落語ファンが増えたということ。

<  番組  >
柳家甚語楼「犬の目」
三増紋之助「曲独楽」
春風亭一朝「幇間腹」
三遊亭白鳥「新ランゴランゴ」
柳亭市馬「粗忽の釘」
ロケット団「漫才」
隅田川馬石「反対俥」
柳家喬太郎「猫久」
-仲入り-
鏡味仙三郎社中「太神楽」
柳家さん喬「応挙の幽霊」
林家正楽「紙切り」
柳家権太楼「幽霊の辻」

サラの甚語楼「犬の目」、ダジャレを入れるのは良いが、いちいち間を取って客席に笑いや拍手を求めるのは止めた方がいい、芸が下品になる。

紋之助「曲独楽」、師匠は静かな人だったが、弟子はハイテンションで良く喋る。客席の共感を得ながらの高座は華やかではある。この時期のお約束、向日葵を独楽の上で回すサービス付き。

一朝「幇間腹」、この日は遅れて来た人たちが着席してから次の出番が上がってくるため時間が食われ、前半の出の人は少しずつ短く演じていた。このネタも駆け足だったがこの日も「イッチョウケンメイ」、一朝の演じる幇間(タイコモチ)は実に可愛らしい。

白鳥「新ランゴランゴ」、本人も認めるようにこの日の顔づけの中では異色。「掃き溜めに鶴」なのか、それとも「獅子身中の虫」。でもトリも新作ですよ。
師匠・円丈の作品に手を入れた新作のようで、ケニア人が落語を演じる噺。”ランゴランゴ”とは、現地語で”面白い話”という意味だとか、ウソだろう。
今でもアフリカ人というとジャングルを槍を持って駆けまわってると信じている人が多いようだが、南部アフリカのナミビアで、草むらで立小便をしていたら、現地の人から肩を叩かれ「トイレでしなさい」と注意されてしまった。なんだ、コッチの方が野蛮人だ。

市馬「粗忽の釘」、プロとアマとの違いは落語の上手い下手じゃないんだそうだ。所定の時間にきちんと収められるのがプロ。どこをどう縮めるかが腕の見せどころ。一朝の高座では一八がいきなり若旦那の座敷に入ってきていた。では市馬はどこをカットしたでしょう。

ロケット団「漫才」、最近気になるのはツッコミの倉本剛の痩せ方。少しやつれたようにも見えるのだが、体調は大丈夫だろうか。

馬石「反対俥」、こういう軽い噺もいけてます。

喬太郎「猫久」、大師匠・小さんの十八番を余計なクスグリを入れずにそのまま演じる試みをしているようだが、これもその一つか。
小さんの高座に比べ、猫久の向かいに住む男のトボケぶりには欠けるが、女房の造形は濃い。
古典をそのまま演じて客を唸らせるというのが喬太郎の最終目標ではなかろうと推測しているのだが、ご同輩のご意見はいかに?

さん喬「応挙の幽霊」は初見。
絵に描いた幽霊が夜中に抜け出してくるのだが、これが元はといえば祇園の芸妓。いい女の上に酌はしてくれるし、都々逸から終いにはかっぽれまで披露。
骨董屋の男もすっかり上機嫌になってに酒を注いでいると幽霊も酔いが回ってきて寝込んでしまう。翌朝早くこの絵をお客に届けなくちゃいけない絵が空じゃぁ・・・。
こういう噺をさせると、さん喬は上手い! 得意の喉と踊りも披露しての熱演。
これが聴きたくてこの日を選んだ甲斐があった。

