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2012/09/03

「ミス・サイゴン」(2012/9/1ソワレ)

青山劇場で上演中のミュージカル「ミス・サイゴン」、9月1日ソワレ公演を観劇。
予想はしていたが女性客が圧倒的で男の多くはカップル。爺さん独りなんてぇのはアタシだけだったかも。でも入り口じゃ止められなかったよ。
この芝居はベトナム戦争が背景になっていることから、以前から一度観たいと思っていた。
思えばベトナム戦争、あるいはベトナム反戦というのは青春そのものだった。
10数年前ベトナムを訪れたとき、若い現地ガイドに日本でもベトナム戦争に反対した運動が全国で行われていたんだと語ったところ、ほとんど反応が無かった。今やベトナムでも戦争は遠くなりにけりか。
ましてや劇場に集まった客の大半もベトナム戦争のことは良く知らないんだろうな。
アタシが子どもの頃、日本はアメリカに占領されていたなんて話すと、眼を丸くする人がいるもんな。
今回の舞台は、過去の帝劇での公演と異なる新演出ということだが、前回を観てないので比べようはない。

音楽:クロード=ミッシェル・シェーンベルク
作詞:アラン・ブーブリル/リチャード・モルトビー,ジュニア
翻訳:信子アルベリー
訳詞:岩谷時子
振付:ジェフリー・ガラット
演出:ローレンス・コナー
<  主なキャスト  >
市村正親:エンジニア(サイゴンのナイトクラブ(娼館)経営者)
笹本玲奈:キム(南ベトナムの少女、クリスの恋人)
原田優一:クリス(米兵)
上原理生:ジョン(同、クリスの戦友)
木村花代:エレン(クリスの妻)
泉見洋平:トゥイ(ベトナム兵士、キムの恋人)
池谷祐子:ジジ

ストーリーは。
時代はベトナム戦争末期の1975年から。
主人公キムは米軍の爆撃で故郷の村と両親を失い、アメリカン・ドリームを追い求めるエンジニアが経営するサイゴンのナイトクラブに職を求める。
実状はG.I.相手の娼館と化していて、キムも米兵クリスの相方となって一夜を共にする。互いの境遇にひかれあい恋におちるが、キムにはベトナム兵士トゥイという恋人がいて、二人の前に現れたトゥイはアメリカの敗北が近いと言い捨てて去る。
やがてサイゴンが陥落し米軍は撤収するが、クリスはキムを何とかアメリカに連れて行こうとして探すのだが、見つからぬままヘリで帰国してしまう。
ベトナムが社会主義国になった1978年、幹部になっていたトゥイはエンジニアにキムを探させ再会する。キムに結婚を迫るが、キムがクリスとの間のできた息子タムの存在を告げると、逆上したトゥイはタムを殺そうとして逆にキムに射殺される。
本国に帰還したクリスは戦争の後遺症に苦しむが、傍らに妻エレンが献身的に支える。
戦友ジョンからキム母子がバンコクで暮らしていると聞いたクリスはエレンを伴いバンコクに向かう。
バンコクの安キャバレーの客引きをしていたエンジニアと出会ったジョンはキムに会い、クリスが来ている事を告げる。
大喜びのキムは早速クリスのホテルを訪れるが、そこには妻のエレンがいた。絶望したキムは部屋を飛び出し、入れ違いに戻ってきたクリスとエレンは愛を確かめ合い、キムの息子タムを引き取りキムには援助を続けようと決める。
再びキムに会いに行くクリスとエレン夫妻、しかし思ってもいなかった結末が待っていた。

別の見方をすれば、世の中には好きな女ができて子どもまでつくりながら、男は別の女と結婚してしまい両者の板挟みで苦しむ、なんてことはザラにあること。
世の男の多くは妻を選び、母子には養育費を払うか子どもだけ引き取るかして決着をつけるようだ。女が身を引いてくれりゃ、これ幸い。
こう言っちゃ身も蓋もない話になってしまうが、事実だから仕方がない。
そうしたミもフタもというのを、ベトナム戦争を舞台にして「究極の愛」の物語に仕立てたのがこの芝居。
それも徹底したアメリカ側の視点で描いていて、キムの恋人であるベトナム兵士なんぞは敵役にされている。
そんな筋書より俳優たちの歌と踊りを楽しむというのが、正しい見方かもしれない。

先ず主役の市村正親が素晴らしい。歌も踊りも群を抜いている。そして男の色気。さすが若いカミさんを持つだけのことはある。
市村の芝居を何本か観てきたが、シリアスな演技から今回のようなミュージカルでのポン引き役まで全て嵌ってしまう。
日本の演劇界でも過去にないような第一級のエンターテナーと言って良い。

キム役の笹本玲奈、少女というには成熟し過ぎている感があるが、さすがに歌声は美しい。聴いていてウットリするほどだ。
原田優一や上原理生らの男性陣も好演。特に上原は声が良い。
ジジ役の池谷祐子が華麗な踊りを見せる。
アンサンブルも全体的に良くまとまっていて、日本のミュージカル俳優の層の厚さを実感した。
舞台装置ではヘリコプターの離陸シーンが圧巻、大道具さんは苦労したろう。

全国ツアーは2013年1月17日まで。

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コメント

亡妻が病気になったときに可愛がっていた朝鮮人たち(朝鮮人のための日本語学校の教師をしていました)が見舞いに来て、この芝居の切符を取ったから一緒に行こうと誘ってくれました。
あれは、けっきょく行けなかったのじゃなかったかなあ。そんなことまで忘れてしまいましたよ。

佐平次様
そういう辛い思い出がおありだったんですか。
でもこの芝居はベトナム戦争を題材にしながら、米軍側のヒュマニズムを強調する一方、ベトナム軍に対しては類型化戯画化するなど、イデオロギー臭の濃い内容になっています。
ベトナム戦争の現実とはかけ離れた内容だと思います。

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