「こどもの一生」(2012/11/11)
11月11日、1が4本並ぶことから色々な記念日になっているようだ。
「いい日いい日」で「介護の日」とか、変わったとこでは「下駄の日」。ヒントは俳句の「初雪や二の字二の字の下駄の跡」。
こっちは語呂合わせではないが、第一次世界大戦の停戦記念日ということで欧州では祭日にしている国もあるとか。
この日、PARCO劇場で上演中の「こどもの一生」を観劇。客の大半が女性で何だかハーレムにいるような気分でありましたな。
大きな声じゃ言えないが、ナマ中越典子が見たくてというのが動機であります。
芝居は1990年初演で今回が4度目とか。脚本も新たに手を入れてるそうだ。
作:中島らも
潤色:枡野幸宏
演出:G2
<ストーリーとキャスト>
舞台は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島。
ここには滞在型の臨床心理治療所があり。スタッフは医師(戸次重幸)と看護師・井出(鈴木砂羽)の二人。
患者はいずれもストレス障害の淳子(中越典子)、ゆみ(笹本玲奈)、藤堂(玉置玲央)の三人に、島の開発を目的に患者に成り済まし潜入した開発会社社長・三友(吉田鋼太郎)とその秘書・柿沼(谷原章介)が加わる。
電話もネットも通じない隔離された世界で、患者は治療のために「子ども返り」する。
やがて5人はすっかり子どもの気分になり夢中で遊び始めるが、社長の三友だけは横暴で権力的。
他の4人が相談し、仕返しに三友に「山田のおじさんごっこ」といういたずらを仕掛け成功したかに見えたが、そこへ灯台守の山田一郎(山内圭哉)という男が訪ねてきて、事態は思いがけない方向に進みだし・・・。
作者・中島らもの解説によれば、この芝居のモチーフとして、一つは「大人の子ども返り」、もう一つは「観念と実在」、そして全体の構成はロマン・ポランスキーの「吸血鬼」に触発されたとある。
深刻なテーマをとりあげなら喜劇的であり、客席は終始笑いに包まれるが、いつしか恐怖に凍りつくというホラー劇である。
終幕も決してハッピーエンドにせず、むしろ観客を突き放すような終わり方だ。
笑いながら凍りつかせるという手の込んだ作劇で、そこが人気のマトなのだろう。
シンプルな舞台装置でスピーディーに場面が展開し飽きさせない。娯楽作品として良く出来ている。
出演者では何といっても社長役の吉田鋼太郎の演技が群を抜いている。この人が登場すると舞台が締まる。まるで漫才の相棒のような秘書役の谷原章介との息もピッタリ。
山田一郎を演じる山内圭哉は面白いのに怖いという人物像がにじみ出ていた。
美女が揃う女優陣が華を添え、お目立ての中越典子はひたすら可愛らしい♡。
公演は12月16日まで各地で。
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