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2012/09/22

「志らく・三三 二人会」(2012/9/21)

9月21日、北千住の"THEATRE1010"で行われた「立川志らく・柳家三三 二人会」へ。異色の顔合わせかと思ったら二人とも先代小さんの孫弟子。
最初"1010"って何だか分からなかったが、これが「千拾(せんじゅう)」というシャレらしい。しかも駅前の丸井店内にあるんだから例の"0101(まるいまるい)"をひっくり返したというわけで、上手く考えたもんだ。
劇場内部の椅子が前列と並びが2分の1ずつずれていて、前の席の頭と重ならないのでとても見やすい。

<  番組  >
前座・立川がじら「狸の鯉」
柳家三三「豊志賀の死」(「真景累ヶ淵)の内)
~仲入り~
立川志らく「長短」
立川志らく「あくび指南」

前座の「がじら」は志らくの11人目の弟子だそうで、変てこな名前は漫画”Dr.スランプ”の登場人物からとったとか。昨年の入門にしてはシャベリがしっかりしてる。

三三「豊志賀の死」
ご存知、三遊亭圓朝作「真景累ヶ淵」の一部。
原作では按摩の宗悦が借金の返済を迫り旗本の深見新左衛門に切り殺されるのが発端。
被害者の宗悦の長女が豊志賀で、加害者の深見新左衛門の子が新吉という因縁話になっている。
ストーリーは。
根津七軒町に住む富本の師匠豊志賀は,親子ほど年の離れた出入りの煙草屋新吉と深い仲になる。
仲睦まじかった二人だが、あるとき豊志賀の顔に腫れ物が出来、次第に顔半分に拡がっていく。
弟子が皆いなくなるなかで若いお久だけが通ってくるのだが、病床の豊志賀は新吉とお久との仲を邪推し嫉妬に狂う。
看病に疲れた新吉が叔父の家に向かう途中お久と出くわす。2人で鮨屋の2階に上がり下総に逃げようと相談していると、突然お久の顔が豊志賀に替わる。
驚いた新吉が叔父・勘蔵の家に戻ると,重病の豊志賀が来ている。駕籠に乗せて長屋に戻そうとすると豊志賀宅の隣人らがやって来て,豊志賀が死んだと報せる。
駕籠にいるはずだと中をのぞくと無人。
二人が急ぎ長屋に戻ると豊志賀は亡くなっていて.新吉の妻を7人まで取り殺すという遺書を残す。

この後、新吉はお久と下総の羽生村に移りいよいよ怪談噺となる。
なぜ「豊志賀の死」だけが高座に掛けられるのかというと、現代にも通じる普遍性があるためだと思われる。
39歳という年増の女が21歳の男と深い仲になり、情夫(いろ)にしてしまう。彼女にとっては初めての男、周囲が見えなくなり愛の世界に耽溺していく。
しかし歳の差は常に気になっていて、そこに顔の腫れ物。いずれ男に捨てられるんじゃないかと妄想を抱き嫉妬に狂ってゆく。
辟易とした男は逃げ出したくなり、知り合いの若い女と駆け落ちの相談までする。
それを察した年増の方は恨みを抱き自死したり、時には刃傷沙汰に及ぶ。
こう書いていけば新聞の社会面やTVのワイドショーなどで毎度おなじみの展開なのだ。

三三の高座は圓生の演出を踏襲しながら登場人物を現代に蘇らせていて、生き生きと描いている。
それぞれの人物の造形と心理描写が見事で、最近では出色の「豊志賀の死」であったと思う。

仲入り後の志らくだが、1席だけと思っていたら「長短」と「あくび指南」2席続けて演じてくれた。
性格が正反対でも仲がいいことがあるというマクラで、圓楽と談志との交友のエピソードを披露。そこから1席目「長短」に入る。
長さんがUFOとか月面着陸についての薀蓄を語るのだが、もしかして理系。
2席目はその二人があくび指南所に行き、短七さんが指南を受けていると長さんが退屈してしまい大欠伸。「お連れさんの方が器用だ」でサゲ。
してみると長さんは世間で言われるほど気が長いわけじゃないらしい。
2席とも以前に高座で聴いているしそういう意味で新味はないが、前半の怪談噺を受けて後半に滑稽噺2席を持ってきた志らくのサービス精神は評価に値する。

全体で2時間弱であったが、中身は充実していた。

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コメント

銭湯業界の広報誌も「1010」だったような気がします。

投稿: 佐平次 | 2012/09/22 10:20

佐平次様
なるほど、1010を「せんとう」と読ませるんですね。日本語は便利だ。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2012/09/22 10:44

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