正楽「紙切り」、小さな子供さんのリクエストが時間の関係で切れなかったが、楽屋に入ってから切って出口の係員に渡しておくと言っていた。この人の人柄が伝わってくる。

権太楼「幽霊の辻」も生の高座は初めて。
マクラでこのネタを演じるようになった経緯を説明。元々はTBS落語研究会の主催者から「愛宕山」を掛けるよう要請があった。演じたことが無かったので、あっちこっちから本やテープなどを取り寄せて聴いていたら、そこにたまたま枝雀の「幽霊の辻」が入っていた。これが面白いかったので、その後枝雀を同じ会で会った時にネタを演らせて欲しいと頼んだところ快諾を得た。
作者は小佐田定雄なので電話で小佐田氏に了解を求めた所、こちらも快諾してくれたが1席1万円という金額が提示された、この金額も枝雀を比べたら破格だそうだが、東京の寄席のワリから1万円はキツイので再交渉、しかるべき条件で落ち着いた由。
そうか、新作の場合は著作権が発生するケースがあるから結構ややこしいんだ。
このネタだが、小佐田氏の原作ではサゲは「あんた、わてが幽霊やない、と思うてはんの?」だったが、枝雀はこの後に「・・・かどうかは、皆さまの想像にお任せするのでございます」と続けた。
それに対して権太楼のサゲは・・・。
これについては権太楼のサゲが一番気が利いている。
演出も、とりわけ茶店の婆さんの造形が良く出来ていて、権太楼の方が優れていると思う。
でもこれは観る落語だ。

二枚看板、今年も結構でした。

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2012/08/15

落語協会の真打昇進制度について

当方が来年以後の落語協会の真打昇進について「意外と年功序列に戻しそうな気がします」とコメントしたことについて、福さんという方から次のコメントが寄せられました。
「私的にはどちらかに偏るのではなく、年功序列プラス若手の抜擢という折衷もあり得べし、と思っています。」
少し長くなりそうなので、当方のレスを下記にて。

先ず2010年(2011年は昇進者無し)以前の落協の真打昇進ですが、基本的には年功序列、つまり二ツ目の香盤の上から数名ずつ昇進させるというルールで行ってきました。
しかし例は少ないものの抜擢による「〇〇人抜き」という昇進もありました。過去には志ん朝や小朝、新しい所では菊之丞(本人の著作によれば席亭の推薦とある)や、たい平と喬太郎の同時昇進もやはり抜擢でした。
ですから大きくみれば「年功+(時々)抜擢」制度ということになります。
ただ私の知る限りでは、過去の抜擢は会長など特定の幹部が推したというような事は公表されていないと記憶しています。
今回は落語協会のHPでも紹介されているように、小三冶会長が人選したことが明らかにされており、そこが大きく違います。
少し細かくプロセスを書くと。
1.まず幹部に昇進者についてのアンケートを取ったところ10名ほどの名前があがった
2.その結果を参考に池袋演芸場の二ツ目勉強会に数か月通って確かめたところ、(新真打に相応しい者として)アンケートに上がっていた者もいたが、それ以外の者もいた
3.最終的に一之輔、朝太、菊六の3名を昇進させることに決め、これらは私が自信を持ってお薦めできる
4.もうチョットとという者もいたが、どうするかはこれから考える
といった様な概要だったかと思います。

小三冶会長のメッセージでも来年以後については一切触れていませんし、会長推薦というルールを今後も続けるかどうかも明らかにしていません。
それは真打になれるかどうかというのは落語家にとって死活問題だからです。
だから過去の三遊亭圓生らの分裂騒動も立川談志一門の脱退騒動も、いずれも真打昇進制度に対する不満や意見の相違が原因でした(少なくとも表面的には)。
そう簡単にシステムを一気に変えることはかなり難しいだろうと思います。
又、会長個人の推薦をルール化するとなると、会長が交代すれば推薦基準もガラリと変わるということにも成りかねません(歴代会長の顔ぶれを見てください)。
協会といっても役員人事を見れば分かるように、柳家、三遊亭、林家(春風亭)、古今亭、桂ら各派の連合体みたいなもんですから、一般の企業のようにトップの一声で全て決まりというわけにはいきません。
従って当方の予測としては、来年以降は再び「年功+(時々)抜擢」という制度に戻すのではなかろうかと考えています。

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2012/08/13

まるで「落語協会まつり」(2012/8/12)

