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2012/12/24

文我・宗助二人会(2012/12/23)

12月23日、日本橋社会教育会館8Fで行われた上方落語「文我・宗助二人会」へ。
お目当ては文我、実はナマで聴くのは初めてとなる。
【桂文我】1979年、桂枝雀に入門。文化庁芸術祭優秀賞や国立花形演芸大賞など多数を受賞。珍しい古典を掘り起こす落語研究家でもあり、落語の児童書を執筆。
【桂宗助】1988年、桂米朝の最後の弟子として入門。1997年 NHK新人演芸大賞落語部門大賞を受賞。
今年の落語会も残すところ今回と明日の2回となった。
後は恒例により今年下半期の優秀作と年間演芸大賞を発表して、終わり。

<  番組  >
「始末の極意」桂宗助
「二番煎じ」桂文我
 ~中入~
「立ち切れ線香」桂宗助
「古事記」桂文我

前座なしでいきなり宗助が登場、一人で高座返しからメクリまでこなす。東京では考えられない。
「始末の極意」、始末というのは上方では倹約の意味。
東京では「しわいや」のタイトルで8代目正蔵が得意としていた。
ケチな男がさらにケチな男にケチの指南を請うと、いわゆるケチな話のオンパレード。いずれもあちこちのネタのマクラで聴いた小咄が次々と語られる。
最後にそれでは「始末の極意は?」と訊くと、松の木に片手でぶら下げられ・・・。
宗助は初見だが、風格のある高座姿、明解な語り口。余計なクスグリを入れず無理に笑いを取ろうとしない。だけど面白い。師匠・米朝のスタイルに良く似ている。

文我の1席目「二番煎じ」
前に上がった宗助だがこのネタから名前を貰ったものらしい。「それはこの宗助さんが」とくり返されるのはお馴染みで、そのつながりでこのネタを選んだようだ。
マクラで選挙の応援演説に無理やり頼まれてやったが皆落ちた。そりゃそうでしょう、落語家は落とすのは商売と。
これは上方版のスタンダードだろうか、東京の演出とはだいぶ違う。
先ず東京のように二班に分かれてという場面がなく、いきなり全員で夜回りに出る。
「火の用心」の声を出すところで各自ののど自慢となるのは東京と一緒。
小屋に戻り、東京では一人がやおら瓢箪(ふくべ)の酒を取り出すが、上方は徳利に入れてくる。
猪の肉は同じだが味噌はつかない。ネギは別の人が持っている。味付けはどうしたんだろうという疑問も湧く。鍋は小さなもので、箸と茶碗はリーダーが懐に用意している。
そうした用意を言いつかり準備するのは「宗助さん」、栗饅頭みたいな顔をして、なんて言われて。
東京のように全員が飲み食いするのでなく、リーダー一人が酒を呑み猪肉とネギを食う。
そこに見回りの役人、「なにか湯呑で飲んでおったな」「それはこの宗助さんが」、宗助さんは最後まで割の悪い役だ。
文我の芸風は師匠・枝雀のような爆笑スタイルではない。どちらかというと大師匠に近い。
それでも箸でネギを掴むとき、「ああ、肉が付いてきたぁ」と叫ぶ所はやはり枝雀の弟子だなと感じさせる。

宗助の2席目「立ち切れ線香」
しみじみ聴きながら、数ある落語の中の名作中の名作であり、やはりこのネタは上方でなくてはアカンと再認識した。
船場の商家の若旦那、ミナミの「紀の庄」の芸妓・小糸に一目惚れをしていれあげ、店の金まで手を付ける始末。
親戚会議で勘当となる所を番頭がとりなして、店の蔵に百日押し込め。
翌日から小糸の店から手紙がくるが番頭は黙ってしまいこむ。それから毎日、2通、4通、8通と増えていくが黙殺、それが80日目にピタリと止む。
番頭これを見て「色街の恋は80日か、冷たいもんやなあ・・」。
百日を過ぎて蔵から出た若旦那、番頭から小糸の手紙を見せられ直ぐに「紀の庄」の店へ。
小糸に逢わせてくれと頼んだが、女将が差し出したのは小糸の位牌。
最後の文を出した次の日、若旦那が誂えてくれた三味線を弾いて、死んでしまった・・・と語る。
若旦那が仏壇に手を合わせているとどこからともなく三味線の音色、「小糸ちゃんの三味線、鳴ってる!」。しばらくすると急に三味線の音が止まり・・・。
この噺の最大の見せ場は、若旦那が「・・・番頭、跡取り息子が丁稚の果ての番頭に乞食にされたら本望じゃ!見事、甲斐性あったら乞食にせえ!」と一気にまくしたてると、番頭が悠然と煙管を出し煙草を一服すって再び煙管を煙草入れに収める場面で、黙して大店の番頭の風格と覚悟を見せる。
宗助の高座、ここが実に良かった。
後半も女将の姿が良く出来ていた。あの身体の線はよほど研究しないと出ない。
小糸の最期を語る場面でも決してお涙頂戴に流れず、それでいて情緒溢れる演出だった。
この人はタダモノじゃない。

文我の2席目「古事記」
今年が「古事記」編纂1300周年だそうで、この日が天皇誕生日ということでこのネタを掛けることにしたと説明。それを本居宣長と同郷の三重県松坂出身の文我が演じるという趣向。
内容な古事記の誕生から始まり、天地開闢からスサノオの八岐大蛇退治までの主なエピソードをつなげた地噺。
イメージとしては「源平盛衰記」で、ストーリーを追いながらそこにギャグを入れ込んでゆくというスタイル。
当然、ここに登場する神様たちは私たち人間より人間くさい。
どうやら今年ネタおろしの演目らしいが、かなり完成度が高く客席は大喜び。
歳末らしく最後はワッと笑って目出度くお開き。

4席いずれも充実、年の瀬に良い高座に出会えた。

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