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2012/09/26

「通ごのみ 扇辰・白酒」(2012/9/25)

9月25日、日本橋社会教育会館で行われた「人形町通ごのみ」へ。
「扇辰・白酒 二人会」で今回が第6回目だが、今まで都合がつかずこの度が初参加。
この二人の顔合わせとあれば落語通でなくとも行きたくなる、というわけで前売り完売。
仕事帰りのサラリーマン(orウーマン)の姿も多く、程の良い客筋かと。

<  番組  >
前座・入船亭辰じん「一目上り」
桃月庵白酒「松曳き」
入船亭扇辰「藁人形」
~仲入り~
入船亭扇辰「お血脈」
桃月庵白酒「今戸の狐」

11月から二ツ目昇進が決まっている辰じん「一目上り」、若いころの師匠にソックリ。
やがて本寸法の真打になるのは間違いなかろう。
後で扇辰が言ってたが、もう次の見習いが入門してきたとか。こういう人はどんどん弟子を取って後継者を育てて欲しい。

白酒の1席目「松曳き」
マクラで入門して20年、自分もそろそろ弟子を取らなくてはと言ってた。我こそはと思う若い人がいたら白酒の門(門があるのかな?)を叩いて下さい。本人は25歳位の美人が希望とか言ってましたけど。
当日のチラシに過去5回のネタ一覧が付いていたが(こういう処が主催者”オフィスM's”はしっかりしている)、同じネタが掛けられないので困ると言っていた。
いつものように小三冶を肴に本題へ。
場内は終始爆笑だったが、何回聴いても面白い。この噺をここまで面白くしたのは白酒の手腕。これを超える演者はなかなかおるまい。

扇辰の1席目「藁人形」
例の結婚詐欺殺人事件をマクラに、どうして男ってぇのは女に騙されるんでしょうねと本題へ。
ストーリーは。
ぬか問屋の一人娘だったお熊、今は千住で女郎の身。
西念と言う乞食坊主を部屋に上げ、父親に生き写しだから同居して父親代わりに親孝行をしたいと持ちかける。
ついては身請けの話があり、いずれ店を持つつもりでいて、いい出物の家があるのだが内金を打ちたい。旦那が旅に出ていて当座の金がないので困っていると打ち明ける
西念はほだされて隠し貯めた全財産20両をお熊に渡してしまう。
数日後、風邪で寝込んだ西念が小遣いお熊無心すると、あの金は貰ったものだ。実は西念から金を巻きられるかどうか仲間と賭けを私が勝ったとうそぶくお熊。
絶望して長屋に帰った西念は外にも出ずに過ごす日々。
そこへ甥の甚吉が訪ねて来た。これからは俺が面倒見てやるからなという甚吉に、蕎麦をおごるからと出かける西念。「鍋の中だけは見るな」と言い付けたが、甚吉が蓋を取ると鍋の中は藁人形を油で煮ていた。そこに戻った西念が・・・。

若いころ、五代目古今亭今輔で聴いてその陰惨さとオドロオドロしさに閉口したが(上手かったんだけど)、扇辰の演出はそういう陰気な怪奇性を薄めて、人情噺風に仕立てた。
終幕で甚吉に、働いて金を貯め二人でお熊の店に上がって鼻をあかしてやろうじゃないかと語らせたのも、後味の悪さを消している。
専ら演者の話芸だけで聴かせるネタだが、登場人物を鮮やかに描き分け客席を引きこんだ扇辰の手腕はさすがというしかない。

扇辰の2席目「お血脈」
未だネタを決めてないんでうがと言いながら本題へ。
このネタは前半と後半に分かれていて、後半だけ高座にかかることもある。この日はフルバージョン。
前半は釈迦誕生のエピソードから善光寺の縁起まで、仏像が昼間は小さいが夜になるとむくむくっと大きく伸びるって何でしょうねと、珍しくシモネタも入れて。
余談だが師匠の扇橋は、楽屋では女の話しかしない、それもバストの話だそうで、人は見かけによらないもんだ。
後半は信濃の善光寺で、お血脈の御印というのを売り出した。
百文出して印を押してもらえば、どんな罪人でも極楽往生間違いなしということで、押すな押すな。まあこんな事してるから仏教が堕落したんだろうが。
お蔭で地獄は閑古鳥。
経営破綻だと先ずは資産の売却、例えば血の池地獄はアサヒペンへ。
最初はカゴメとデルモンテとやっていたらクレームが来たので変えたんだそうだ。へえー、落語のクスグリにもイチャモンがつくのか。
赤鬼なんぞはリストラで浅草花屋敷へ出稼ぎに。
このままじゃ閻魔大王も失脚だと、大泥棒の石川五右衛門にお血脈を盗んで来いと命令する。
まんまと盗んだまでは良かったが、何しろ芝居好きでなにかと見得を切りたがる性格だったので・・・。
独自のクスグリも沢山入れ込んで楽しそうな高座。
良いお客に乗せられての1席。

白酒の2席目「今戸の狐」
基本的には志ん朝の演出を踏襲したものとみえるが、入り組んでいるストーリーを丁寧に用語を解説しながら進行するので聴いていて分かり易い。
珍しく落語家が主人公のネタなので、往時の前座の生活、例えば無給だったので小遣い稼ぎに寄席の仲入りで「寄席くじ」を売ったというようなエピソードが挟みこまれる。
それでも前座は師匠の家で寝泊まりし、食事も出るので未だ楽。二ツ目となると自活せなばならなくなり、仕事が来なければ収入はゼロ。だから良輔のようにアルバイトで今戸焼きの狐の泥人形の彩色などして糊口を凌ぐしかない。
「イスカの嘴(はし)の食い違い」がテーマの演目、古今亭のお家芸を立派に受け継いだ熱演の1席。

わっと笑わせ、シンミリさせて、軽くいなして、トリ根多へ。
この日の4席のチョイス、ネタの組合せも良く、高座も実に結構でした。
「通ごのみ」の看板に偽りなし、今年の落語会の中ではベストだった。

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コメント

私も行ってました。
扇橋は大フアンの島倉千代子からブラジャーを貰って宝物にしているそうです。
オッパイフエチですね^^。

佐平次様
島倉千代子のブラジャーって、私なら固辞しますけど。
二人も適度のレラックスし、適度に緊張していて良い雰囲気でした。

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