8月12日、前進座劇場で行われた「納涼まつり前進座にわか演芸場」。前進座劇場が来年1月に閉館するにあたり特別企画として行われたものだが、顔ぶれといい規模といい、まるで「落語協会まつり」というべき内容だった。
現在、鈴本演芸場は8月中席として特別興行を打っているが、この日の出演者13名(前座を除く)中9名が鈴本と掛け持ちだ。真打に限れば8人中7人。
正午開演というのも鈴本の出番との関係があったからだろう。
ざっと見ても協会の看板のうち、3分の2がこの会に結集したような印象だ。
入場料は高目だが、お客にとっては「お得感」があったと思われる。
通路やロビーでは浴衣姿の劇団関係者が屋台をならべて飲み物やおつまみを販売していて、祭り気分を盛り上げていた。

<  番組  >
前座・柳亭市也「手紙無筆」 
春風亭朝也「新聞記事」 
古今亭朝太「壺算」 
*古今亭菊之丞「幇間腹」 
柳家はん治「鯛」
~仲入り~
*ロケット団「漫才」 
*柳亭市馬「七段目」 
*柳家喬太郎「孫、帰る」 
*林家正楽「紙切り」 
*柳家権太楼「青菜」 
~仲入~
*入船亭扇遊「不動坊」 
*柳家さん喬「天狗裁き」 
柳家小菊「粋曲」
*古今亭志ん輔「唐茄子屋政談」 
(*印は鈴本演芸場と掛け持ち)

当初は土曜の昼下がりのことだし、要は顔見世ていどだろうとタカをくくっていたが、どうしてどうして熱演揃いで充実した高座が続いた。

朝也「新聞記事」、遅れてきた人が多く客席がざわつく中で落ち着いた高座。
こういう軽い噺を軽く演るのも芸のうち。
抜擢人事のお蔭で現在二ツ目には沢山の真打候補がいるが、その一人といえる。 

朝太「壺算」、冒頭に9月21日より50日間真打披露興行をやりますのでと挨拶していた。一之輔のときは本人が出る落語会の会場で自ら前売り券を販売していたが、今回の二人についてはそういう姿にお目にかかっていない。協会の方針なのか本人たちの意志なのか。
ネタは可もなく不可もなくといった所で、何かが足りない。
もちろん新真打としてはこれで十分かもしれないが、抜擢人事となると世間の目は厳しい。しかも何かというと一之輔と比較される、これも辛い。
あと1ヶ月あまり、更に芸を磨いてきて欲しい。

菊之丞「幇間腹」、お手のものの十八番。
この人の演じるタイコモチにはリアリティ(らしさ)があり、お茶屋の女将の造形と共にこのネタを自家薬篭中のものとしている。

柳家はん治「鯛」、この作品もそうだが、桂三枝(文枝だっけ)の新作が掛かることが多いようだが、独特の節回しにせいか同色なのだ。
生簀の鯛から人間たちを見ればというテーマで、かつて芸術祭新人賞を取ったそうだが、私はあまり面白いとは思えなかった。

市馬「七段目」、前進座劇場での公演ということで芝居噺をかけたのはグッド・チョイス。しかもこの若旦那、全編これ芝居の振りなのだ。
市馬の美声がよく生かされていて所作も丁寧、定吉の女形ぶりも堂に入っていた。
若旦那が階段を上がる時、八百屋お七の人形振りで登るが、これも劇場所在地の吉祥寺を踏まえたものだろう。
市馬の実力を存分に示した一席、結構でした。

喬太郎「孫、帰る」、マクラでいつものようにウルトラマン45周年を話題にして、ウルトラマンをテーマにした新作でとストーリーを演るのだが、これが「七段目」のパロディなのだ。こういう遊び心もライブの楽しみに一つ。
ネタに入って、お盆に祖父の家に帰ってきた孫のタケシ、二人は涼を求めて自宅の屋根にのぼる。祖父の問いに答えてタケシは母親のことや「新しい生活」のことを話す。聴き入る祖父。微笑ましい光景がタケシのひとことで一変する。
「あのね、ぼくね、やっぱりね・・、まだ、死にたくなかったなぁ・・、もっと生きていたかったよ」
会場の空気が一気に凍りつく。
「そうだなぁ・・」と祖父。
場内は静まり返る。
そしてタケシが帰ってしまった後の、祖父のこみ上げてくる悔しさと怒りを交えた動作が胸を打つ。
短いながら、喬太郎の新作のなかでも屈指の作品といえる。

正楽が「前進座劇場」というリクエストで「三人吉三」を切ったのは見事、来年の劇場サヨナラ公演の演目だし、三人の中の「和尚吉三」はかつて吉祥院というお寺で出家していたことになっている。劇場は吉祥寺、縁があるのだ。
さすが!

