テアトル・エコー「プロポーズ・プロポーズ」(2012/10/6)
記事が前後してしまったが10月6日、恵比寿エコー劇場でのテアトル・エコー「プロポーズ・プロポーズ」を観劇。
この劇団は2年前に井上ひさし「日本人のへそ」を観ていらいとなる。
ニール・サイモン作品で今回が初演ということで出向く。
作:ニール・サイモン
訳・演出:酒井洋子
<あらすじとキャスト>
舞台は1950年代のアメリカ・ペンシルヴェニア州、ポコノマウンテンズにある避暑地。
主のバート(安原義人)は、娘のジョージー(さとう優衣)と家政婦のクレンマ(薬師寺種子)三人で山荘に滞在している。心臓発作を繰り返すバートは、離婚した妻アニー(一柳みる)山荘へを呼び寄せる。
父を捨て再婚してしまった母親とは娘ジョージーはそりが合わない。訪れた母親とは喧嘩ばかり。バートの方といえばアニーには未練たっぷりなのだ。娘に母親とは仲直りするよう勧めるが娘は反発するばかり。
そのジョージーは法学生のケニー(浜野基彦)と婚約していたが突然解消してしまう。
ケニーが自殺の遺書を書くほどに落ち込んでいるのを見るに見かねた親友のレイ(松澤太陽)が、ジョージーを説得しにくるが、実はこの二人1年前までは親密だったのだ。
マイアミからジョージーを慕って追いかけてきたマフィア青年のヴィニー(加藤拓二)が勝手に来訪。レイが連れてきたガールフレンドのサミイ(きっかわ佳代)は、ヴィニーとすっかり気が合う。
一方、家政婦クレンマの元に失踪中だった亭主のルイス(山下啓介)が7年ぶりに戻ってきて、復縁を迫る。
以上の人物が一堂に山荘に集まりドラマが繰り広げられる。
別れた夫婦や恋人同士の微妙な関係、親子の愛憎。
失われる愛もあれば新たに芽生える愛もある。
果たして結末やいかに・・・。
こう書くと深刻なドラマと思われるかも知れないが、完全なコメディだ。会場は終始笑いに包まれていた。
シャレた会話が飛び交いテンポも良い。
訳・演出の酒井洋子は上演にあたってこう述べている。
「一見無難な人生、平凡な人間関係にも、心の、感情の葛藤はあって、それらを活き活きと舞台上で再現してもらうことで、わがことのように経験し、共感する。そうだ、人間賛歌の芝居が近頃少ない。」
その狙いは当っているかに見える。
ただ芝居の展開にどこか既視感があるのだ。
そう、かつての松竹新喜劇に似たような筋のものがあった気がする。
「家庭」を舞台にコメディを書くと、洋の東西を問わず似たような筋書になるのだろうか。
米国の芝居に拘らず、家政婦役の薬師寺種子を除き登場人物がアメリカ人らしくない。
その原因の一つは衣装にあるのではないかと思う。もう少し1950年代の米国人の衣装を研究して欲しかった。
例えばモデル役のサミィだが、職業柄あんなセンスのない服は着ないだろう。
女子大生のジョージーの衣装も時代を考えると違和感がある。
演技陣では、狂言回し役の薬師寺種子が目を引いた。彼女だけがアメリカ人だった。
公演は10月17日まで。
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