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2012/11/15

実録「心眼」

古典落語に「心眼」という根多がある。ご存知8代目桂文楽の十八番中の十八番。
ストーリーは以下のようになる。
按摩のは心優しい女房と二人暮らし。日ごろ盲人ゆえに悔しい思いをしているので、一念発起し茅場町の薬師様に目が見えるようにと願をかける。
二十一日間祈願して満願の日、ついに目が見えるようになる。
その場に居合わせた上総屋に連れて歩いてもらう道すがら、上総屋から梅喜の女房お竹はすこぶる器量が悪く、梅喜は大変な美男であるということを教えられる。また梅喜が療治に行く芸者・小春は、梅喜に惚れていることを告げる。
そんな折り、梅喜を小春が見つけ声をかける。眼があいたことを知った小春は梅喜を誘い料亭へ。
一方女房のお竹は、上総屋から梅喜の眼があいたことを知らされ、梅喜を探しに行き二人が料亭に入るのを目撃してしまう。お竹は植え込みの陰から様子をうかがう。
梅喜は勧められるままに酒を呑み、小春に「あたしを女房にしておくれでないか」と言い寄られ、その気になってしまう。
そこへ、お竹が躍り込み梅喜の胸ぐらを掴む。
「勘弁してくれ、苦し~い。お竹、俺が悪い。うぅ~」。
すると「梅喜さん、どうしたの?」というお竹の声。夢だったのだ。
「メクラというものは妙なものだね、寝ている内だけ良~く見える」

さて「実録」の方だが、アタシが小学生のころ、隣家に詐欺師が住んでいた。この男がニセの投資話をもちかけ金を集めると一夜にしてドロン。どういう経緯かは知らないが家は盲人の手に渡った。
この人が平屋の家を二階建てのアパートに改造しだす。資金がなかったんだろう、下の家をそのままにして二階だけ増築、家の外側に階段を付けるという普請。
一階より二階の方が大きいという明らかな建築違反。
我が家を始め近隣の家が区役所に行き抗議、直ぐに工事は中止となった。
処がしばらくすると工事が再開、なんと区役所が認可してしまったというのだ。
再び近隣の住民が役所へ押しかけると担当者は、盲人がアパートが建てられないと生活できないので何とかしてくれと泣きついたので、止むを得なかったという説明。何でも死ぬの生きるのと大騒ぎだったようだ。
つまりは施主が盲人だということでの特別措置だったわけだ。当時はいい加減だった。
でも家を買いアパートに改築って、この按摩さん、よほど金持ちだったんだね。

この盲人というのが役者にしたい位ないい男だが、その女房というのは正反対。
近所の婦人たちは「(男の)目が見えないから(妻の器量の悪いのが)分かんないだね。あれじゃまるで「心眼」だ」などと、自分たちのご面相を棚に上げて噂話。
ということは当時から文楽の「心眼」がいかに人口に膾炙していたかが窺われる。

アタシが中学に入ったころ、このアパートに二号が越してきた。
若いころは松竹映画の大部屋女優だったとか。二枚目と結婚したら相手は怠け者の上にDV男。
そこから逃げて独り暮らし。近所の会社に勤めていたら、社長のお手が付いたというわけだ。
ある日、くだんの盲人が彼女の部屋を訪ねてきた。
相手は大家だし目が見えないからと油断していたら、「あなたは声がキレイですね。きっと顔もキレイなんでしょう」と言いながら両手で顔を触ろうとしてきた。
思わず体を横にして避けたら、盲人が今度はそっちの方へ覆いかぶさってきた。
突き飛ばして二号が我が家に逃げてきたので、顛末が知れたというわけ。
彼女いわく、「よけた方へ向かってきたんですもの。あれは本当は目が見えてるんじゃないかしら」。
たぶん「心の眼」で見たんだろう。
「実録・心眼」の一席、お粗末さまでした。

でも子供の頃からこんな経験したもんで、アタシのような捻くれた大人になっちまったんでしょうな。

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