権太楼「青菜」、「植木屋さん」の一言で会場はドッと沸く。
権太楼の高座だが、長屋の戻ってからの暑苦しさは十分だが、お屋敷での涼感があまり感じられないので、私としては多少不満がある。

扇遊「不動坊」、オリジナルを約半分に短縮していたが、作品の勘所はきちんと残しており上手く編集されていた。
ただこの作品は登場人物の名前にはそれぞれ謂れがあって凝っているのだが(例えば不動の女房だから滝)、そういう面白さは消されている。
扇遊は軽快なテンポで楽しく聴かせてくれた。

さん喬「天狗裁き」、マクラで前進座の芝居は分かり易いのが魅力と言ってたが、その通り。
「歌舞伎は難しいから」などと思っている人は、先ず前進座を観て欲しい。ちょっとここでPR。
さん喬が「天狗裁き」を演るとしたらこうなるんじゃないかと予想した通りの高座。

小菊「粋曲」、今日は快調、いつ見ても艶やかでござんすね。
これだけの三味線と喉、後継者がいるのかしら。そこは心配。

志ん輔「唐茄子屋政談」、若旦那が勘当される場面から、最後の裏長屋での母子心中騒動までのフルバージョン。
始めは多少モタモタした印象だったが、若旦那が唐茄子の荷を担いで売りに出る辺りから快調になった。若旦那を送り出した後、叔父夫婦が涙で見送るというのは独自の演出か。
躓いて転んだ若旦那に代わり、唐茄子を売り捌いてくれる男、これぞ江戸っ子気質。嫌いだという相手にも強引に売りつけ、また困った時は俺に声を掛けてくれって、なんとカッコイイ。
ここで若旦那は初めて人情の温かさに触れる。
それが伏線になって、こんどは貧しい母子に売り上げを全て渡してしまう。
手ぶらで戻った若旦那を疑う叔父、確かめに行った裏長屋ではさっきのお上さんが首を吊っていたという騒ぎ。
怒りに燃えた若旦那は因業大家の所へ乗り込んでいきなりポカリ。そして最後は大団円。
途中に荷を担いだ若旦那が田圃から吉原の灯りをみつけ、花魁との馴れ初めの頃を思い出す場面が秀逸。人物の造形も良く上出来の高座。
志ん輔の実力をいかんなく発揮した一席。

5時間半を超える長丁場ながら充実の内容。
今日来たお客は幸せ。

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2012/08/11

#14大手町落語会「真夏の夜噺」(2012/8/10)

8月10日日経ホールで行われた「第14回大手町落語会」、通常は土曜日の昼過ぎに開催されるこの会だが、年に一度の夜開催。
サブタイトルが「真夏の夜噺」とされていて、出演者は二ツ目を除けばさん喬一門+扇辰という顔ぶれ。

<  番組  >
三遊亭天どん「タラチネ」
柳亭左龍「壷算」
柳家喬太郎「ほんとのこというと」
~仲入り~
入船亭扇辰「麻のれん」
柳家さん喬「雪の瀬川(下)」

先ずラインナップを見てお判りのようにタイトルの「真夏の夜噺」に相応しいのは扇辰「麻のれん」だけ。さん喬なぞは真冬の噺だ。別にこれが悪いというわけじゃないが、タイトルを付けた以上は季節感のあるネタを並べて欲しかった。

