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2012/11/19

文治三代「国立演芸場11月中席」(2012/11/18)

国立演芸場11月中席は「桂平治改メ十一代桂文治襲名披露公演」で、11月18日に出向く。
これで文治の高座を9代、10代、11代の三代見ることになる。たまたま小3から大人に連れられ寄席に行ったのが始まりなので以来60年、ただ通算期間が長いだけでなんの自慢にもならない。現役時代はあまり寄席に行く時間も無かったので途中空白部分もある。
物心ついた頃はまだ8代目文治が存命だったが、既に高座には上がらずラジオでしか聴けなかった。「祇園会」が十八番だったようだ。
その頃に9代目翁家さん馬で高座に上がっていたのが後の9代目文治。通称「留さん文治」だが「ケチの文治」とか「さん馬の文治」という呼ばれ方をしていたと記憶している。
いわゆる上手い噺家ではなく、漂々とした芸風で古典の中でも「エデンの東」「人間の条件」「名もなく貧しく美しく」などという現代語を織り込むのが特長だった。
「あの嬶、出雲の神さんが留守の間に俺んとこへめり込んできやがって、小野田セメントみたいだ」
「この前、『砂の女』って映画見ましたけど、ひどいですね。あのまた岸田今日子って女優ね、すけべったらしい顔してね。ああいう映画、あたしゃ大好きなんすよ」
といった調子だった。
10代目文治は2004年に亡くなったので、ご存知の方も多いだろう。
目玉がギョロッとしていていかにも江戸前の風情のある噺家だった。前名2代目桂伸治から文治を襲名したが、文治になってから古典を更に磨き上手くなった。
高座に上がると第一声が「どうぞお構いなく」で、とにかく面白い人だった。
他に三代が見られたのは春風亭柳好、紙切りの林家正楽がいる。
この日のお目当てはもちろん当代の文治。

前座・桂たか冶「道具屋」
<  番組  >
春風亭昇々「悋気の独楽」
桂文月「あわて者」
桂小文治「湯屋番」
新山ひでや・やすこ「漫才」
桂米丸「夢のビデオ」
―仲入り―
「襲名披露口上」
桂伸乃介「真田小僧」
桂米助「壷算」
三笑亭夢太朗「お見立て」
ボンボンブラザース「曲芸」
桂文治「源平盛衰記(後半)」

前座のたか冶「道具屋」、入門仕立ての前座としてはシャベリがしっかりしている。楽しみな新人だ。
昇々「悋気の独楽」、人物の演じ分けがまだまだ。このネタで比較すれば先日聴いた同じ二ツ目の小辰の方が数段上だ。
文月「あわて者」、襲名興行ということで先代の十八番を掛けたものか。内容は「堀之内」と同じでお詣り先が浅草観音様という違いだけ。
小文治「湯屋番」、先代と違い東京落語だが、どことなく先代に似ている。愛嬌があって踊りが一級品。「なすかぼ」実に結構でした。
ひでや・やすこ「漫才」、懐かしさを感じる古典的スタイルの夫婦漫才で、いい味を出していた。ひでやは私と同年代だが若い。
米丸「夢のビデオ」、この日一番拍手が大きかった。80代も後半に差し掛かったが元気な姿を見せてくれた。
「襲名披露口上」でも紹介されていたが桂文治というのは桂の宗家であり、東京と上方両方にまたがる大名跡だ。落協と芸協双方の会長を出しているのも文治だけだろう。
もっとも口上では未だ独身であるのを盛んにからかわれていたが。
伸乃介「真田小僧」、前座噺を掛けていたが、あまり面白くなかった。
米助「壷算」、最近になって古典に目覚めたのだろうか。久々にこの人の高座を見たが、まともなネタを演じるのは始めて。いいことです。
夢太朗「お見立て」、半分ぐらいに短縮していたが、それでも十分に実力発揮。
ボンボンブラザース「曲芸」、寄席になくてはならぬ芸人、もはや人間国宝級。私と同じ歳ぐらいだと思うが驚異的な身のこなし、よほど練習を積んでるんだろう。

文治「源平盛衰記」は前日に前半で終わらせたので、この日は後半ということだった。この人の十八番。
典型的な地噺ながら、実際にはそれぞれの演者が繰り広げるギャグ(クスグリ)の面白さで聴かせるネタだ。
このギャグ-ネタ-ギャグ-ネタに切り替えるタイミングが勝負だが、文治は「間」の取り方が巧み。場内を終始笑いの渦に巻き込んでいた。
以前はクスグリを言った後で笑いを待つような必要以上に長い「間」を取るクセがあり感心しなかったが、この日の高座ではそうした欠点は見られず快調なテンポを保っていた。
先ずは襲名披露に相応しい一席だった。

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コメント

平治のときに落語研究会で見た「幽霊の辻」があまりにもあざとい演出だったので、ちょっと嫌気がさしてましたが、いつまでも嫌ってばかりはおられないかな^^。

投稿: 佐平次 | 2012/11/20 09:41

佐平次様
襲名してから化ける人もいるので、文治の今後を期待したいところです。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2012/11/20 09:50

10代目の文治。たしかに拍手で迎えると「どうぞお構いなく」なんてやってましたね。私にとって落語家の原イメージというのはこの文治と圓蔵です。町のひょうきんで面白いおじさんという感じ。
今度の文治(元平治)にも口調に先代と似通うところがあるようです。

投稿: 福 | 2012/11/21 08:07

福様
居るだけで面白い楽しいというのは芸人にとって大事な素質で、7代目円蔵一門は上から初代三平、当代円蔵、当代文楽といずれもそういう顔ぶれが揃っていました。
文治もそうですが、やはり一門の個性みたいなものがあるんでしょう。

投稿: HOME-9(ほめ・く) | 2012/11/21 08:54

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