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2012/12/02

「雲助蔵出し」師走(2012/12/1)

12月1日、浅草見番で行われた「雲助蔵出し」。
気が付けば師走、「もういくつ寝るとお正月」という歌があるが、こちとらの歳になると「あといくつお正月」が迎えられるかしらという心境に陥る。
この日の夕方、久々に勤めていた会社のOB同期会に出たが、欠席者の多くは病気が理由だった。
昨年は二人、一昨年は一人と年々人数が欠けていく。「今年はどうやら大丈夫そうだな」なんてぇ会話が飛び交うんだから心細い限りだ。
元気なうちはせいぜい落語でも聴いてと思う今日このごろ。

<  番組  >    
林家つる子「元犬」
柳亭市楽「岸柳島」
五街道雲助「徳ちゃん」
五街道雲助「付き馬」*
~仲入り~
五街道雲助「木乃伊取り」*
(*印はネタ出し)

この会場は「三業会館二階難座敷」というのが正式の名前らしい。
「三業」というのも死語になりつつあるようだが、料理屋・待合茶屋・芸者屋の3業種を指す。
つまり芸者を上げて飲み食いし、その後は男女でおひけというフルコースが堪能できる場所ということだ。
かつてはあちこちに三業があったが、近ごろはこういう名称が残る所は少なくなった。
「待合(まちあい)」も使わなくなりましたね。男女が密会する場所だけど、もう「密会」も流行らないやね。
「雲助蔵出し」も回を重ねて、そろそろ持ちネタも尽きてきたとのこと。寄席で演るような演目は避けたいし、聴きたけれが夜に鈴本へとしっかりPR.
そう、鈴本の12月下席は「雲助 冬のお約束」という企画なので、この日が初日。様子ではこのまま上野に流れていくお客もいるようで、ファンは有り難い。
この会は毎回ネタ出しを2席、それにおまけを1席という趣向だが、この日は最初におまけをということで、いつもの通り観音様の裏って周辺の店の紹介から。
雲助も若いころは好きな女の子目当てにスナックに通ったようで、一時は一緒になる寸前まで行きながら警官に取られてなんていう失敗談も披露していた。

吉原周辺の客引き風景から「徳ちゃん」へ。
メクラの小せんが実体験を噺にまとめたとされ、金の無い落語家二人が安い女郎屋に上がったのはいいが、部屋は汚いし出て来た女はヒドイ。散々な目に合うという自虐的なネタ。
「チョンの間」などという場所にはそういうのもあったんでしょう。
以前、白酒や一之輔で聴いた時も面白かったが、やはり雲助が優れている。何が違うかというと、牛太郎にリアリティがある点だ。口八丁手八丁でとにかく客を上げてしまう、その造形が見事。

続いて「付き馬」
先週聴いたばかりだが、随分と出来が違う。
一つには「徳ちゃん」からそのまま入ってので話の流れが良かった。2席続けて敢えて「付く」ネタを選んだのだろうが、これが成功した。
前のネタでは牛に客が騙されるのだが、こちらは客が牛を騙す。リベンジ。
この客は朝食の代金を牛太郎に立て替えさせながら、店の女の子のお尻まで撫でてしまう。全く手におえない男だ。
昔は飲み屋の女性のお尻を触るなんて普通だったが(アタシはやってませんよ)、今どきはうるさくなったからね。
そういえば同期の出世頭だったのがセクハラで役員の椅子を棒に振ったっけ。だから良い子は真似をしないように。
吉原から雷門への道中ではここ浅草見番にも通りかかり、中で雲助が出てる、上手いよこの人は、さん喬なんか目じゃない、なんてクスグリも。
牛太郎が疑いを持ち出すと男は「この眼を見なさい」と信用させる、その時の牛の顔が目に浮かぶようだ。
雲助の演出では、牛と棺桶屋の主人との会話がかなり際どく、この場面を濃い味付けにしていた。
このネタ、現役では雲助がベストだ。

雲助の3席目「木乃伊取り」。
これも弟子の白酒が得意としているが、雲助のは初めて。
吉原の角海老に居続ける若旦那を説得に初めは番頭、次に出入りの頭(かしら)が出向くが、次々とミイラ取りのミイラになってしまう。
困り果てた大旦那夫婦に、飯炊きの清蔵がオラにやらせてくれと買って出る。
さすが堅物だけあってさすがの若旦那も帰る気になるが、その前に皆で一杯やってからと清蔵も飲まされる。
2杯3杯と重ねていくうちに堅物がすっかり陽気になり、好色の眼が覚めだす。隣に座った女郎の手練手管に最後はクズクズになる。この変容ぶりが見どころであり演者の腕の見せどころでもある。
雲助は清蔵の変化を細かく描写し、素晴らしい仕上がりだった。
酒に美女、これに抗らえる男は少ない。だからハニー・トラップが成功するのだ。男の悲しい性(さが)。

地の利を生かした吉原ネタ三題、雲助の独壇場。

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コメント

雲助は凄いですね。
私も堪能しましたよ。

雲助も凄いけど、連日落語会通いの佐平次さんも凄い。そのエネルギッシュな行動には脱帽。

雲助さん、さすが。
白酒さんもいいんですけれど
雲助さんのは出てくる人が大人って感じが
します。
白酒さんが師匠に惚れるのが
よくわかります。

ふわふわ様
そうなんです、「付き馬」の棺桶屋の主や「木乃伊取り」の大旦那夫婦の描き方が雲助は上手い。
それと「付き馬」では男が一人で喋り続けるんですが、この時の牛太郎の表情を客にどう想像させるか、この辺りも雲助が優れています。

菊丸や小文治を聴きに、にぎわい座だったので、浅草は断念しました。
雲助は正月に白酒をスケで独演会があります。
しかし、まだ行けるかどうか未定です。

浅草で佐平次さんとの「居残り会」はなかったのですね^^

小言幸兵衛様
この会は雲助が実に楽しそうに演じるのが特徴で、この日も「さん喬なんか眼じゃない」なんてセリフ、この会でしか言わないでしょう。
地元浅草への思い入れがタップリ詰まった良い会でした。
佐平次さんは後ろの方で、私の人相には気が付かなかったのでしょう。

浅草という純落語的な場所の会。お楽しみだったと思います。
雲助で面白いのは、時々べらんめえ調とでもいうのか、巻き舌になってよくわからないところがあることです。普通それは?なんでしょうが、雲助の場合は独特の味わいを感じます。

福様
雲助は浅草生まれの純粋な江戸っ子なので、言葉も江戸弁(東京弁ではなく)。そこもまた魅力の一つです。

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