天どん「タラチネ」。
近くのご婦人二人連れが、入り口で配られた他の公演のチラシをみながら、「桃太郎が出てる、嫌ねえ、こういうのが好きな人がいるのかしら。」と喋っていた。どうやら桃太郎が嫌いらしい。そのご婦人らが天どんを聴いて受ける受ける。
反対側にいたご婦人は拍手しながら爆笑していた。そのくせ左龍の高座は熟睡。
分からんもんですねぇ。
人生イロイロ、落語の楽しみ方もイロイロ。
さて「タラチネ」だがオリジナルの「垂乳根」の嫁さんが外国人という設定で、言い立ての中に英語が混ざるという改作。
「今朝は怒風激しゅうして小砂眼入す」は「this Morning 怒風激しゅうして小砂 in my eyes」となるわけだが、なんか時代錯誤。
改作にしても、もうちょっと工夫しないと。
まあ、来年落語協会が年功序列の真昇進を復活してくれれば目出度く真打は間違いなしだが。

左龍「壷算」、師匠の芸風を継げるのはこの人かなという感じがしてる。少なくとも喬太郎じゃないのか確か。
「私の所はユックリとお休みになってください」と控えめな挨拶から始まり、淡々とネタに入ってゆく。
芸風は地味だがネタの当り外れがない。何を演っても水準を行く。着実に力も付けている。
反面、極め付けがない、「左龍の〇〇」というのが未だ見当たらない。そこら辺りがこの人の課題だと思う。
このネタの兄イは買い物上手ではない。3円出して定価7円の壷を手に入れるのだからこれは詐欺なのだ。
どこか変だと思いながらも相手の口車に乗せられてしまう番頭、典型的な詐欺の被害者タイプ。
「お客さんの後ろ姿を見ても、ああ良い商いをしたなという充実感が湧かないんです」、左龍のトレードマークともいうべき大きな目を剥いて番頭の困惑ぶりを表現していた。
好演。

喬太郎「ほんとのこというと」。
マクラでオリムピック一色の世相を採りあげ、消費税も「今なら気が付かないから上げちゃいましょう」「そうしましょう」って決めたじゃないかと言っていたが、当らずとも遠からずかも。
オリムピックは確かに一大イベントには違いないが、あくまでスポーツの一行事に過ぎない。日頃からスポーツ好きだったり造詣が深い人が関心を持つのは分かるが、そうじゃない人を含めて朝から晩までオリムピック一色ってぇのはいかがなもんだろうか。それも話題はメダルメダルだけ。
今日も男子サッカーが3決に敗れてメダルが取れなかったことに対して落胆の声を伝えているが、男子サッカーが世界のBEST4に入ったってスゴイことじゃないのか。そこを先ず称えようよ。
花火での若い男女のことをマクラにしたので「たがや」になるのかと思ったら、この新作ネタだった。
時節柄、屋形船を舞台にした「一日署長」辺りを聴きたかったが。

扇辰「麻のれん」。
前の高座で喬太郎が、扇辰がサッカーをしていたと紹介していたが、幕が開くといきなり扇辰がサッカーボールを蹴る真似をしながら登場。ほう、こんなこともするんだ。
一度引っ込んでから再度登場、「仲入り前は遊びで、これからが本番」とネタに入る。
扇辰は既に師匠を超えている。そして左甚五郎ものに関しては、大師匠・三木助に近づきつつあるような印象さえ受ける。
この日の高座も文句なし。

柳家さん喬「雪の瀬川(下)」。
ストーリーは。
本ばかり読んでいるので社会勉強にと江戸に出された若旦那の下総屋鶴次郎。幇間が若旦那を吉原に連れてゆく。若旦那はそこで会った花魁の瀬川に一目ぼれして通い詰め、800両という店の金を使い込みやがて勘当される。
若旦那が川へ飛び込もうかと思案していると、橋の上で昔の店にいて駆け落ちして出て行った奉公人と出会い、奉公人の家に一緒に居候することになる。
若旦那は瀬川に金を用立てて貰おうと手紙を書き奉公人に届けて貰うよう頼む。
瀬川は行方知れずになった若旦那の身を案じ病に伏せっていたが、その手紙に驚き、雨の日に会いに行くと返事を書く。
正月も明けたある日、雪が降りはじめ夜になると江戸は真っ白。若旦那も待ちくたびれてウトウトっとした頃、侍の格好に変装した瀬川が本当に訪ねてくる。
二人はただただ手を取り合って感動する。
そして雪はしんしんと降り積もる。

前篇は以前い聴いたことがあり(この時はあまり良い出来ではなかった)、今回はその後編を聴くことができた。
6代目圓生以後、演じ手がなかった噺をさん喬が掘り起こしたものだそうだが、あまりドラマチックな筋の運びもなく、演じ手の力量だけで聴かせるネタだ。
さん喬の高座は緊張感の中に誌的な情景を浮かび上がらせ、トリに相応しい名演だったと思う。

【追記】
いくつか誤植があったようで、お恥ずかしい次第です。
原稿を見直さないという悪いクセのせいですね。

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2012/08/08

内閣不信任案の可決に期待しよう

野田首相は民主党と自民党の悪い部分だけを併せた最悪の総理だ。
野田政権の使命は次の4点に集約される。
1.消費税増税
2.原発の再稼働
3.TPP加盟
4.オスプレイ配備の受け入れ

このうち2.原発の再稼働は関西電力の大飯原発を既に再稼働させ、今後もなし崩し的に次々と再稼働を認めていくのは間違いない。
4.オスプレイ配備の受け入れについては訪米した森本防衛相が今年10月に沖縄へ配備し本格運用することを事実上追認してきた。沖縄現地の猛反発にもかかわらず対米従属派の森本大臣としてはむしろ積極的に受け入れる腹積もりだろう。
そして1.消費税増税の法案が早ければ今日にも参院で可決させる可能性がある。「税と社会保障の一体改革」などと標榜しているが、過去の消費税も実際には企業の法人税減税の財源に充てられ、社会保障に向上には全く寄与していなかったことから「空手形」であることは間違いなかろう。

連日のように全国で反原発のデモが行われているが、政府の政策を転換させようとするならば政権を倒さねば実現できない。
オスプレイ配備もしかりで、野田-森本ラインを崩さなくては配備を阻止することはできない。
7日に中小野党6党が内閣不信任決議案を提出したが、これを可決成立させ衆院の解散・総選挙に追い込むことが最優先だ。
これに対して自民党が党内で右往左往した結果、野田首相の解散の確約が得られなければ同時に不信任案を出すという方向になったようだ。公明党はこれに反対なようだが、提出された場合は自公の選挙協力が崩せないので賛成にまわるようだ。
仮に2本の不信任案が提出されると、1954年の吉田内閣に対する不信任案(この時は3本)以来58年ぶりの複数提出となる。
但し、1回議決した議案を同じ会期中に再び議題にできない「一事不再議」の慣例で、採決されるのはどちらか1本だけとなる。
又、不信任案は全ての議決の優先されるため、消費税法案などはその後の審議となる。民主党は消費税法案を優先させたいとしているが、議会制民主主義のルールを破るつもりだろうか。
野党が一致して賛成し民主党の中から15人が造反すれば可決される。民主党内には消費税増税に反対している議員もいるので、造反が出る可能性があるわけだ。

民主党は2009年にマニフェスト(政権公約)を掲げて国民の多数の支持を得て政権に就いた。
しかしこの3年間を振り返ればその公約が守られないばかりか、野田政権になってからはマニフェストと正反対の政策を進めている。
公約が破たんし実現できないことが明白になった以上、衆院を解散し改めて国民の信を問うことは憲政の常道である。
先ずは、この度の野田内閣不信任案の可決に期待したい。

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2012/08/07

「コーカサス三国旅行記」のお知らせ

現在、別館で連載中です。
ご興味のある方は、左側の欄外"My Link"下の「HOME★9(ほめ・く)別館」をクリックしてください。

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2012/08/05

若手落語家競演シリーズ「盛夏」(2012/8/4)

8月4日、北とぴあ・ペガサスホールで行われた”若手落語家競演シリーズ「盛夏」”へ。
この会は二ツ目の落語家を毎回5人招き、全員ネタ出しでタップリと演じてもらおうという珍しい企画。
宣伝に「千円で観る落語の妙技」とある。
7,8,9月の3回開かれ、この日は第2回の盛夏公演。
三遊亭きつつきと桂宮治の高座は何度か観ているが、他の3人は初見。
定員150名ほどの会場は可成りの入りだったが、なぜか年配のご婦人が多数を占めていた。
開演中もどこかで私語が交わされているのは耳障りだったが、客層と土曜の昼下がりという条件では止むを得ないか。

<  番組  >
春雨や雷太「悋気の独楽」
三遊亭小笑「身投げ屋」
三遊亭きつつき「棒鱈」
~仲入り~
桂宮治「お見立て」
立川志の八「粗忽の釘」

3代目柳好は俗に「野ざらしの柳好」と言われたほど「野ざらし」を得意としていた。私は小学生の頃に新宿末広亭で聴いたが、場内は爆笑の連続だった。この人のネタがあまりに有名になったので、生前はこのネタを避ける噺家が多かった。
例外は8代目柳枝で録音されたCDも市販されている。
今この二人のCDを聴き比べると明らかに柳枝の方が上手い。最近の噺家が「野ざらし」を掛ける際に柳枝の演出をベースにしていると思われるのはそのためだろう。
ではなぜ柳好の高座があれほど人気が高かったかというと、それは出て来ただけで一気に場内を明るくした本人のキャラクターのせいだと思う。あの顔であの声であの姿であの調子であの仕種で演じた「野ざらし」だから受けたのだ。
キャラの面白さというのは持って生まれた天性(あるいは本人の人生)に左右され、これだけは努力だけではどうにもならない。
そのことをきつつきと宮治の高座で改めて感じた。

雷太「悋気の独楽」、落語家としては目がコワイが話はしっかりとしている。
小僧と旦那、お上さんと二号を演じ分けもきちんとなされており良い出来だった。
期待が持てる若手だ。

小笑「身投げ屋」、喋り方というか声というか、かなり癖があるが嫌味には感じられない。誰かに似てると思ったら歌之介、そうか同じ鹿児島だ。
まだ人物造形をうんぬんする段階ではないが、キャラと独特の節回しを磨いていけば面白い存在になるかもしれない。

きつつき「棒鱈」、マクラで今ひとつ沸かない会場を沸かせようと必死に挑発してくる。これで会場の雰囲気を一気に引き込んでいった手腕はさすが。初めて観た人は度肝を抜かれたろうが。
ネタに入って、オリジナルとは異なり江戸っ子二人の部屋に田舎者丸出しの芸者が入ってきて、二人をますますウンザリさせてしまうという新しい演出。この芸者の個性が刺身のワサビのように利いていた。
人物の造形は粗いしサゲを間違えるミスもあったが、田舎侍や芸者を思い切って戯画化することにより、楽しい一席に仕立てていた。
それもこれも天性のフラがあるからこそ。来年の真打に向けてますますのワールド全開を期待したい。

宮治「お見立て」、明るいキャラで上昇していた場内の温度を引き継ぐ。
ネタは未だ荒削りでミスもあった。しかしそうした弱点を吹き飛ばす面白さはやはり天性の明るさ、お客に楽しんで貰おうというサービス精神が根幹にあるからだろう。
今は二ツ目一年生だからこれで良いのだろうが、これからは人物の造形、例えば花魁や若い衆をそれらしく演じる話芸を磨いてゆかねばならないだろう。
将来は10代目文治のような芸人になる可能性は秘めている。

志の八「粗忽の釘」、この日の高座を観る限りでは良さが分からない。
先ず、ツマラナイ。
若手なんだからもっと我武者羅な姿勢を見せて欲しい。
トリという位置が悪かったのかネタの選定を誤ったのか、はたまたこれが本人の実力なのか。

二つ目が伸び伸びと落語を演じる場というのは少ないわけで、この会は好企画だと思う。

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